あちこちで激戦!
長いプロ野球の歴史において、巨人以外は成し遂げたことのないセ・リーグ4連覇を目指す広島。このオフは丸佳浩がFAで巨人へと移籍し、長野久義が人的補償でチームに加わった。そして、カイル・レグナルト、ケーシー・ローレンスと2人の新外国人投手が合流している。大型補強といえる補強はないが、今年も優勝候補であることは間違いないだとう。
長野が加わった外野は丸が抜けたものの、鈴木誠也と野間峻祥という2人を軸に、一塁と併用されるであろう松山竜平やサビエル・バティスタも控えている。さらには西川龍馬も本職の三塁だけでなく外野の練習も行っており、外野のレギュラー争いは昨年以上に激戦となりそうだ。
また、レグナルトとローレンスが加わったことにより、さらに熾烈を極めるのが4つしかない外国人枠をめぐるバトルだ。クリス・ジョンソン、ヘロニモ・フランスア、ジョニー・ヘルウェグ、そしてアレハンドロ・メヒアにバティスタと外国人選手は合計7名となり、こちらも同じく激戦となる。
固定できなかった三塁
広島の新たな競争というと上述したふたつが代表的だが、実はそれだけではない。ホットコーナーと呼ばれる重要なポジション・三塁をめぐる争いも間違いなく激戦となる。
まずは昨年のことを振り返ってみよう。当初は2017年シーズンに彗星の如く現れた安部友裕が三塁のレギュラーに定着するかと思われた。
しかし、その安部は打撃面で伸び悩み、さらには骨折にも見舞われて戦線を離脱してしまう。日本シリーズでは満塁弾を放つなど、最後に存在感を見せたものの、1年を通して見ると不完全燃焼だったことは否めない。レギュラー獲りへ向けて、再スタートを切ることとなった。
外国人枠の問題もあって一軍出場のハードルは低くないが、候補としてはメヒアもいる。来日4年目の怪力助っ人は昨季ファームで76試合に出場。一・三塁のどちらかという起用法だったが、最終的に最も多かったのは48試合に出場した三塁だった。
打つ方は打率.337(270-91)、20本塁打、59打点、出塁率.397のファーム四冠と文句なしの成績。丸が抜けた打線の破壊力不足が懸念された場合、投手の枠を削ってもメヒアを使いたいと思う可能性は大いにある。あとは一軍の舞台でその打棒を発揮できるかどうか。そこだけだ。
そして、プロ10年目を迎える堂林翔太も候補の一人。3年ぶりの三塁復帰を目指して練習を開始している。
デビュー年の2012年に144試合に出場して14本塁打を放つなどインパクトを残したものの、以降は目立った活躍がないまま27歳になった。“鯉のプリンス”と呼ばれて将来を嘱望された男もそろそろ崖っぷち。三塁に戻って復活のキッカケを掴むことができるだろうか。
最後に、外野の練習をしているとはいえ西川龍馬も有力な候補であることは間違いない。
昨季は規定打席には届かなかったものの、打率.309(327-101)と好成績をマーク。後半戦だけで見ると打率.325で鈴木誠也に次ぐ高い打率を残しており、持ち前の打撃センスを見事に発揮している。どのポジションになるか分からないが、プロ4年目のレギュラー獲りへ闘志を燃やしている。
外野や外国人枠の争いにも左右されるところであるが、ご覧のように三塁も激戦区となっていることがわかるだろう。
果たして、緒方孝市監督はどのように選手を起用していくのか。リーグ4連覇へ向けた采配に注目したい。