レギュラー確保に燃える北條
矢野燿大新監督が就任した阪神は7日に今キャンプ初となる紅白戦を実施。6イニング制ながら両軍あわせて計25安打・17得点という乱打戦となったなか、ショートのレギュラー獲りにかける若虎たちが早くも火花を散らしている。
まずアピールを見せたのが、紅組の「3番・遊撃」でスタメン出場した24歳の北條史也だ。昨季はシーズン途中からスタメンに定着して62試合に出場。規定打席には到達しなかったとはいえ、そのなかで打率.322という好成績を残した。
定位置確保、開幕からレギュラーを目指すプロ7年目の今季。北條は初の実戦から矢野監督に猛烈なアピールを見せる。第1打席でセンターに弾き返す安打を放つと、二死ながら満塁のチャンスで迎えた2回の第2打席もセンター返しで先制の2点適時打。期待の4年目・望月惇志の150キロの速球をしっかりと捕らえ、ビッグイニングの口火を切った。
第3打席では右飛に倒れるも、6回の第4打席でも守屋功輝からレフトへの安打。4打数3安打の活躍で順調な仕上がりぶりを見せつけた。
最後にインパクトを残した木浪
遊撃手争いのなかで良いアピールを見せたのは北條だけではない。期待のルーキーも初戦から奮闘を見せた。
ドラフト3位で入団した木浪聖也は、青森山田高から亜大へと進み、社会人・Hondaを経てプロ入りを果たした24歳の左打ち内野手。この日は北條と同じ紅組に入ったため、「7番・三塁」で出場していた。
第1打席で犠打を決めた後は2打席凡退に倒れたものの、7-7で迎えた6回表のラストチャンス。二死一・二塁で打席に入った木浪は、守屋が投じた速球をフルスイング。高々と上がった打球はライトスタンドへ吸い込まれる勝ち越し3ランとなった。
プロ入り後初の実戦で放った初安打が3ラン。どちらかというと堅実な守備に定評があった男だけに、いきなりの実戦でプロ4年のキャリアを持つ投手から最高の結果を残したのは、本人にとっても大きな自信となったことだろう。
ユーティリティ性の高さも持ち味で、社会人時代も1年目は二塁や三塁での出場が主だったが、2年目以降は遊撃のレギュラーに定着。内野のどのポジションも守れるという強みは、開幕一軍入りに向けては大きな武器となる。
一方で、その一歩先、レギュラーを目指すとなると、守備だけでなく打撃でのアピールというのも不可欠になってくる。このキャンプ、そしてオープン戦でどれだけアピールできるか。初実戦を良い形で終えた木浪にも注目したい。
快足自慢の植田に、復活を期す鳥谷も…
ちなみに、白組の遊撃スタメンは高卒5年目・22歳の植田海だった。昨季104試合に出場をした期待のスピードスターだが、この日は4タコに終わっている。
プロ4年目の昨季は大幅に出場機会を増やし、チーム2位の19盗塁をマークするなど存在感を見せたものの、打率は.192と課題の打撃で苦しんだ。スピードは球界全体で見ても屈指のものを持っているだけに、あとは攻守両面でのレベルアップが課題になる。
そして、遊撃手争いという点で忘れてはならないのがプロ16年目の鳥谷敬。6月で38歳を迎えるベテランも、今季は慣れ親しんだ遊撃に再挑戦してレギュラー奪取を狙っている。
昨季は打撃不振に苦しみ、プロ1年目から続けていた連続試合出場が1939試合でストップ。10月には通算安打数の球団記録を更新して見せたものの、最終的には打率.232というらしくない数字でシーズンを終えた。
オフの契約更改では、「野球を続けられるのか、辞めなきゃいけないのか。大事な1年になる」と覚悟を口にしているように、まさに崖っぷち。進退をかけたシーズンになる。「若い選手には負けないぞという気持ち」と闘志を燃やすベテランからも目が離せない。
【阪神の遊撃手・年度別出場数】
▼ 2018年
74試:植田 海
56試:北條史也
30試:糸原健斗
15試:森越祐人
7 試:熊谷敬宥
2 試:板山祐太郎
2 試:鳥谷 敬
1 試:西岡 剛
▼ 2017年
71試:北條史也
56試:大 和
40試:糸原健斗
7 試:植田 海
1 試:森越祐人
▼ 2016年
118試:鳥谷 敬
41 試:北條史也
2 試:大 和
▼ 2015年
143試:鳥谷 敬
▼ 2014年
144試:鳥谷 敬