飛躍に期待の“高卒2年目スラッガー”
2月1日に始まった春季キャンプも、気が付けば中盤戦に突入。ここからは各チームで実戦の機会が増えていき、開幕一軍をかけたサバイバルレースも激化していく。
キャンプで押さえるべきキーワードといえば「しんせんりょく」。今季からチームに加わった“新戦力”はもちろんのこと、今季こそレギュラー奪取を目指すという“新鮮力”にも期待がかかる。
なかでも取り上げたいのが、一昨年のドラフトを盛り上げた3人の“高卒スラッガー”。ここでは、大きな期待を背に2年目のシーズンに挑む日本ハム・清宮幸太郎にスポットを当てる。
あの王さんに並ぶ“7本塁打”
今年も根尾昂(大阪桐蔭→中日)、藤原恭大(大阪桐蔭→ロッテ)、吉田輝星(金足農→日本ハム)といった高卒のゴールデンルーキーたちが話題を集めているが、ちょうど1年前のこの時期もそれは同じ。なかでも別格の注目度を誇ったのが、前年秋のドラフト会議で高卒としては史上最多タイとなる7球団が1位指名した清宮幸太郎である。
抽選の末に日本ハムへと入団した金の卵は、キャンプ前の新人合同自主トレで右手親指を痛めるアクシデントがあり、開幕直前のオープン戦期間には体調不良で入院を強いられたこともあったが、復帰後は二軍で快音を連発。モノの違いを見せつけ、5月2日の楽天戦で早くも一軍デビューを果たす。
昇格後初打席でいきなり岸孝之からフェンス直撃の二塁打を放つと、そこから新人記録となる7試合連続安打も達成。7試合目には、オリックスのブランドン・ディクソンからプロ第1号となる豪快な本塁打も放っている。
鮮烈なデビューを飾るも、そこからはプロの壁に苦しむ。連続安打が止まってからはなかなか快音が聞かれず、打率は.179(67-12)まで低迷。5月末にはファーム降格も味わう。しかし、ここで巻き返すのが清宮のすごさ。二軍では本塁打を量産し、5月末からオールスター前までの1カ月あまりで11本の本塁打をマーク。一軍での経験を糧に成長した姿を見せつけた。
その後、短期間の一軍昇格を挟み、8月中旬に3度目の一軍昇格を果たすと、月間打率.333(33-11)で3本塁打の大暴れ。9月以降はやや成績を落としたものの、シーズントータルでは53試合で打率.200(160-32)、7本塁打という結果。高卒1年目での7本塁打は、早実の大先輩である王貞治氏と並ぶ記録だ。
この春はアリゾナで行われる一軍キャンプに帯同して、日本時間10日に行われた今春初の紅白戦では4番でスタメン。すでに首脳陣からの期待の高さが表れている。そこでの結果に対して栗山英樹監督からいきなり厳しい言葉が飛んだことが報じられているが、それも大きな期待があってこそ。一塁には中田翔という大きな存在がいるが、高卒2年目から先輩にプレッシャーをかけるだけのポテンシャルは秘めている。
2020年には東京五輪という大きな舞台も迫っているなか、侍ジャパン・稲葉篤紀監督も清宮には熱い視線を送っている。まずはチームで地位を築き、いずれは日本の主砲へ。清宮幸太郎にとって大事な1年がはじまる。