飛躍に期待の“高卒2年目スラッガー”
2月1日に始まった春季キャンプも、気が付けば中盤戦に突入。ここからは各チームで実戦の機会が増えていき、開幕一軍をかけたサバイバルレースも激化していく。
キャンプで押さえるべきキーワードといえば「しんせんりょく」。今季からチームに加わった“新戦力”はもちろんのこと、今季こそレギュラー奪取を目指すという“新鮮力”にも期待がかかる。
なかでも取り上げたいのが、一昨年のドラフトを盛り上げた3人の“高卒スラッガー”。ここでは、大きな期待を背に2年目のシーズンに挑むヤクルト・村上宗隆にスポットを当てる。
失策を取り返した初打席弾
熊本の九州学院高時代には1年から4番を務め、当時から大きな注目を浴びていた清宮幸太郎(早実→日本ハム)とともに“怪物1年生”として注目を浴びた大砲候補。2年以降は県内のライバル・秀岳館高の高い壁に阻まれて甲子園出場はなかったものの、ドラフト会議では1巡目で清宮を外したヤクルト、巨人、楽天の3球団から再入札の1位指名を受け、競合抽選の結果ヤクルトへの入団が決まった。
誕生日は2月2日の早生まれの2000年生まれながら188センチ・97キロの恵まれた体格を誇る男は、1年目の開幕からファームで主軸として活躍。98試合に出場して打率.288(365-105)、17本塁打、70打点という高卒ルーキーらしからぬ成績を残しており、その中で16盗塁を決めるなどスピードも見せつけている。
9月には待望の一軍昇格を果たすと、初回の守備で失策を喫してしまい、それが大量失点に繋がるというほろ苦い出だしにはなったものの、その直後に迎えたプロ初打席で広島・岡田明丈からライトスタンドへ豪快な一発。落ち込んでしまうのではなく、バットで取り返すという意気込みでしっかり結果を残すという大物ぶりを発揮した。
結果的に一軍での安打はその1本に終わったものの、オフのフェニックスリーグでは17試合で10本塁打という驚異的な打棒を発揮。その後に行われたアジア・ウインターリーグでもイースタン選抜の主軸として19試合に出場すると、打率こそ.224となるも本塁打は最多タイの4本を記録。改めて能力の高さを見せつけた。
この春は三塁のポジション獲りだけでなく、オプションとして高校時代に守った一塁の練習にも取り組むなど、一軍定着に向けた準備を着々と進めている。
2015年には川端慎吾、畠山和洋というタイトルホルダーのいた三塁・一塁のポジションも、近年は2人の不振や故障などもあって絶対的な存在は不在。2年目の今年、村上がいきなりレギュラーを張っていてもなんら不思議ではない。新人王候補としても期待の声が挙がる高卒2年目・村上宗隆に注目だ。