FA組だけじゃない!注目の自由契約組
春季キャンプもはじまり、いよいよ球春が到来。ここに来て史上最強クラスとも呼ばれる寒波の襲来によってそんな気配は遠のいてしまった感はあるが、着実に春は近づいている。
キャンプで注目を集める選手と言えば、各球団期待の新戦力だろう。今年はセ・リーグ2年連続MVPの丸佳浩が広島から巨人に移籍し、西武の10年ぶりのリーグ制覇に貢献した浅村栄斗は楽天へ移籍。ほかにも炭谷銀仁朗や西勇輝といった実力者たちの移籍もあって、戦力図の変化に注目が集まっている。
一方、このオフ注目を集めたのは“FA組”だけではなかった。所属球団を退団して他球団と契約を結んだ、いわゆる“自由契約組”だ。
ツバメ再生工場で復活を…
昨季セ・リーグ2位と躍進したヤクルトは、自由契約となった2人のベテランをチームに加えた。
一人目がソフトバンクを退団した寺原隼人。今季プロ18年目を迎える35歳は、キャリア4球団目となる新天地で復活を期す。
近年は中継ぎでの起用が多かったが、新天地では先発ローテ入りを目指してオフから身体を仕上げてきた。春のキャンプでも初日から連日ブルペンに入って投球練習を行うなど精力的なアピールを続けており、小川淳司監督も先発の一人として期待を寄せている。
昨季はソフトバンクで21試合に登板したが、先発登板はゼロ。それでも、キャリア299試合のうち171試合で先発を任されているように経験は豊富だ。かつてのイメージのような剛速球はなくとも、シュートやカットボールなどでバットの芯を外す投球術で先発ローテ入りを目指す。
また、もう一人もソフトバンクを退団した五十嵐亮太。プロ19年目の39歳右腕は、自由契約を経て10年ぶりの“古巣復帰”となった。
かつてはヤクルトで勝利の方程式を担い、活躍の場をメジャーに移した速球派右腕。2013年にソフトバンクで日本球界に復帰してからもリリーフとしてチームに貢献してきたが、昨季はヘルニアの影響で満足いく調整ができずに出遅れ。23試合の登板に留まり、オフに戦力外通告を受けた。
入団会見時には「まさか戻れるとは…」と古巣から声がかかった時の心境を明らかにした右腕。この春のキャンプでは下半身の違和感によって別メニュー調整となるシーンもあったが、現在はすでに投球練習も再開している。
昨季のヤクルトを振り返ってみると、74試合に登板して最優秀中継ぎ投手に輝いた近藤一樹をはじめ、抑えに定着した石山泰稚も71試合に登板。2人の柱がフル回転でブルペンを支えたほか、風張蓮が53試合、左腕の中尾輝も54試合に登板するなど、50試合以上に登板した投手が4人もいた。
今季も引き続き活躍が期待される一方、やはり心配なのが蓄積疲労。特に近藤はここ2年で128試合、石山は138試合に登板と2年連続で大車輪の活躍を見せただけに、その反動が不安視される。それだけに、経験豊富な五十嵐がここに加わってくるというのは頼もしい限りだ。
ヤクルトと言えば、坂口智隆という自由契約からの移籍を経て復活を遂げた成功例があり、今や勝利の方程式の一角に定着した近藤もトレード移籍を機に復活を遂げた男のひとり。かつての“再生工場”ぶりが近年になってまた発揮されているというのも心強いポイントになるだろう。
寺原と五十嵐も神宮でもうひと花咲かせることができるか。彼らの2019年に注目だ。