ベテラン・寺原は2年ぶりの先発へ
2月1日に始まった春季キャンプもいよいよ中盤戦。徐々に実戦の機会が増え、ここから開幕一軍をかけたサバイバルも激しくなっていく。
キャンプで気になるポイントと言えば、各選手の“新たな挑戦”。開幕まで2カ月ほどの期間があるキャンプでは、配置転換やコンバート、有事に備えてサブポジションを鍛える選手もいる。
昨季のリーグ2位からもうひとつ上を目指すヤクルトでは、投手陣の配置転換に注目が集まっている。なかでも、中継ぎから先発へ移る選手が何人かおり、それぞれ先発ローテ入りを目指して精力的な動きを見せている。
例えば、ソフトバンクを自由契約となってチームに加わった寺原隼人がそのひとり。昨季は21試合の登板で一度も先発はなかったものの、キャリア18年で299試合に登板してそのうち先発は171試合。2017年にも24試合中6試合で先発しているように、経験は申し分ない。
35歳になったベテラン右腕だが、今春は初日から連日ブルペンに入るなど仕上がりの良さを見せており、新天地での復活に向けてアピールを続けている。同じくソフトバンクを退団してヤクルトに戻ってきた五十嵐亮太とともに、投手陣を盛り立てる活躍に期待したい。
期待の若手も
ヤクルトの投手陣では、2017年のドラフト2位右腕・大下佑馬にも注目が集まる。
ルーキーイヤーの昨季は一軍で25試合に登板。そのうち先発は2試合のみだったが、主に先発が早めに崩れた際のロングリリーフとして起用されており、スタミナ面の不安は少ない。
確固たる決め球や目を見張る速球といった分かりやすいアイコンはないものの、テンポよく投げ込んで打たせて取る投球が信条。守備から攻撃へと良い形で流れを作れる投手だ。2年目の進化に期待がかかる。
ヤクルトの投手陣を見ると、小川泰弘とデービッド・ブキャナンの2本柱に加えて昨季終盤に良いアピールを見せた原樹理のローテ入りは有力視されているが、残りの3枠は完全な競争。石川雅規や館山昌平といったベテラン勢に、星知弥や高橋奎二、寺島成輝といった期待の若手、そして新外国人のアルバート・スアレスに、ドラフト1位の清水昇ら新戦力で争うことになる。
開幕ローテーション入りへ向けた激しいレース。打線と中継ぎは昨季もその力を証明しているだけに、先発陣が競争によって底上げされれば、昨年以上の結果に近づくことは間違いない。
新天地で先発復帰を目指す寺原と、新たなポジションでレギュラー定着を目指す大下はローテのイスを掴むことができるのか。ヤクルト先発陣の争いから目が離せない。