8年目の上沢が初の開幕投手
今年もアリゾナでキャンプを行っていた日本ハム。現地時間12日(日本時間13日)、アメリカでのキャンプにひと段落つけたこの日、栗山英樹監督は今季の開幕投手を上沢に託すことを発表した。
上沢は昨季11勝(6敗)をあげ、自身初の2ケタ勝利を達成。シーズン終了後に行われた日米野球の侍ジャパンメンバーにも選出されるなど、充実のシーズンを過ごした。
日本ハムはこのオフにオリックスを自由契約になっていた金子弌大を獲得。開幕投手を6度務めたことのあるベテランを迎え入れたが、指揮官は若きエース候補にさらなる飛躍の期待も込め、大役を任せることを決めた。
「この試合が大事というよりも、1年間勝ち切ることが大事」「それが開幕投手の責任だと思うので、期待しています」と栗山監督。やはり開幕戦というのは大きな意味合いを持つ一戦であり、開幕投手を託すということはチームのエースとして、一年間ローテーションの柱になることを期待された存在であるということだ。
オープン戦の開幕も一週間後に迫り、徐々に対外試合が増えていくなか、これから他球団の開幕投手も発表されていく時期に入る。そこで、今回は昨年の開幕投手の顔ぶれとその後のシーズンの成績を振り返ってみたい。まずはセ・リーグから。
セ・リーグの2018年開幕投手
▼ 広島・野村祐輔(初)
20試(119.1回)7勝6敗 防4.22
▼ ヤクルト・ブキャナン(初)
28試(174.1回)10勝11敗 防4.03
▼ 巨人・菅野智之(4度目)
28試(202回)15勝8敗 防2.14
▼ DeNA・石田健大(2度目)
23試(92.1回)3勝7敗 防4.97
▼ 中日・小笠原慎之介(初)
17試(107.1回)5勝6敗 防4.11
▼ 阪神・メッセンジャー(5度目)
28試(173.2回)11勝7敗 防3.63
こうしてみてみると、経験豊富な菅野やメッセンジャーはその後のシーズンでもさすがの成績。菅野は自身5度目の開幕投手も当確の模様で、今季の開幕戦で勝利を挙げれば別所毅彦、斎藤雅樹に並んで巨人の開幕投手における歴代勝利数で1位タイ(4勝)となる。
ヤクルトのブキャナンは勝ち星で貯金こそつくれなかったが、チームで唯一の規定投球回に到達。助っ人としては04年のベバリン以来、球団史上14年ぶりに開幕投手を務めた右腕だったが、先発陣の柱として来日2年目のシーズンを全うした。
一方で、2年連続で開幕投手の座を掴み取った石田は首脳陣の期待に応えられなかった。シーズン途中に2度の二軍降格を経験し、後半戦は主に中継ぎとしてマウンドへ上がっている。シーズン終了後には一般女性との結婚を発表。そういった意味でも今年は“勝負の5年目”となる。
パ・リーグの2018年開幕投手
▼ 西武・菊池雄星(3度目)
23試(163.2回)14勝4敗 防3.08
▼ ソフトバンク・千賀滉大(初)
22試(141回)13勝7敗 防3.51
▼ 日本ハム・ロドリゲス(初)
9試(37.2回)3勝2敗 防5.26
▼ オリックス・西 勇輝(初)
25試(162.1回)10勝13敗 防3.60
▼ ロッテ・涌井秀章(4度目)※通算9度目
22試(150.2回)7勝9敗 防3.70
※西武時代(05~13年)に5度の開幕投手
▼ 楽天・則本昂大(5度目)
27試(180.1回)10勝11敗 防3.69
パ・リーグの開幕投手は、経験のある投手の中でも明暗がわかれる形に。菊池は離脱期間もあったが、1試平均7イニング以上を投げて一人で「10」もの貯金を生み出した。シーズン終盤にはプロ入り以来勝ち星のなかったソフトバンクに対して待望の1勝をマーク。投手陣の大黒柱として10年ぶりのリーグ優勝に貢献した。
対照的に、則本はプロ入り後ワーストの防御率3.69を記録。投球回ではリーグトップの「180.1回」をマークしたが、これまでの実績を考えればトータルで物足りない成績だった。また、涌井は西武時代から合わせて9度目となる大役も、ここ2年連続で2ケタ勝利には届かず。今季は石川歩に開幕投手の座を譲ることが濃厚となっている。
初の開幕投手を務めた千賀はチームトップタイの13勝をマーク。しかし故障離脱の影響もあり、規定投球回にはあと2イニング届かず。チームは日本一に輝いたものの、まさかの規定投球回到達者「0」という珍記録をアシストしてしまった。
“143分の1”以上の意味合いを持つ開幕戦。そのマウンドに登っているのは誰なのか。今季の開幕投手にも注目だ。