ニュース 2019.02.18. 12:19

清宮・安田・村上だけじゃない!ブレイク期待の“高卒2年目投手”

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中日・石川翔 (C) KYODO NEWS IMAGES

石川翔がキャンプ中に一軍抜擢


 春季キャンプもいよいよ終盤戦に突入。各地で実戦が増えてきているなか、14日にロッテのドラフト1位ルーキー・藤原恭大が中日との練習試合で3安打の固め打ちを記録。藤原はその翌日も2打数1安打と2試合連続で結果を残しており、高卒ルーキーの奮闘が話題を呼んだ。

 やはりルーキーはこの時期の話題の中心になりがち。首脳陣からの期待は背負いつつも開幕一軍入りに向けてアピールが求められる立場であり、早い時期から状態をあげていかなければならない。

 そんな中、ルーキーの奮闘は別の意味でも良い効果をもたらす。先にプロ入りした先輩たちに危機感とやる気を与えるということだ。

 特に楽しみなのが高卒2年目を迎える選手たち。プロ野球1年生を終えて2度目の春を迎えた男たちは、大きな期待と注目を集めるはじめての後輩たちに負けじと静かに闘志を燃やしている。


 例えば、中日の石川翔がそのひとり。栃木の青藍泰斗高から2017年のドラフト2位でプロ入りした右腕は、ドラフト当初から“素材型”と言われてきた通り1年目のほとんどをファームで過ごしたが、シーズン最終戦で念願の一軍登板を達成。1回を三者凡退に抑える好投を見せた。

 ファームでも5試合の登板と実戦は少なく、防御率も6.23と決して良い数字とは言えなかったが、8回と2/3を投げて12奪三振を奪うなど、光る部分も見せつけている。今春も当初は二軍スタートだったが、途中で一軍昇格を勝ち取って練習試合にも登板。上で藤原の紹介で触れた14日の練習試合にも登板しており、藤原に適時打を許すなど2回1失点という結果に終わったが、この時点で最速147キロをマークするなど大器の片りんは見せた。

 阿波野秀幸投手コーチも器の大きさを高く買っており、今後もチャンスは与えられることだろう。特に中日の投手陣は昨季の開幕投手である小笠原慎之介が手術明けで、松坂大輔は故障により開幕に間に合うかどうか不明という状況。ほかにも、期待の高卒3年目・藤嶋健人が血行障害の手術を受けたばかりで復帰時期の見通しが立っていないなど、シーズン開幕から苦しい台所事情で戦っていかなければならないことが予想される。

 しかし、この状況は石川にとっては大きなチャンス。この先のアピール次第では、開幕一軍や先発ローテーション入りの可能性も大いにある。首脳陣の期待に応え、まずはブレイクのキッカケを掴みたいところだ。


遠藤淳志、阪口皓亮にもチャンス到来


 同じ“高卒2年目”というところでは、広島の遠藤淳志もチャンスをもらったひとりだ。

 茨城の霞ヶ浦高から2017年のドラフト5位でプロ入りした右腕は、ルーキーイヤーの一軍登板こそなかったもののファームで4試合に登板。20イニングを投げて防御率は2.25と上々の成績を残した。

 こちらもキャンプは二軍からのスタートだったが、途中で一軍キャンプに招集されて紅白戦に登板。打者4人に対して無安打投球を見せた。その後、ファームに戻ることになったものの、一軍の首脳陣に良い印象を与えたことは間違いない。同じ若手の先発候補だった高橋昂也がトミー・ジョン手術を受けたという事情もあって、チャンスは再び巡ってくることだろう。

 思い返してみると、広島では1年先輩のアドゥワ誠が高卒2年目の昨季に飛躍を遂げている。遠藤と同じく1年目の一軍登板こそなかったものの、昨季は一軍で中継ぎ陣の一角を勝ち取り、デビュー年で53試合に登板。優勝に大きく貢献して見せた。

 実はアドゥワも「ドラフト5位の高卒投手」ということで、この部分も遠藤と同じ。先輩と同じ道をたどって2年目のブレイクとなるか、注目だ。


 最後にもう一人、雨によって実戦登板の機会は流れてしまったものの、DeNAの阪口皓亮も紹介しておきたい。

 北海道の北海高から2017年のドラフト3位でプロ入りした右腕は、13日に行われる予定だったロッテとの練習試合で先発を任される予定だったが、午前中の土砂降りによるコンディション不良で試合がなくなってしまった。

 それでも、チームの対外試合初戦で先発を託される予定だったという点からも、首脳陣の高い期待が伺える。昨季は一軍登板こそなかったが、ファームでは18試合の登板でチーム最多の82回を投げるなど実戦経験を積んでおり、オフにはU-23・W杯の侍ジャパンメンバーにも選出。そんなこともあって、日本代表チームを率いる稲葉篤紀監督からも大きな期待を受けているという逸材だ。

 DeNAの投手陣では昨季の新人王にしてチームの勝ち頭だった東克樹が左肘の違和感から出遅れており、開幕ローテ入りは微妙な状況。チームにとっては大ピンチだが、阪口にとっては大きなチャンスとなる。アレックス・ラミレス監督は昨季も京山将弥や飯塚悟史といった若手を抜擢しているだけに、アクシデントなくアピールができれば、2年目右腕にもチャンスの順番が巡ってくるだろう。


 今年の“高卒2年目”世代といえば日本ハムの清宮幸太郎を筆頭にロッテの安田尚憲、そしてヤクルトの村上宗隆という大砲候補が話題の中心だった。3人ともドラフト1位指名の選手であり、高校時代の実績などを考えても注目を集めるのは当然のことだろう。

 しかしながら、実は投手にも好素材は揃っている。過去を振り返ってみると、あの前田健太や涌井秀章といったエースがブレイクしたのも高卒2年目のシーズンだった。

 大砲候補に隠れた“高卒2年目投手”にも注目だ。


【2017年ドラフトでプロ入りした高卒投手】
※支配下のみ

▼ 広島
2位:山口 翔(熊本工)
5位:遠藤淳志(霞ヶ浦)

▼ 阪神
6位:牧丈一郎(啓新)

▼ DeNA
3位:阪口皓亮(北海)
5位:桜井周斗(日大三)

▼ 中日
2位:石川 翔(青藍泰斗)
4位:清水達也(花咲徳栄)
6位:山本拓実(市西宮)

▼ ヤクルト
5位:金久保優斗(東海大市原望洋)

▼ ソフトバンク
1位:吉住晴斗(鶴岡東)
5位:田浦文丸(秀岳館)

▼ 西武
4位:平良海馬(八重山商工)

▼ 日本ハム
3位:田中瑛斗(柳ケ浦)
5位:北浦竜次(白鴎大足利)



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