強力打線は今季も健在
2月23日からオープン戦がスタート。ここから、チームの中心選手以外の若手・中堅・ベテランによる、熾烈なポジション争いが激化していく。
そんななか、一昨年の最下位から一転2位へと躍進したヤクルトの打線が光った。初戦の対阪神戦から強力打線が爆発。坂口智隆、青木宣親、雄平といったベテラン勢が先発出場を果たし、そろって安打を記録。さすがの貫禄を見せている。
一方、若手や中堅も負けてはいない。期待の大砲候補である村上宗隆には安打が生まれなかったものの、広岡大志がバックスクリーンへの代打本塁打。練習試合でも1試合2本塁打を放つなど、その長打力に磨きがかかってきた印象を受ける。
その他にも、荒木貴裕に代打本塁打が飛び出せば、西浦直亨は2安打と中堅の選手たちもしっかりと結果を出し、小川淳司監督をよろこばせている。とくに、広岡に関して小川監督は、今キャンプで頑張った選手として塩見泰隆とともに名前を挙げており、大きな期待を寄せていることがわかる。
広岡が智辯学園高の先輩でもある岡本和真(巨人)と同様に、高卒4年目にしてブレイクの兆しを見せているが、レギュラーへの道のりは容易ではない。
立ちはだかる強力なライバルたち
広岡の本職は遊撃手。昨季は「7番・遊撃」で開幕スタメンを勝ち取っており、球団OBの池山隆寛を彷彿させる「強打の遊撃手」として期待されていた。しかし、序盤で結果を残すことが出来ず、西浦にポジョションを奪われファームへと降格。結果、45試合の出場にとどまり、打率.209(115-24)、2本塁打、10打点という成績に終わった。
一方でチャンスをモノにした西浦は、自身初となる規定打席に到達し、飛躍の一年を過ごした。春季キャンプ限定ではあるが主将にも任命されており、首脳陣からの信頼も厚い。実戦でも結果を残しており、当然、1年でレギュラーを明け渡すつもりはない。
この西浦の存在もあり、広岡は練習試合やオープン戦で一塁の守備についている。しかし一塁には、3年連続で規定打席に到達し、昨季は打率.317とチームを引っ張った坂口がいる。三塁に目を向けても、3月にメキシコと対戦する侍ジャパンのメンバーに選出された村上がスタメンで起用され続けており、2015年首位打者の川端慎吾、ベテランの大引啓次らもファームで汗を流している。
現時点で広岡に用意されているポジションはない。遊撃、一塁、三塁とそれぞれに強力なライバルがおり競争は激しい。とはいうものの、彼の長打力が魅力的であることも間違いないだろう。山田哲人、バレンティンと右の強打者は揃っているが、今後のヤクルトを考えれば、広岡のさらなる成長に期待したい気持ちもあるはず。
広岡としては、オープン戦で結果を残し続け、指揮官に嬉しい悲鳴をあげさせることがまずは重要になってくる。バレンティン、青木、雄平が揃う外野でも、前述の塩見が好調を維持しており、小川監督の起用法を含め、ヤクルトの熾烈なポジション争いから目が離せない。