ここまでは順調
「順調にきていると思います」
ロッテの荻野貴司は、石垣島の春季キャンプからここまでの状態に一定の手応えを掴んでいる。昨年は7月9日の西武戦で右手指を骨折して離脱。シーズン中の復帰は叶わなかったが、同年の10月には打撃練習を再開し、2月1日の紅白戦にも出場した。石垣島の春季キャンプを打ち上げた後は、二軍の練習試合などに出場して調整を続けている。
昨季は主にセンターを任されていた荻野だが、昨季途中にトレードで加入し、荻野の故障離脱後にセンターを任されていた岡大海、ドラフト1位ルーキーの藤原恭大らが加わったことも関係しているのか、キャンプ中はセンターだけでなく、ライトを守る場面も見られた。
また、27日に行われたゴールドジム戦の試合前練習では、打撃練習する選手たちの打球をレフトのポジションで受けていた。今年34歳となる荻野は「どこでも守れるようにしておきたい。(外野は)全部のポジションを練習しています」と定位置確保に向けた準備に余念がない。
ライバルたちがアピールも
荻野が石垣島でトレーニングを続けた傍らで、一軍は11日にキャンプを打ち上げ、13日から沖縄本島、高知、宮崎と遠征を続けている。その間に外野のレギュラーを争うライバルでもある岡大海が24日の西武との練習試合で本塁打を含む2安打をマーク。7年目の加藤翔平も紅白戦から打撃好調で、さらにはルーキーの藤原も存在感を示している。
ポジションを争う選手たちの活躍にも、「気にしてもしょうがない。自分のことをしっかりやっています」と至って冷静。周りを気にすることなく、自分自身と向き合い、開幕に向けて調整を進めている。
若手、中堅が“開幕一軍”、“レギュラー”を目指しアピール合戦を繰り広げているが、荻野の存在はまだまだチームにとって欠かせない。その存在の重要度は、昨季のチームが荻野の故障前まで39勝37敗2分と勝ち越していながら、離脱後に20勝44敗1分と大きく負け越したことと無関係ではないだろう。その“足”でプレッシャーを与えつつ、多くの得点を演出してきたことは間違いない。
目前に迫った通算200盗塁
そしてプロ10年目の今季は、残り「27個」に迫った通算200盗塁達成にも期待がかかる。球団で通算200盗塁以上記録しているのは、歴代で西村徳文(363盗塁)、弘田澄男(284盗塁)、有藤道世(282盗塁)、小坂誠(265盗塁)の4人しかいない。
目前に迫った節目の記録に荻野は「200まではナンボやなとか計算したことはありますけど、そんなに強い思いはない。ただ区切りといえば区切り。そこを目指して頑張ります」と意気込む。
通算200盗塁を達成するためには「シーズンベスト(26個)を越したらいけるということですね」と荻野が話したように、13年と17年にマークした自己最高の26盗塁を越える必要がある。故障による離脱さえなければ、シーズン中に十分クリアできる数字だ。
「若手に限らず自分の持ち味をアピールしてやっていきたいと思います」。ベテランと呼ばれる年齢に差し掛かってきたが、まだまだチームにとって必要不可欠な存在。今季こそ大きな故障なく1年間を過ごし、ZOZOマリンのグラウンドで躍動する姿をファンに見せてもらいたい。
取材・文=岩下雄太