ニュース 2019.03.04. 11:30

春季キャンプ今昔物語【深澤弘のショウアップナイターヒストリー】

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巨人キャンプを訪れ、高橋監督(左)と話す長嶋茂雄元監督 写真提供:共同通信社

長嶋茂雄と春季キャンプ


 キャンプがあっという間に終わってしましました。本当にキャンプというのは早いですね。まだ開幕までにはちょっと日がありますけれど、いよいよ開幕の足音が聞こえてきたと言う感じです。

 3月になっちゃいましたんで、話が大変古くなるんですが、2月20日は長嶋さんの誕生日でした。従ってキャンプの最中に誕生日を迎えるので、新聞記者の皆さんが長嶋さんがケーキの蝋燭の火を吹き消す写真が欲しくて、ジャイアンツ担当の何人かがそれぞれお金を出し合って、でっかいケーキを宮崎なら宮崎のケーキ屋さんに行って注文して、それを青島の宿舎に持っていき、長嶋さんに「誕生日おめでとう」と言って蝋燭の火をフーッと吹き消す、あの写真を撮って、長嶋さんもそこで「きょう誕生日だ」という感じになるわけです。

 ただ、いつも誕生日がキャンプ中という事は「家族とできないからなぁ」という事を言っておりましたけれど、この間は家で盛大にやったみたいですね。長嶋さんが元気というのは何よりです。

 長嶋さんがプロ野球に入った昭和33年、ジャイアンツのキャンプは兵庫県の明石という所でやりまして、まあ大変。私は昭和33年というのは就職して仙台へ行っておりましたのでキャンプの取材どころではなかったのですが、後で色々と話を聞くと、明石はとても寒いところで参ったそうです。当時の監督だった水原茂さんの色んな縁故がって、明石でキャンプをしたんだそうですが、とにかく長嶋茂雄が来るというので連日の超満員で大変なキャンプをやったそうです。

 で、ジャイアンツはその後、東京に戻りながら何試合かオープン戦をやって帰るわけですが、ジャイアンツ主催のオープン戦はとにかくチケットが手に入らない。大入り満員でとうとうオープン戦の間だけで明石でやった1カ月のキャンプ費用を回収したというような話もありますけれど、最近はキャンプで1億5000万円くらい掛かりますので、オープン戦で挽回するのは難しいようなんですが、当時から長嶋人気がジャイアンツに大きな貢献をもたらしていたという事が言えますね。


83歳の誕生日を迎えて


 その次の年、昭和34年からは、ジャイアンツがキャンプ地を宮崎に移すわけですが、それは何故かというと、それまで宮崎でずっとキャンプをやっていた近鉄パールスという、関根潤三さんがエースだったチームが、四国の今治にキャンプ地を移したんです。今治というのは北に向かって開けた瀬戸内海の町なので寒いのですが、それで宮崎が空いたのでジァイアンツがパッと入って、それからずっと宮崎に居続けている訳です。

 長嶋さんは毎年何らかの形で宮崎のキャンプへ行って、一声発したり色々叱咤激励したりするんですけれども、今年は宮崎へ行けるほどの体調ではないということで、残念ながら諦めたみたいですが、非常に悔しかったと思います。先日も報知新聞に出ていましたが、要人の健康状態というのはなかなか出てこないので、漏れてくる話から色々推測をするわけですが、去年の夏を過ぎてから胆石が非常に痛くなったんだそうなんですね。ニッポン放送ショウアップナイターの栗村智というアナウンサーも若い頃に胆石をやって七転八倒でどうしようもなかったというくらい、胆石の痛さというのはやった者じゃないと分からないらしいです。

 その胆石が突然痛み出して、病院に入院してすぐ手術だったんですけれど、この間の20日で「83」になりましたので、そう簡単に手術という訳にはいかない。何とか胆石を手術しないで体外に出す方法を考えようという事で、色々手を尽くして知らない合間に、家族の皆さんも知らない間に胆石が外へ出ていたと。で、その胆石を出すために、体内のパイプを広げるために入れたステントという金属まで一緒に流れ出ちゃったんじゃないかと。それが本当だとしたら実に上手くいったわけです。

 しかし何カ月か入院をして、しかも脳梗塞による身体の治療などもありますし、私も同じ歳ですからよく分かるんですけれど、例えば1週間くらい入院して寝ただですと、足腰が衰えて病室の外へ散歩に出る事ができないくらいのダメージを受けますので、少し体調が良くなったからといって大好きな散歩に出るというわけにもいかない。長いこと病院で過ごし、いまは自宅へ戻っているようですが、そのうち病院へ行って最後の仕上げをしてくるかみたいな事を言ってらっしゃるそうですけれど、どうでしょう。開幕くらいにグラウンドというのは少し難しいと思いますけれど、開幕くらいには病院の外に出て来られるのではないかと思います。


各球団上々の春季キャンプ


 長嶋さんも新聞を通じて、各チームのキャンプを色々と目にしたと思います。各球団の監督によるキャンプ価を見ていると、みんな満点という事で、12球団のいずれの監督も“大成功”という共通した評価になっていますね。なぜ大成功なのかというと、今年は大きな怪我人が出なかった事ですかね、中日の根尾くんが右のふくらはぎですかね、軽い肉離れをやったりしたけれども、大した事はなく終わりました。大体いつも大きな故障者が出たりするのですが、それがなかったという事で大成功だという認識なんだと思います。

 西武は投手陣と浅村の後が埋まったかどうか、日本ハムは去年あまり良くなかった投手陣に金子が加わってどうなるのか、吉田輝星をこれからどういう風に使って育てていくのか、清宮が本当に目を覚ますかどうか、この辺が大きなポイントだと思います。ソフトバンクはFA戦線で選手を取れなくて戦力が膨らまなかった。しかし流石ソフトバンクと思うのは、ドラフトで高校生の指名をほとんどやめて即戦力の選手を取ったことが大成功し、かなりの戦力になりそうだという事で、ソフトバンクの戦力の厚さは変わらない。

 オリックスは宮内オーナーがキャンプ地に来て「いい加減にみんな勝てや。いつまでもずっとここにいられると思ったら間違いだよ」みたいな脅かしを言って、ニコニコ笑いながら帰っていったそうです。ロッテはどうしても去年ホームランが少なかったので、レアード、バルガスの2人を補強して、果たしてホームラン打線、重量打線、井上、バルガス、レアードで、ホームランが何本打てるか、楽天はですね浅村がどうかって事、それから田中の成長でしょう。

 広島は1人のポジションを色んなポジションに増やすため、西川、下水流、それから上本、堂林、こういった選手を色んな所で守らせて危機管理にあてたということ。鈴木、菊池、田中、そこに長野が入ってそう戦力が落ちてないと思いますね。問題は投手力ですね。ジャイアンツは投手力が逆にだいぶ整備されたんで、去年のような事はないと思いますが、ちょっと心配なのは沖縄へ移ってから岡本があまり良い状態ではないということ。まだ日にちがありますから、なんとかなるでしょうが、どうも岡本がまだ元気がないのがちょっと気になりますね。

 DeNAは東が故障で出遅れます。肘をやりましてこれはなかなか簡単に治るものではないと思います。阪神も投手陣を強化して、西とかガルシアを取りました。投手陣がかなり厚くなりましたね。中日は、根尾がどのくらい戦力になってくるか。それでも良い構えをして、良い身体をして、良いバットスイングをして、足の怪我は大したことないと思いますので、戦力になったらいいチームになると思います。ヤクルトはやはり攻撃力というのは馬鹿にならないと思います。投手力も高梨が入ったりですね、外国人も何人か取りましたので投手力も打線も少しずつ膨らんできた感じがします。

 というわけで、キャンプはこれで終わり、オープン戦で最後の調整をしてペナントレースという事になります。


(ニッポン放送ショウアップナイター)
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