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田中将大、6年目のシーズンへ好スタート

フリーアナウンサーの節丸裕一が、スポーツ現場で取材したコラムを紹介。今回は、メジャー6年目となるヤンキース・田中将大投手を分析する。


【MLB 田中将大 渡米】渡米前に取材対応したヤンキース・田中将大=羽田空港 提供:産経新聞社

ヤンキースのキャンプ地フロリダ州タンパを訪ねた現地3月3日、メジャー6年目を迎える田中将大が、今年のオープン戦初登板で、タイガース戦に先発した。

初回、相手の先頭打者キャメロンには上手い野手なら捕れた打球に見えたが、センターを守るマイナーからの招待選手のフロリアルが頭上を越されて三塁打。いきなり無死三塁とピンチを迎えたが、直後の2人を連続三振に仕留めるなど、2番以降の9人を続けて打ち取る投球。結局、3回を投げて1安打無四球無失点で終えた。

降板後は「いろいろ試しながら結果も一応出たということは、もちろん良かった。いきなり三塁打を食らったけど、甘い球も多かったし、運に恵まれた部分もあったけど、特にカーブでカウントが取れた。いろいろありますけど、最初からあまり求めても仕方ないし、滑り出しとしては良かった」と振り返った。

現地放送局が紹介するデータによれば、田中は昨季150イニング以上投げた先発投手としては、速球(フォーシーム、ツーシーム、カッター、シンカー)がメジャーリーグで最も少ない31.3%だったという。およそ7割近くがオフスピードのボールで、その多くをスライダーとスプリッターが占めるが、田中のスライダーとスプリッターはメジャーリーグ全体でも屈指と評価される素晴らしい変化と精度を誇り、このボールを低めに集めることで結果を残して来た。

正捕手のサンチェスは低めのパスボールが多いことで有名だが、それを去年3月田中に尋ねると「もちろん分かってますけど、そこは僕もこれでもかって低めに投げますし、ワンバウンド、ショートバウンド、叩きつけるぐらいの気持ちで行ってます。それができないと僕の持ち味も生きてこない」と低めに投げる大切さを話してくれた。

その田中だが、今回の登板では、昨季までとは少し違う投球の組み立てが見られた。昨季までは比率が少なかったカーブと、高めの速球が多くあったのだ。

カーブについては、「球速帯としてはいちばん遅いボールだし、そのカーブの精度が上がれば打者もね…」と話していたが、今年は握りも変えたと言う。「球速は少し速くなると思う」と言うが、「精度が上がれば、カウント球としても勝負球としてもいろいろ使えると思う」と新しいカーブに取り組んで来て、今回の登板では「カーブでも3イニングを通して、しっかりストライクがとれていた」とある程度の手ごたえを感じた様子だった。

高めの速球とカーブ。これはフライボールレボリューションでホームランが量産される状況のなか有効とされる攻め方で、田中も「これまでも取り組んできたがなかなか上手くできなかった」と言う。今年、握りを変えたカーブを活用できれば投球の幅が広がることは間違いない。

田中は日本人選手としては初めてとなるデビューから5年連続で2ケタ勝利を挙げて来たが、満足感はない。「周囲の期待に本当に応えることができているとは思わないし、それは超えていかないといけない」

ヤンキースは昨季、史上最多の267本塁打でリーグ2位の総得点を記録した重量打線と、リーグ3位の防御率の救援投手陣を擁した。このふたつのストロングポイントは昨年以上とも期待されるだけに、「先発投手が弱いと言われているし、自分が結果を残すことが、チームの結果にも結びついてくると思う」とチームの中心投手としての責任感もにじませた。

一昨年、自身の好投でチームを牽引しながらも、ワールドシリーズまであと1勝届かずに悔しい思いをした田中は「これがポストシーズンか、このためにみんなやってきてるんだ、って意味がわかった気がするし、絶対に勝ちたい、という思いがより強くなりました」と話していた。一昨年はアストロズ、去年はレッドソックス、いずれもポストシーズンでヤンキースが敗れた相手が世界一まで登りつめた。今年こそ、の思いは当然強いはずだ。

日本以上に早いペースで変化し、進歩し続けるメジャーリーグのなかでやって行くことは「大変ですよ」と笑うが、その表情には、だからこそのやりがい、充実感が感じられた。松井秀喜氏がMVPに選ばれる活躍でヤンキースがワールドシリーズを制してから今年で10年。今度は田中の活躍で…。その瞬間を目撃できることを期待しながら、その舞台に進む権利を得るためのレギュラーシーズンの戦いを見て行きたい。
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