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【堺ビッグボーイズ】大切なのは目先の勝利よりも子ども達の将来

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野球人口の減少に伴い、少年野球チームも次々と数を減らしていく中、年々選手を増やし創設3年足らずで約40人の選手を集めた硬式野球チームが大阪にある。堺ビッグボーイズ小学部だ。中学生は3年生も含めれば約110人。他府県から1時間以上かけて通う選手も少なくない。複数回の全国優勝を誇り、目の前の勝利よりも子ども達の将来を見据えて取り組むチームは、多くの選手、保護者から支持を得ていた。
午前8:20。雨天によるグラウンドコンディション不良のため室内練習場に集まった子ども達の顔はワクワクに満ちていた。チームが何よりも大切にしているのが子ども達に楽しんでもらうこと。ホームページ上で公開されている紹介動画には運動会や海水浴、ロサンゼルス遠征などむしろ野球以外のシーンの方が目立つ。

練習メニューには必ずサッカーやドッジボールなど他競技が入る。土・日・祝日に行われる練習は半日で終わるため、いわゆる"野球の練習"は全体の半分程だ。

昨年12月から小学部の指導に当たる佐野誓耶コーチは「子ども達が楽しんでるかな、週末を楽しみにしてるかな」ということを心掛ける。地元の神奈川でも指導経験はあったが「こんなエネルギッシュな子ども達は見たことない」と驚いたという。

写真:小学部の指導に当たる佐野誓耶コーチ
小学部の指導に当たる佐野誓耶コーチ

アップでは前転や側転、三点倒立などを行う。こうした体の使い方が出来るとケガをしにくくなるという。しかし、高校生になってから習得しようと思っても難しい。堺ビッグボーイズが見据えるのは週末の試合での勝利よりも子ども達の将来だ。

例えば中学硬式野球のガイドラインでは投手の球数に関しては1日7イニング。連続した2日で10イニング・・・などの決まりがある。そんな中、堺ビッグボーイズの球数の目安は1年生が50球、2年生が70球。1年生は変化球を投げず、中学を卒業するまでは、肩や肘に負担のかかるスライダーは禁止。カーブとチェンジアップのみで、変化球は最大でも全投球の1割以下。ボーイズの試合はダブルヘッダーでも行われるためこのチーム方針を守った上で白星を量産することは難しい。

瀬野竜之介代表は「思いっきり教育やと思ってやってますから。試合したら時にはボロ負けすることもあります。勘違いされるんですが負けていいとは思ってないです。子ども達は勝ちたい、上手くなりたいと思ってますし、その気持ちは最大限尊重するべき」と話す。

写真:子ども達に話をする瀬野竜之介代表
瀬野竜之介代表

特に子どもの年代で勝利を追い求めるなら、指導者の指示に忠実に従う軍隊を作り上げることが確実で手っ取り早い。以前は堺ビッグボーイズのグラウンドにも怒号の飛び交う光景が広がっていた。しかし、その方法では他チームも含め、選手が期待されたほど伸びていなかった。様々な人との出会いの中で仕組みを変えないといけないと感じ、8年前にNPOを設立。押し付けない、答えを与え過ぎない方針へと舵を切った。

「うちのコーチが前言ったのが、教育って何のためにあるんですか?ってなると、彼らが大人になった時に役立つために、アプローチすることではないかと。少年野球も、高校野球も教育の一環と言ってるけどそれはほんとに教育になっているのか。子どもが大人になった時に役立つことを教えるのが教育なのに小学校も中学校も高校も目の前の勝たないといけない目先の成果を求めすぎることで、精神的にも肉体的にも彼らのためになっていないことがとても多くなっているのではないかと思います」

このような考え方を持ち、且つ実践出来ている指導者は貴重だ。

「ここのやり方は中々ないので、うちの子にはちょうどいいのかな。理念もしっかりしてますし、子どもの将来を考えて指導してくださってそれがいいなと思って」と話してくれたのは京都から通う選手の保護者。家を出るのは朝6:45。近くのチームの練習体験に行ったこともあるが、取り組みに惹かれ遠方だが堺ビッグボーイズを選んだという。

怒鳴らず、詰め込み過ぎず、将来のために。堺ビッグボーイズは新たなモデルを示している。
(取材・撮影:小中翔太)

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