スポーツ選手が技術的な上達をする時には「手応え」を感じるものです。
私は「手応え」とは「『身体からの声』を頭で理解すること」だと思います。身体は動作によって何かしらの意思表示をします。その動作を頭で「こういうことか!」と理解した時にそれは「手応え」として感じ取られます。
「手応え」を感じ取るためのコミュニケーションは「『身体からの声』を聞くこと」から始まります。
・どんな風に振ったか?
・投げた瞬間にどんな感触があったか?
・タイミングは?
・力の入れ具合は?
様々な動作の要素を頭で感じ取ることが「身体の声」を聞くことに通じます。
さて、グラウンドを見渡してみるとこんな声が飛び交います。
「腰が高い!」「はい!」
「もっと腕を振れ!」「はい!」
「一歩目が遅いぞ!」「はい!」
「強くバットを振り抜け!」「はい!」
このコミュニケーション、どう思われますか?
これは「身体との対話」ではなく「指導者との対話」です。指導者が選手の「身体との対話」に割って入り、選手は自分の「身体からの声」に耳を傾けず、「指導者からの声」ばかりに気を取られてしまっているように感じます。私はこのような指導者の過剰な干渉は選手の「身体との対話」を邪魔しているようにさえ感じます。
では指導者が技術指導する時にはどんなコミュニケーションが良いか?
私は「身体との対話を補助すること」が指導者に必要だと思います。
「うまく打ったね。今はどんな肘の使い方をしたの?」
「今のボールはよくスピンがかかっていたよ。どこに力を入れて投げたの?」
といった具合に「どんな身体の動かし方をしたか?」を回想させるようなコミュニケーションが必要だと思います。子どもは「身体に対する質問」を上手く作れません。だからこそ大人が質問を考えてあげる、それが指導者の役割だと思います。技術に詳しければ「想定した答えを引き出す質問」を立てることも可能です。技術がわからなくても「どうやってプレーしたの?」と質問することや、選手の「自分のプレーの言語化」を補助することは大人であればできると思います。
「身体との対話」が上手な選手は技術の再現性が高く、安定したプレーができます。野球は「技術の再現性」がとても重要な要素を占める競技です。「当たり前を当たり前としてやりきる技術力」が打撃のミスショットを減らし、守備のエラーを減らします。運動能力が高いのに野球で結果が出ない選手は「技術の再現性」に課題を持っているケースが多いです。
これらは指導者の心がけひとつで変わると思います。
基礎技術練習が増えるこの時期だからこそ、「自分の身体と対話できる選手」を育てたいです。
Facebookページ「少年野球指導者のひとり言」
https://www.facebook.com/baseball.knowledge
愛媛県出身。松山北高校時代に投手として選抜高校野球(春の甲子園)に出場。甲南大学時代は投手として阪神大学野球連盟の数々の記録を塗り替える。社会人野球まで投手として活躍。自身の息子が少年野球チームに入部したことをきっかけに学童野球のコーチとなる。現在は上場企業の管理職として働く傍ら、横浜港北ボーイズのコーチとして「神奈川NO.1投手の育成」を目標に掲げ、中学生の指導に情熱を注ぐ。
私は「手応え」とは「『身体からの声』を頭で理解すること」だと思います。身体は動作によって何かしらの意思表示をします。その動作を頭で「こういうことか!」と理解した時にそれは「手応え」として感じ取られます。
「手応え」を感じ取るためのコミュニケーションは「『身体からの声』を聞くこと」から始まります。
・どんな風に振ったか?
・投げた瞬間にどんな感触があったか?
・タイミングは?
・力の入れ具合は?
様々な動作の要素を頭で感じ取ることが「身体の声」を聞くことに通じます。
さて、グラウンドを見渡してみるとこんな声が飛び交います。
「腰が高い!」「はい!」
「もっと腕を振れ!」「はい!」
「一歩目が遅いぞ!」「はい!」
「強くバットを振り抜け!」「はい!」
このコミュニケーション、どう思われますか?
これは「身体との対話」ではなく「指導者との対話」です。指導者が選手の「身体との対話」に割って入り、選手は自分の「身体からの声」に耳を傾けず、「指導者からの声」ばかりに気を取られてしまっているように感じます。私はこのような指導者の過剰な干渉は選手の「身体との対話」を邪魔しているようにさえ感じます。
では指導者が技術指導する時にはどんなコミュニケーションが良いか?
私は「身体との対話を補助すること」が指導者に必要だと思います。
「うまく打ったね。今はどんな肘の使い方をしたの?」
「今のボールはよくスピンがかかっていたよ。どこに力を入れて投げたの?」
といった具合に「どんな身体の動かし方をしたか?」を回想させるようなコミュニケーションが必要だと思います。子どもは「身体に対する質問」を上手く作れません。だからこそ大人が質問を考えてあげる、それが指導者の役割だと思います。技術に詳しければ「想定した答えを引き出す質問」を立てることも可能です。技術がわからなくても「どうやってプレーしたの?」と質問することや、選手の「自分のプレーの言語化」を補助することは大人であればできると思います。
「身体との対話」が上手な選手は技術の再現性が高く、安定したプレーができます。野球は「技術の再現性」がとても重要な要素を占める競技です。「当たり前を当たり前としてやりきる技術力」が打撃のミスショットを減らし、守備のエラーを減らします。運動能力が高いのに野球で結果が出ない選手は「技術の再現性」に課題を持っているケースが多いです。
これらは指導者の心がけひとつで変わると思います。
基礎技術練習が増えるこの時期だからこそ、「自分の身体と対話できる選手」を育てたいです。
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著者プロフィール
著者:廣川寿(ひろかわひさし)愛媛県出身。松山北高校時代に投手として選抜高校野球(春の甲子園)に出場。甲南大学時代は投手として阪神大学野球連盟の数々の記録を塗り替える。社会人野球まで投手として活躍。自身の息子が少年野球チームに入部したことをきっかけに学童野球のコーチとなる。現在は上場企業の管理職として働く傍ら、横浜港北ボーイズのコーチとして「神奈川NO.1投手の育成」を目標に掲げ、中学生の指導に情熱を注ぐ。