ポーカーフェイスなルーキー
ベイスターズのドラフト3位ルーキー、大貫晋一投手が20日、横浜スタジアムで初登板。先発デビューで、“王者”広島相手に5回を投げて無失点、84球、被安打5、与四球4、奪三振1という内容だった。
145キロを越えるストレートと、右バッターの内角に切れ込んだり沈んだりするツーシーム、110キロ台のカーブに加え、スライダーとチェンジアップ、フォークも駆使する社会人出身の右腕は、クイックや牽制球、フィールディングもそつなくこなす実戦派。ピンチでも表情をいっさい変えることなく、涼しげな顔で淡々と投げる姿は新人離れしている。
3回以降は毎回のようにピンチを背負ったが、粘り強いピッチングで走者は返さなかった。ランナーは出すものの、動くボールでバットの芯を外し、内野ゴロに打ちとる"グラウンドボールピッチャー"タイプ。2回までは23球と、低めに制球されているうちは良かったが、4回あたりからボールが高めに浮き、芯でとらえられる場面が散見。それに伴って球数も増えていく傾向が今後の課題と言えそうだ。
指揮官も好評価「Good job」
大貫は自身の投球について「フォアボールが多かった」と反省の弁をのべたが、その中でも「何とか0に抑えることができた」と自信を得た様子。「開幕も近いので、一つひとつ結果を出していきたい」と、間近に迫っている本番を見据えた。
試合後、ラミレス監督は「落ちる球種を低めに集めてゴロを打たせられる。クイックも良く、走り辛いだろう」と評価し、「ルーキーには見えない振る舞い方。パニックにならないセルフコントロールする力を持っている」と、精神面の充実ぶりも称える。
広島相手の好投については、「自信になるいいピッチング」とし、開幕ローテーション入りも「もちろん考慮する。今日のピッチングは忘れる事ができない」と、ローテに加わってくる可能性も匂わせた。
ここまで、16日の上茶谷大河、17日の井納翔一、19日のエディソン・バリオスと、開幕ローテ候補の右腕たちが揃って好投。さらに、横浜生まれのオールドルーキーが、地元ハマスタで無失点デビューを飾り、新たな候補として名乗りを上げた。課題とされてきた先発右腕の充実に、ラミレス監督が嬉しい悲鳴をあげている。
取材・文=萩原孝弘(はぎわら・たかひろ)