開幕スタメンは9割方確定
「キャンプから選手たちが競争して、(ポジションを)勝ち取った選手が終盤のスタメンになった」
24日のオープン戦(阪神戦)を終えた西村徳文監督は、「一塁のところだけ迷うけど…」と言いながら、開幕スタメンが決まっていることを明らかにした。阪神とのオープン戦ラスト3連戦のスタメンから、開幕スタメンを予想すると次のとおりになる。
▼ 開幕スタメンの予想オーダー
2.(中)西浦颯大
3.(指)メネセス
4.(左)吉田正尚
5.(三)頓宮裕真
6.(右)小田裕也
7.(一)T-岡田
8.(捕)若月健矢
9.(遊)安達了一
オープン戦で西村監督は、ライトを小田と杉本裕太郎で、一塁はT-岡田とマレーロを使い分けてきた。ライトに関しては、小田が打率.316、出塁率.333と安定しており、ベンチの信頼を得ている。T-岡田とマレーロは、どちらも高いアベレージを残しているが、西村監督が好む“つなぐ野球”ができる点、守備力という部分でT-岡田の方がポイントは高そうだ。どちらにせよ、岡田やマレーロが7番に座る打線は他球団にとって脅威と言えるだろう。
西村監督は先発の左右に関係なく左打ちの1、2番コンビを固定しており、前政権のように日替わりオーダーとなる可能性は低そうだ。昨季までの主砲・ロメロが離脱中だが、新外国人のメネセスが日本の野球に適応。4番の吉田正尚にかかる負担も少なく、守備に課題を残す頓宮も打撃面ではまずまずの結果を残せた。打線のバランスも良く、オープン戦のチーム打率は12球団トップの「.262 」。その他にも、守備でアピールした後藤駿太、足のスペシャリストを目指す佐野皓大も猛アピールし、開幕一軍が濃厚となっている。
開幕投手問題も解決
22日の試合後、開幕投手を言い渡された山岡泰輔の緩慢なプレーに対して西村監督が激怒。「開幕投手と副キャプテンの剥奪」を示唆したが、24日の試合前に話し合いの場を持ち、改めて開幕投手に指名した。
山岡も「立場が違うことをあらためて感じた。副キャプテンなのでなおさら、絶対にやっちゃいけないことを、あらためて知ることができた」と気を引き締め、「このまま変わらず準備をするだけです」と、札幌ドームで行われる29日の開幕戦(対日本ハム)を見据えた。
なお、オープン戦終盤の起用から予想される、開幕ローテーションは次のとおり。
▼ 予想開幕ローテ
・山岡泰輔(3月29日:日本ハム戦)
・東明大貴(3月30日:日本ハム戦)
・榊原 翼(3月31日:日本ハム戦)
・アルバース(4月2日:ソフトバンク戦)
・山本由伸(4月3日:ソフトバンク戦)
・松葉貴大(4月4日:ソフトバンク戦)
先発の三本柱だった金子弌大と西勇輝が他球団に移籍。ディクソンは離脱中のため、今年はフレッシュな顔ぶれになったが、チームは昨秋の高知キャンプから先発候補の育成に着手しており、オープン戦では期待以上の結果を残し、チーム防御率も12球団唯一の2点台でトップだった。
もともと投手力のあるチームだったが、中継ぎ陣ではロングリリーフ可能な山崎福也、サイドスローの齋藤綱記といった左の2枚が機能し、吉田一将、近藤大亮は今年もフル稼働する準備ができている。7回と8回には、澤田圭佑と岩本輝を組み込み、絶対的なクローザー増井浩俊に繋ぐ盤石な布陣。さらには、ベテランの比嘉幹貴も控える。
榊原は24日の阪神戦で1イニングに7失点と大炎上したが、山岡とともに侍ジャパン入りを果たした“神童”山本由伸の先発再転向など、若手によるローテは楽しみな部分も大きい。さらに、東明大貴の復調や先発候補だった小林慶祐の存在など、ポジティブな話題は多い。
パ・リーグのダークホースに
西村監督は「シーズンが始まっても競争は続くし、一軍と二軍の入れ替えはしなきゃいけない」と語っていたが、「結果より内容」にこだわってメンバーを固めてきただけに、一度固まった牙城を崩すのは想像以上に難しいことなのかもしれない。
世間的な知名度の高さはまだまだだが、オリックスの選手層が厚くなっているのは事実。また、昨年までと明らかに違うアグレッシブで、遠慮のない野球をすることで、西村監督はオリックスというチームの改革に着手している。公式戦でも「失敗を恐れない」アグレッシブな野球を展開できれば、パ・リーグのダークホースとして優勝争いを演じる可能性も十分にあるだろう。
取材・文 = どら増田