開幕一軍
「1年間一軍にいれるということは、結果を出し続けなければいけない。結果を出して1年間一軍に残れるように頑張りたいと思います」
プロ3年目、20歳のロッテ・種市篤暉が開幕一軍の切符を掴んだ。
「いっぱい候補、ライバルがいますし、みんな結果を残している。右が多い中で、そこは結果を残さないと入れないと思いますし、強烈なピッチングをしたいと思います」。
開幕先発ローテーションを目指しアピールを続けていた種市は、3月14日のラミゴ戦前の取材でこのように話していたが、昨季チームトップの26セーブを挙げた内竜也、新外国人のレイビンが出遅れ、層が薄くなったリリーフに、オープン戦の終盤から配置転換となった。
150キロを超えるストレートと落差のあるフォークを武器に、短いイニングで力を発揮。特に3月21日に行われた阪神とのオープン戦は、ストレート、フォークともに素晴らしかった。
2-0の7回からマウンドにあがると、先頭の4番・大山悠輔を6球連続ストレートで右飛、続く福留孝介をストレートで追い込むと、最後はフォークで空振り三振。ナバーロもフォークで三振を奪った。
種市はこの日の投球に「バランスも良かったですね。あの時の映像を前からも後ろからも見ましたけど、すごく良かったんじゃないかなと思います」と振り返った。
1年目からコツコツと努力
開幕一軍入りを果たした種市だが、1年前のこの時期は、二軍戦で実戦経験を積んでいる若手投手のひとりだった。
ただ、将来を見据えて地道に努力を重ねていた。1年目からコツコツとウエートトレーニングやランニングなどでプロの体を作り、一軍の先発投手が遠征に帯同せず二軍のロッテ浦和球場で練習しているときには、先輩のブルペンを見学し勉強したこともあった。昨年7月、小野二軍投手コーチに種市の練習姿勢について取材したときには「意識を高くもってトレーニングにしても、意識を高く毎日コツコツやっている。また、一流選手たちの話を聞く事が大事だという話はしています。その中で自分にあったものを取り入れて、合わなかったものを排除するように伝えています。そういう意識、志が高いことは良い事だと思います」と高く評価していた。そして、このオフは同じくフォークを武器にするソフトバンク・千賀滉大に弟子入り。
その中でも千賀との自主トレは、実り多き時間となった。「自分の知らないことをたくさん教わりました。千賀さん、ダルビッシュさんのことを教わったり、全員先輩だったんですけど、体の使い方など色んなことを教わりました」と目を輝かせながら教えてくれた。とにかく野球が上手くなりたい、一軍で活躍したいという気持ちがこちらにも伝わるほど意識が高く、向上心のある選手だ。
コツコツと努力を重ね掴んだ開幕一軍の舞台。「技術的にもオフにやってきたことを結果として、ボールにあらわれています。オープン戦から手応えがありましたし、打者の反応も自分のなかでは手応えがあります。キャンプの時点で今年はワクワクしている状態でした。シーズンに入ってからも、オープン戦のようなピッチングができればなと思います」。努力を重ね手応えを掴んだ種市篤暉のプロ3年目がいよいよスタートする。
取材・文=岩下雄太