藤川球児は中継ぎスタート
ペナントレースが開幕し、オープン戦から見えていた各チームのオーダーや勝ちパターンなども明確になってきた。
矢野燿大新監督の下で新たなスタートをきった阪神タイガースは、指揮官が開幕前に明言していた通りの開幕オーダーとなり、勝ちパターンも8回はジョンソン、9回はドリスという形。ドリスと守護神の座を競っていた藤川球児は、桑原謙太朗、能見篤史と共に、6~7回を担うことになった。
開幕戦では、ジョンソン、ドリス、能見、桑原が登板し、2戦目は桑原、ジョンソン、ドリスで締めた。藤川は3戦目に1点ビハインドの状態で登場。打者3人から2つの三振を奪うピッチングで三者凡退に斬ってとった。指揮官も1年間を通じてドリスの固定ではなく、状態を見ながら起用していく意向を示しており、今後の状況次第では守護神が交代する可能性もあるだろう。
藤川は日米通算227セーブ(NPB:225セーブ、MLB:2セーブ)を記録しており、名球会入りの条件である250セーブまであと23に迫っている。本人はそれほど興味をもっていないようだが、今シーズン中に「250」セーブに達する可能性もなくはない。
これまでを振り返ると、250セーブの条件をクリアし、名球会入りした選手は岩瀬仁紀(元・中日)、佐々木主浩(元・横浜他)、高津臣吾(元・ヤクルト他)の3人だけ。藤川と現在234セーブを記録しているサファテ(ソフトバンク)の2人が次の候補者となっており、両選手ともに達成到達可能な範囲と言っても差し支えないだろう。
山崎康晃、中崎翔太、松井裕樹ら20代にも期待
サファテ、藤川に続くのは、永川勝浩(広島)の165セーブとなっている。しかし、すでに守護神からは外れており、今シーズン終了後に39歳となる年齢的にも達成は困難と言わざるを得ない。
その永川に続くのが増井浩俊(オリックス)の145セーブ。昨シーズンは35セーブを記録しており、今シーズンも抑えとして起用されている。現在34歳、今季も昨年同様の数字を積み重ねることができれば、250セーブという数字も見えてきそうだ。
増井以下、山崎康晃(DeNA)の133セーブ、上原浩治(巨人)の128セーブ、山口俊(巨人)の112セーブと続いていく。その他に100セーブを超えているのは中崎翔太(広島/106セーブ)、松井裕樹(楽天/101セーブ)の2人だけ。抑えというポジションを数年に渡って担っていくことの大変さがよくわかる。
昨今、投手の分業制が主流となり、もうひとつの名球会入会資格である200勝到達が難しくなったと叫ばれている。同時に抑え投手のために2003年から「250セーブ」という資格が新たに追加された、現在の候補者達を見ても「250セーブ」も高いハードルであることは間違いない。
山崎、中崎、松井はまだ20代ということもあり、順調にいけば到達は可能な範囲だが、この「順調にいけば」というのが最も高いハードルであることも事実。永川も20代で163セーブを記録したが、その後は故障もあり数字を伸ばすことができなかった。
到達間近であるサファテも昨シーズンはほぼ全休。今シーズンも開幕二軍スタートとなった。これだけの実績がある選手でも、継続して抑えを担っていくのは簡単ではないということ。サファテや藤川といった到達間近な選手はもちろん、増井、山崎らの上積みにも注目したい。
【日米通算セーブ数】
234セーブ:サファテ(ソフトバンク)
227セーブ:藤川球児(阪神)※日米通算
165セーブ:永川勝浩(広島)
145セーブ:増井浩俊(オリックス)
133セーブ:山崎康晃(DeNA)
128セーブ:上原浩治(巨人)※日米通算
112セーブ:山口俊(巨人)
106セーブ:中崎翔太(広島)
101セーブ:松井裕樹(楽天)
※NPB現役選手
※100S以上
※数字は2018年シーズン終了時点