フリーアナウンサーの節丸裕一が、スポーツ現場で取材したコラムを紹介。今回は、菅野投手の今季初勝利となった、4月5日のDeNA戦を分析する。
「昨日の菅野、凄かったね!!」「いやー、最高の試合だった。観に行って良かった」
そう興奮気味に声をかけて来たのは、ジャイアンツファンではなく、ベイスターズファン。 4月5日の横浜スタジアムでのDeNA対巨人を観戦に行っての感想だ。
開幕からちょうど1週間後の金曜日。今永、菅野と両チームとも開幕投手を務めたエースが先発した。
初回に巨人が坂本、丸の2者連続ホームランで先制したが、菅野はその裏2アウトを取った後、ソト、筒香に連続ホームランを浴びて追いつかれてしまう。大瀬良と投げ合った広島との開幕戦では安部のホームランによる1失点で敗戦投手になっている菅野。DeNAに追いつかれたことで不安になった巨人ファンも少なからずいたはずだ。
苦戦を覚悟していた前出のDeNAファンも「勝てるかも」と期待したという。しかし、2回以降、今永も菅野も譲らない。互いに得点圏にも走者を進められないまま終盤を迎える。
菅野をリードした恋女房・小林は「尻上がり、尻上がり、という感じで良くなっていきました」と振り返る。阿吽の呼吸もあるのだろう。先頭打者を出しても送りバントも許さず、中軸に対しては完璧な投球で封じ込み、要所という要所は三振で締めた。そんな菅野に応えるべく、巨人は7回ゲレーロのスコアボード直撃弾で勝ち越した。
「試合中に良くなっていったのは、フォームもあった」と菅野が振り返るのは4回にラミレス監督のリクエスト要求によるリプレイ検証の間でのフォームの修正。最強右腕がフォームの感覚を修正できれば、あとは気持ちのスイッチだけか。
「同点、1点差、という試合展開もあるし、ホームランが出やすい球場で、ホームランを打てるチームが相手。風もあったし、気合が入りましたね」と言う菅野は終盤ギアを上げたように見えた。8回は3者三振、9回先頭筒香との対戦では4球も150キロ以上をマークする力投で空振り三振に斬った。
「最後は自分の全神経を研ぎ澄ませて集中力も高まってきた状態で投げられた」
原監督が「代える選択肢はなかった。まだまだ余力というか、強さを感じる」と絶対的な信頼を寄せる大エースは、見事に期待に応えてみせた。
一昨年のWBCではエース菅野、4番筒香で投打を牽引した。筒香は日頃から「菅野さんは全部のボールが強いし、キレがあるし、コントロールもいい。すべてが日本一のピッチャー。打てるボールはそうそうない」と絶賛する。その菅野から初回にウィング席への特大弾を放った筒香との9回の対戦はこの試合のクライマックスだった。
ファンは、2人の勝負に固唾を飲み、あるいは声を枯らした。敵、味方を超えて、ファンは魅了された。だからこそ、ベイスターズファンも菅野を絶賛し、筒香を讃えた。
疲労と興奮からか、菅野は普段から投げた当日はあまり眠れないそうだが、この試合の疲れはいつも以上だったようだ。「昨日はいつもより、もっと眠れなかった。勝ったし、いい疲れなんですけどね」その表情には疲労と充実感が入り混じっていた。
「やっと開幕したなという感じ」と言う菅野。今季12球団一番乗りの完投勝利で、目標に掲げる「20勝」と「3年連続沢村賞」への一歩を踏み出した。
「昨日の菅野、凄かったね!!」「いやー、最高の試合だった。観に行って良かった」
そう興奮気味に声をかけて来たのは、ジャイアンツファンではなく、ベイスターズファン。 4月5日の横浜スタジアムでのDeNA対巨人を観戦に行っての感想だ。
開幕からちょうど1週間後の金曜日。今永、菅野と両チームとも開幕投手を務めたエースが先発した。
初回に巨人が坂本、丸の2者連続ホームランで先制したが、菅野はその裏2アウトを取った後、ソト、筒香に連続ホームランを浴びて追いつかれてしまう。大瀬良と投げ合った広島との開幕戦では安部のホームランによる1失点で敗戦投手になっている菅野。DeNAに追いつかれたことで不安になった巨人ファンも少なからずいたはずだ。
苦戦を覚悟していた前出のDeNAファンも「勝てるかも」と期待したという。しかし、2回以降、今永も菅野も譲らない。互いに得点圏にも走者を進められないまま終盤を迎える。
菅野をリードした恋女房・小林は「尻上がり、尻上がり、という感じで良くなっていきました」と振り返る。阿吽の呼吸もあるのだろう。先頭打者を出しても送りバントも許さず、中軸に対しては完璧な投球で封じ込み、要所という要所は三振で締めた。そんな菅野に応えるべく、巨人は7回ゲレーロのスコアボード直撃弾で勝ち越した。
「試合中に良くなっていったのは、フォームもあった」と菅野が振り返るのは4回にラミレス監督のリクエスト要求によるリプレイ検証の間でのフォームの修正。最強右腕がフォームの感覚を修正できれば、あとは気持ちのスイッチだけか。
「同点、1点差、という試合展開もあるし、ホームランが出やすい球場で、ホームランを打てるチームが相手。風もあったし、気合が入りましたね」と言う菅野は終盤ギアを上げたように見えた。8回は3者三振、9回先頭筒香との対戦では4球も150キロ以上をマークする力投で空振り三振に斬った。
「最後は自分の全神経を研ぎ澄ませて集中力も高まってきた状態で投げられた」
原監督が「代える選択肢はなかった。まだまだ余力というか、強さを感じる」と絶対的な信頼を寄せる大エースは、見事に期待に応えてみせた。
一昨年のWBCではエース菅野、4番筒香で投打を牽引した。筒香は日頃から「菅野さんは全部のボールが強いし、キレがあるし、コントロールもいい。すべてが日本一のピッチャー。打てるボールはそうそうない」と絶賛する。その菅野から初回にウィング席への特大弾を放った筒香との9回の対戦はこの試合のクライマックスだった。
ファンは、2人の勝負に固唾を飲み、あるいは声を枯らした。敵、味方を超えて、ファンは魅了された。だからこそ、ベイスターズファンも菅野を絶賛し、筒香を讃えた。
疲労と興奮からか、菅野は普段から投げた当日はあまり眠れないそうだが、この試合の疲れはいつも以上だったようだ。「昨日はいつもより、もっと眠れなかった。勝ったし、いい疲れなんですけどね」その表情には疲労と充実感が入り混じっていた。
「やっと開幕したなという感じ」と言う菅野。今季12球団一番乗りの完投勝利で、目標に掲げる「20勝」と「3年連続沢村賞」への一歩を踏み出した。