心配された得点力の弱さを露呈
2019年のプロ野球も開幕して3カードが終了した。現時点では、両リーグともに抜け出すチームはなく、混戦模様となっている。まだまだ序盤戦だが、各チームとも少しずつ課題が浮き上がってくる頃だろう。
そんななか、阪神は打線の低迷が深刻だ。ここまでの9試合で26得点、4本塁打はいずれもリーグ最下位(チーム打率.215はリーグ5位)。開幕から8試合目までは3得点が最多となっており、9試合目となった4月7日の広島戦で、初めて4得点以上を記録したほど。
矢野燿大監督は、オープン戦で打率.373(59打数22安打)と好調だったドラフト3位ルーキーの木浪聖也を開幕戦の1番に起用。2番には同じくドラフト1位の近本光司を据え、フレッシュな上位打線で今シーズンをスタートさせた。しかし、木浪はわずか4試合でスタメン落ちとなり、近本も9試合目にしてスタメンから外れることとなった。新人ふたりがスタメンを外れたその日に、今シーズン初めてとなる4得点以上を記録したのはなんとも皮肉な結果だ。
もちろん、新人ふたりだけが結果を残していないわけではない。骨折していながら強行出場を果たしている梅野隆太郎、ベテランの糸井嘉男を除くと、ほぼ全員がまだ眠ったままの状態で、チーム全体として苦しんでいる。ただし、状態の良い糸井に走者なしで回ってくることが多いことが、得点力に影響していることは否定できないだろう。7日の広島戦では2番に入った糸原が3度出塁し、2得点を記録した。
カギを握る? 4番の存在感
4番を任されている大山悠輔も調子が上がらない選手のひとりだ。開幕から2試合連続安打を放ったものの、その後は4試合連続あたりが出ていない。とくに巨人との3連戦では10打数無安打と完全にブレーキとなり、3連敗を喫する一因となってしまった。
しかし、巨人との3連戦が終わった直後、4月5日の広島戦で初めてマルチ安打を達成すると、そこから3試合連続安打を記録。4月7日の広島戦では今シーズン初となる長打(二塁打)も放った。ここにきて、ようやく上昇の兆しが見えてきた感もある。
9試合とサンプルは少ないが、大山が安打を放った試合は4勝1敗で、無安打の日は4連敗となっている。チームでは糸井が3番で好調をキープしているだけに、糸井の後ろを打つ大山の調子がチームの勝敗に与える影響は少なくない。
ここまで全試合にスタメン出場しているのは、3番・糸井、4番・大山、5番・福留の中軸3人のみ。昨季も両ベテランにけん引されたが、糸井はすでに38歳で、福留も41歳、チームの将来を考えても、25歳と若い大山が軸となり、メンバーを引っ張っていくことが望ましい。
セ・リーグの他チームを見ても、鈴木誠也(広島)、筒香嘉智(DeNA)、岡本和真(巨人)と若い世代の生え抜きの4番が育ちつつある。阪神で生え抜きの4番として確固たる実績を残したのは、それこそ掛布雅之まで遡らなければならない。伝統球団のひとつである阪神が、生え抜きの4番を育てられないのはやはり寂しいことだ。
1・2番の出塁率向上と共に、大山がチームを引っ張り「4番」としての実績を残すこと。それが、チームの勝利に結びつき、「阪神浮上」の第一歩となる。
※数字は2019年4月7日終了時点