実戦に復帰
「ゲームで投げるのが1年弱ぶりだったので、やっとできたなという感じです」。
昨年7月に『右ひじ関節鏡視下遊離体除去術』を行ったロッテの佐々木千隼が、4月3日のヤクルトとの二軍戦で実戦復帰。ここまで二軍戦に2試合登板するなど、復活に向けてまた一歩前進した。
佐々木は昨年7月に手術を受けた後、ロッテ浦和球場を中心にリハビリトレーニングを続けてきた。またこの故障は、決してマイナスなことばかりではなかった。「どこの筋肉が弱いとかを病院やトレーナーさんに教えてもらったり、今まで気にしてこなかったことを学べたのは大きいかなと思います」。肩、肘に関しての知識、トレーニングの方法など新たな引き出しを増やすことができた。
コツコツとリハビリを続け、ブルペンでの投球練習、シート打撃など段階を踏んでいき、4月3日のヤクルトとの二軍戦で復帰を果たした。
佐々木は「投げられて良かったなという感じ。色々(課題と収穫は)ありますけど、まだ2回しか投げていないです。細かいことを突き詰めていきたいですけど、痛みなく投げられたことが一番」と2試合の登板を振り返り、「色々課題があるなかで、今後投げさせてもらえるのであれば、修正していかないといけないと思っています」と決意を述べた。
佐々木を指導する小野二軍投手コーチは「実戦にやっと少し入ってこれたかなという感じです。彼本来の姿ではないとは思っているんですけど、実戦で投げていく中で、彼本来の状態を少しずつ取り戻せるようにさせていきたいなと思います」と話しており、現状では完全復活に向けた階段をまた一歩上ったところだ。
好感触の外角ストレート
本来の状態を取り戻す過程ではあるが、その中でもキラリと光ボールを投げている。4月13日の日本ハムとの二軍戦、7回一死走者なしの場面、松本剛に対し3ボールから投じた4球目と5球目の外角ストレートは、捕手・宗接唯人のミットに吸い込まれる素晴らしいボールだった。
佐々木自身も「ああいったボールをコンスタントに投げられればいいなと僕も試合後に思いました」と好感触を持った。
「投げミスすることなく、外角にコンスタントに決められれば、ゲームは作れるなと感じます。難しいことだとわかっていますけど、それをやらないと一軍にも上がれないし、一軍で勝てないと思う」。
手応えを感じた一方で、外角にキッチリと制球する確率を増やしていかなければ、一軍の打者、一軍で勝負ができないと感じたようだ。一球が命取りになる勝負の世界。細かい制球力が、非常に重要になってくる。
二軍戦に復帰し課題と収穫点をみつけた佐々木が、次に目指すところは当然一軍のマウンド。「全然二軍で結果を出していないですし、二軍で結果を出したいなというところです」と佐々木。ロッテファンも、佐々木が一軍で投げる日を楽しみに待っている。二軍で結果を残し、一軍のマウンドで躍動する姿をファンに見せたいところだ。
取材・文=岩下雄太