森友哉にかかる期待
開幕から1カ月以上がすぎ、12連戦中の球団はあるものの、ゴールデンウィークの大型連戦もひと段落した感がある。
セ・パ両リーグともに打率ランキングを見ると、4割を超えるような極端に打率の高い選手は不在。「春の珍事」と呼ばれるような成績を残している選手はいないし、数字的には落ち着いてきた。
そんななかで目を引くのが、“打てる捕手”森友哉(西武)だ。5月に入って率を落としているものの、強力な西武打線の主軸として打率.343(105-36)、5本塁打、28打点の成績を残し開幕から好調。パ・リーグの打率ランキングでトップに立っている。また、打点ランキングでも同僚の山川穂高(36打点)に次いでパ・リーグ2位タイ。復調してきた3番・秋山、本塁打と打点でトップに立つ4番・山川の後ろに、森が控えている強力打線は恐ろしい。
「打てる捕手」の不在が叫ばれて久しい近年のプロ野球界だが、ここまでほぼすべての試合でスタメンマスクをかぶり、打撃ランキングの上位に名を連ねていることは特筆に値する。昨季のスタメンマスクが74試合だったことを考えると、このまま1年間を通してこの成績を残せるかは未知数だが、捕手としての首位打者獲得を期待したくなるような活躍ぶりだ。
過去には3人…パはひとり
ちなみに、過去のプロ野球を振り返ると、捕手による首位打者は3人だけだった。
直近では阿部慎之助(巨人)が2012年に打率.340(467-159)で首位打者に輝いている。この年の阿部は打点王(104打点)にも輝いており、堂々の打撃二冠。チームを優勝に導き、MVPも受賞するなど、まさに大活躍の1年だった。
阿部の前は1991年の古田敦也(元・ヤクルト)まで遡る。この年、2年目だった古田は打率.340(412打数140安打)でタイトルを獲得。セ・リーグでは初の快挙でもあった。
そして、捕手として初めての首位打者は、ご存知ノムさんこと野村克也(元・南海他)だ。1965年に打率.320(488-156)で首位打者に輝き、本塁打王(42本塁打)、打点王(110打点)と合わせ打撃3タイトルを独占。戦後初の三冠王にも輝いた。
これまでに首位打者を経験した捕手たちは。いずれも2000安打を達成し、名球会入りもはたしているレジェンドたちだ。少し気は早いが、令和の“打てる捕手”として、球史にその名を刻むような活躍に期待したい。
【過去の捕手による首位打者】※所属は当時
<1965年>
野村克也(南海)
打率.320(488-156)
<1991年>
古田敦也(ヤクルト)
打率.340(412-140)
<2012年>
阿部慎之助(巨人)
打率.340(467-159)
※数字は2019年5月6日終了時点