ニュース 2019.05.03. 11:00

元“世界一戦士”西岡剛の活躍もありBCリーグ「北関東対決」は栃木に軍配

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栃木・西岡剛 [写真=阿佐智]

攻めの姿勢を続ける独立リーグ


 2007年のリーグ発足後、球団数を増やし、一貫して攻めの姿勢を続ける独立リーグ『ルートインBCリーグ』。今シーズンからは関東第4の球団、茨城アストロプラネッツが参入し、リーグの展開エリアも北信越の位置する日本海側から太平洋岸にまで達した。

 また、昨シーズン、村田修一(現巨人コーチ)を入団させ話題をふりまいた栃木ゴールデンブレーブスが、かつて“スピードスター”と呼ばれ、ロッテや阪神でも活躍した元メジャーリーガーの西岡剛を獲得。独立リーグのファンだけでなく、プロ野球ファンからの注目も集めている。

 そして5月2日には、“新球団”茨城と“人気球団”栃木による「北関東対決」が、2005年の合併によりできた「平成の町」茨城県坂東市にある運動公園の小さな野球場で行われた。同市は県南西部に位置する千葉県に接した田園都市。都心から約40キロとさほど距離は離れていないが、鉄道は通じておらず、ベッドタウンと言うよりは、一面にひろがる畑でとれる野菜を首都圏住民に供給する「都民の冷蔵庫」とも言えそうな田舎町だ。


躍動する元メジャーリーガー


 この日まで、元プロ(NPB)組4人を擁し、西地区の首位争いを演じている栃木に対し、新球団とあって戦力不足の感の否めない茨城は4勝8敗1分の最下位。この試合でも、その両者の力の差が如実に表れた。

 この日の岩井球場の観衆は814人。小さな内野スタンドはほぼ満員となった。ファンのお目当てはもちろん西岡だ。なにしろ2006年WBC優勝の「世界一」メンバーがこの片田舎にやってくるのだから、茨城のファンにはたまらない。スタンドには「NISHIOKA」のネームの入ったゴールデンブレーブスのレプリカユニフォームだけでなく、彼が所属していたロッテ、阪神のものも見受けられた。

 彼の根強い人気のほどがうかがえたが、もちろん人気だけではない。前日まで9試合に出場し、30打数13安打の打率.433はリーグ4位と、実力面でも格の違いを見せている。ホームランも2本放ち、5盗塁と足も健在。体調は万全のようだ。


存在感を見せた西岡


 試合は3回表にゴールデンブレーブスが1点を先行したが、このきっかけを作ったのが西岡だった。1番指名打者としてラインナップに名を連ねた西岡は、無死一塁から追い込まれながら4球目をセンター前へ。一三塁とチャンスを広げると、3番打者の浅いライトフライで三塁ランナーが生還し、栃木が先制した。

 栃木は4回にも3点を入れ、試合の行方を決定づけるが、西岡は空振りの三振に倒れた。しかし直後の5回、味方の猛攻により3イニング連続で打席の回ってきた西岡は、再びセンター前に鮮やかなヒットを放ち、2打点を挙げた。

 西岡はここでお役御免となり、8回に回ってきた第5打席に代打を送られたが、第1打席の四球を合わせ4打席3出塁、3打数2安打で、打率を「.454」にまで上げた。その溌溂としたプレーぶりは、独立リーグのレベルではなく、NPBの晴れ舞台がふさわしい。

 試合は、先発比嘉が好投し、1失点完投。9対1で栃木が圧勝した。


今後の課題と楽しみ


 敗れた茨城は新球団とはいえ、5回の無死満塁のピンチをピッチャーゴロからのゲッツーでしのいだかと思われた場面で、キャッチャーからの送球をファーストが処理し損ねるなど、お粗末なプレーが目立った。そういうプレーの度、地元チームを応援しにやってきたスタンドのファンからはため息が漏れていた。独立リーグの球団は地域密着が命、勝敗の前に、地元ファンをうならせるようなプレーでスタンドにファンを呼び込みたいところ。

 この連休中、BCリーグは北信越・関東各地で試合を行う。幸い好天が続くようなので、ぜひ独立リーガーたちの懸命な姿を観に球場へ足を運んでほしい。茨城アストロプラネッツは、今日3日も県内結城市鹿窪球場で、新潟アルビレックスBCを迎えて、栃木ゴールデンブレーブスは、栃木市営球場に群馬ダイヤモンドペガサスを迎えてそれぞれホームゲームを行う。


取材・文=阿佐智(あさ・さとし)
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