広島・床田寛樹=マツダスタジアム(C)KYODO NEWS IMAGES

◆ 詰まりながらもスタンドインさせるパワー

 少し気が早いかもしれないが、今季のセ・リーグ新人王レースが加熱している。以下は、セ・リーグ新人王有資格者のうちで、とくにここまでの活躍が顕著な3選手の成績だ。

【セ・リーグ新人王候補成績】
▼ 村上宗隆(ヤクルト)33試合(111-27)
打率.243 8本塁打 22打点 16四球 0盗塁
出塁率.341 / 長打率.541

▼ 近本光司(阪神)32試合(117-37)
打率.316 4本塁打 18打点 11四球 10盗塁
出塁率.375 / 長打率.513

▼ 床田寛樹(広島)6試合(40回2/3)※5QS
4勝1敗 自責点7 38奪三振 与四死球17
防御率1.55 / WHIP 1.06

 いずれ劣らぬ見事な成績だ。村上宗隆(ヤクルト)はここまでリーグ3位タイの22打点を挙げ、チームの先輩・バレンティンと並ぶリーグ5位タイの8本塁打を記録。その8号アーチが生まれたのは5月3日の中日戦だった。8回、福敬登の内角高め直球をとらえた打球は一瞬詰まったかに見えたが、広いナゴヤドームの右中間スタンドに着弾。人並み外れたパワーを見せつけた。

 現在、村上はシーズン34本塁打ペースだ。しかも、村上は2月に19歳になったばかり。1994年の松井秀喜(巨人/20本塁打)以来となる、高卒2年目での20本塁打も十分過ぎるほど射程圏内にある。

◆ 評判通りのスピードと予想外の長打力

 一方、近本光司(阪神)は広角に打ち分ける高い打撃技術で魅せている。

 5月5日のDeNA戦でも京山将弥の投じた外角低めのカットボールを逆方向に打ち返し、左前適時打をマークした。しかも、ただのアベレージヒッターではない。意外なほどの長打力も見せる。これまで4本塁打に加えて3本の三塁打、5本の二塁打もマークしている。

 リーグトップタイの10盗塁をマークしているスピードから「赤星(憲広/元阪神)2世」とも呼ばれるが、身長170cmと小柄ながらどっしりとした構えから、当てにいくのではなく振り切るスイングは金本知憲・前阪神監督を思い起こさせるという声もあるほどだ。

 村上と近本の野手ふたりはタイプがまったく異なるところが興味深い。10代で20本塁打、30本塁打を記録するようだと村上に軍配が上がりそうだが、守備も含めた総合力が高い近本が盗塁王などのタイトルを獲得することにでもなれば、それこそ票が割れそうだ。

 また、例年、野手より新人王となることが多い投手では床田寛樹(広島)が好調だ。チーム念願の先発左腕は現在4連勝中。先発6試合のうち5試合でQS(クオリティ・スタート/6回以上を投げて自責点3以内に抑える)を達成し、リーグ2位の防御率1.55を誇るなど安定した投球を続けている。チームは連勝と連敗を繰り返してなかなか波に乗れないが、先発ローテーションに頼もしい若手が加わったことは確かだ。

 もちろん、このままシーズンを通して好調を維持し続けることは簡単ではないだろう。事実、近本は5月5日のDeNA戦で背中の張りを訴えて途中交代した。近本が軽症であることを願いつつ、川上憲伸(中日)、高橋由伸(巨人)、坪井智哉(阪神)、小林幹英(広島)が超ハイレベルな争いを見せた「1998年」のような熱い新人王レースに期待したい。
※数字は5月5日終了時点

文=清家茂樹(せいけ・しげき)

【プロフィール・清家茂樹】
1975年、愛媛県生まれ。出版社勤務を経て2012年独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。野球好きが高じてニコニコ生放送『愛甲猛の激ヤバトーク 野良犬の穴』にも出演中。


◆ 神宮の看板直撃弾で東京の家1軒!?

 神宮球場の看板にホームランを直撃したスワローズ選手に「東京の家」をプレゼントする大型企画『オープンハウス・ホームラン賞』が今年も進行中。2016年の企画スタート以来4年越しの実現に向け、今年はトライビジョン横のロゴマークが約2倍になり、「東京に家を持つチャンス」も2倍になった。

 2018年にトライビジョンホームランを打ちこんだ青木宣親選手は、ロゴマークが2倍になったことについて「かなり大きくなった印象。今年こそは、だれか家一軒とってほしいですね」とコメント。今年の5本塁打中、神宮では4本のアーチを描いており、大きな期待がかかる(5月2日終了時点)。

 また、青木同様4本の本塁打を神宮で放ち、昨季の38本塁打中24本をレフトスタンドに放り込んだバレンティン選手「今年はビッグチャンス!できればレフトスタンドにもチャンス欲しいね。当たったら、小川監督にプレゼントします」と述べ、監督孝行を誓っている。

 ちなみに今年のヤクルトは、ここまでチーム全体で39本(30試合)の本塁打を放っているが、神宮では15試合で23本塁打を記録しており、期待は高まる。

▼ チーム別本塁打(神宮)
巨 人:7本(3試合)
広 島:6本(3試合)
DeNA:4本(3試合)
中 日:5本(3試合)
阪 神:2本(2試合)
※数字は5月2日終了時点

◆ オープンハウス・ホームラン賞の概要

①明治神宮球場バックスクリーン上部の看板(スローガンおよび社名ロゴ)、またはトライビジョン横の社名ロゴに、ホームランを直接当てたスワローズの選手に「東京の家」1軒プレゼント。

②トライビジョンの画面(インプレー時は広告が表示されません)に当てた場合には、ホームランを打った選手の直筆サインボールを、当日来場ポイント付与した「SWALLOWS CREW」の中から1名にプレゼント。
※対象試合:2019年度ヤクルト球団主催プロ野球公式戦ならびにクライマックスシリーズ


◆ 2018年の『オープンハウス・ホームラン賞』
第1号:青木宣親選手(6/5、ソフトバンク戦)
第2号:山田哲人選手(6/30、阪神戦、通算150号)
第3号:西浦直亨選手(8/19、阪神戦)
※3本とも上記概要の②に該当し、①に該当する「東京の家」を獲得した選手はまだいない

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清家茂樹

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