準備力
「この準備をして結果が出なかったら仕方ないというくらいの準備ができれば、いいかなと思う。結果が出る出ないにかかわらず、もっとやっておけばよかったというのが嫌なので、できることはしっかりやって試合に臨みたいと思います」。
ロッテの三木亮は、開幕からスタメンで出場を続けてきた藤岡裕大に代わって、ここ2試合はショートで先発出場している。
開幕直後はなかなか出場機会が巡ってこなかったが、変わらず自分のやるべきことを練習から取り組んでいる姿が印象的だった。
ホームゲームでの試合前の打撃練習では、最初にバントを行った後、バスターを行うが、バスターのときも「普通のバスターだったら打たないですけど、バスターエンドランだと想定してやっていた」と、外のボール球に体を投げ出しバットに当てるなど、練習のための練習ではなく、試合を想定した試合のための準備をしている。
バスターが終わった後は、「ヘッドが先にかえってしまうと、凡打になりやすいというか、ゴロになりやすい。かといってフライを打ちにいっているわけではない。ヘッドを残しながら、やろうとしたら自然と右方向になったと思います」と右方向への打球が多い。レフト方向へ思いっきり引っ張ることは、打撃練習の終盤くらいだ。
代打で初球バント
「本当にいつ出番がくるかわからない状況。いつ出されても後悔のないような準備の仕方をしている」。
これまでの準備が結果として現れた試合のひとつに、4月28日の楽天戦が挙げられる。三木は9-8の8回無死二塁の場面でバルガスの代打で登場すると、相手もバントとわかりきった状況できっちりと初球でバントを決め、清田育宏の適時打に繋げた。
「あの球場は天然芝なので、とりあえず転がせば、打球が死んでくれるのかなという感覚があった。転がすことだけを意識していました。その結果、ピッチャー前でしたけど、成功して良かったかなと思います」とバントの場面を振り返った。
2試合連続スタメン出場中
藤岡の打撃不振により5月5日の日本ハム戦では、ショートのポジションでは今季初めてスタメン出場を果たした。第2打席でセンター前に安打を放つと、6日の試合でも5回に同点に追いついた直後の一死走者なしから内野安打で出塁。ワイルドピッチの間に勝ち越しのホームを踏んだ。
守備でも試合途中からセカンドに入り、8回無死一塁から近藤健介が放ったセンターへ抜けそうな当たりをダイビングキャッチ。素早くショート・藤岡裕大へグラブトスし二塁アウトにする好守備もあった。
「やってきたことしか出せないと思う。高望みせずできることをコツコツとやっていければと思います」。スタメン、途中出場、どういう状況であっても、変わらずに自分のやるべきことをしっかりと取り組んできた背番号37。準備力を武器にショートのレギュラーのポジションを掴みにいく。
取材・文=岩下雄太