メンタル面の成長と安定感
5月10日のヤクルトとの二軍戦、3-4の5回無死満塁の場面でマウンドにあがったロッテ・山本大貴。5番・藤井亮太を1球で投併打に打ち取ると、続く中山翔太を2球で右飛に仕留め、わずか3球で満塁のピンチを脱した。
“猫だまし投法”と呼ばれた独特のフォームで話題を呼んだ山本だが、1年目の昨季は一軍での登板はわずかに1試合。今季は開幕前の二軍・練習試合などで、制球を乱し失点するケースが多かった。開幕してからも、4月6日のDeNAとの二軍戦で2回を投げて6安打、5四死球、4失点と苦しんだ。
しかし、4月6日のDeNA戦で失点したのを最後に、7試合連続で無失点に抑えている。満塁の場面でマウンドにあがった10日のヤクルト戦を、無失点で切り抜けたように、ここ最近は走者を置いた状況でも、制球を乱すことがほとんどない。
山本は「(これまでは)ランナーや状況を気にしてばっかりだったので、バッターと勝負することができなかったのが反省点。自分のやることをしっかりやって、バッターと勝負しようという考え方に変わってきた。そこが安定した投球に繋がっていると思います」と分析する。
昨季まで選手としてロッテでプレーし、今季から二軍投手コーチに就任した大隣憲司コーチの存在も大きい。山本は大隣コーチから「ネガティブですぐにどうしようと考え出す癖があるから試合になったらそんなことを考えなくてもいいから。バッターと勝負して、練習で悪かったところを考えてやっていけばいい」とアドバイスをもらった。
山本自身も大隣コーチから言われた言葉が「最近になって、大隣コーチが言っていることはこういうことなのかなと、分かるようになってきて、それも成果に出てきているのかなと思っています」と好投の要因に繋がっているようだ。
球が強くなったことを実感
またロッテ浦和球場での試合前の練習中、山本が大隣コーチとキャッチボールをしたり、アドバイスをもらっている場面を多く目にする。山本は「体重移動のバランスや基本的なところの確認。キャッチボールもどういう軌道できているのか、悪い軌道は抜けたり、引っかかったりしていたりしていた部分はあったんですけど、いい引っかけ方、悪い引っかけ方を教わって、やっとここまできたのかなと思います」と手ごたえを口にする。
大隣コーチから指導を受けて、球が強くなったことも実感した。
「球の強さは出てきていますが、悪い時には弱くなる。これまでは良いボールと悪いボールがはっきりしていたけど、最近は悪いボールも強くなってきた。高めのボールにも手を出してくれるようになっている。ボールの勢いが強くないと、高めのボール球は振ってくれない。そういう面では、打者の感じをみて気づくことがある」
二軍で結果を残し始めた山本ではあるが、目指すマウンドは一軍の舞台。「ここがゴールではないので、上を目指してやっていかないといけない。自分にプレッシャーをかけて、どんな場面でもきっちり同じ結果を出していけるように頑張っていきたい」。大隣コーチのアドバイスをきっかけに、自信を取り戻した背番号27。今後も安定した投球を披露し、一軍の切符を掴みたいところだ。
取材・文=岩下雄太