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なぜ勝てない…鷹の2年目左腕・大竹耕太郎の苦闘

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ソフトバンク・大竹(C)Kyodo News

苦闘つづく2年目左腕


 ソフトバンクが1点をリードして迎えた9回表。ストッパーの森唯斗は先頭に安打を許すも、次打者を犠打失敗に打ち取って一死。嫌な流れを断ち切り、このまま終わるか……と見ていた人の多くはそう思っていたことだろう。

 一死一塁となって打席には西武の9番・外崎修汰。その初球、甘く入った変化球をはじき返されると、高々と舞い上がった打球は左中間のテラス席へ。まさかの逆転2ランにより、掴みかけた勝利は目前でその手からこぼれ落ちた。

 この時に印象的だったのが、中継カメラが打った外崎や打たれた森よりも、ベンチで何とも言えない表情を浮かべる男を何度も抜いていたこと。その男というのが、この試合で先発した大竹耕太郎。大卒2年目の左腕である。


 2017年の育成ドラフト4位でプロ入りした大竹だが、1年目の開幕から二軍で好投を続け、その年の7月末には支配下登録をゲット。その勢いで8月1日に一軍でプロ初登板・初先発を果たすと、強力・西武打線を相手に8回2失点の好投。育成出身者としては史上初となるプロ初登板・初先発・初勝利の快挙を達成した。

 以降も一軍に定着し、終わってみれば11試合に登板。8度の先発で3勝(2敗)を挙げるなど、育成ドラフトでの入団でありながら戦力として稼働。クライマックスシリーズや日本シリーズでも登板を果たしている。


ことごとく勝てない2019年


 さらなる飛躍に期待がかかった2年目。大竹は開幕ローテーションのイスを掴むと、初登板となった4月3日のオリックス戦で7回無失点の快投を披露。以降も7回2失点、8回1失点の完投、8回1/3を無失点と好投を続けたが、その成績を見ると目を疑ってしまう。4月は4試合の登板で防御率0.89という好成績を残しながら、なんと勝敗は「0勝1敗」だったのだ。

 そんなこともあって、5月2日の楽天戦で今季初勝利を挙げた際には、お立ち台で思わず涙がこぼれた。7回を投げて4安打・無失点の快投。チームの“令和初勝利投手”として歴史に名を刻むことにもなり、なにより「1勝」という結果が重圧から解放してくれることだろう、というのが大方の見立てだった。

 ところが、5月9日の登板で7回2失点の好投を見せながら勝ち負けなしに終わると、5月15日の西武戦は上述の通り。大竹は6回3失点の力投を見せたが、この日も勝ちはつかなかった。

 今季の成績を振り返ってみると、7試合に登板して全試合でQS(=クオリティ・スタート/6回を投げて自責点3以内)を達成。防御率も1.43と文句のつけようのない数字だが、結果は1勝1敗。7試合の登板のうち自責点0でマウンドを降りた試合が3つあるにも関わらず、1勝に留まっているというのはある意味驚異的だ。


立ちはだかるオリックスの“神童”


 では、なぜここまで勝ち運に見放されてしまっているのか。まずはこれまでの登板を振り返りながらパターンに分けてみよう。


・4月3日(水) vs.オリックス【援護0】
[大竹] 7回無失点
[チーム] 0-0の引き分け。山本由伸を前に9回まで1安打。

・4月10日(水) vs.日本ハム【援護2】
[大竹] 7回2失点
[チーム] 2-2に追いつくも逆転できず。延長戦の末に敗戦。

・4月17日(水) vs.ロッテ【援護0】
[大竹] 8回1失点・完投
[チーム] 0-1負け。

・4月25日(木) vs.オリックス【援護0】
[大竹] 8回1/3無失点
[チーム] 0-0のまま延長へ。最後はサヨナラ勝ち。

・5月2日(木) vs.楽天【援護1】
[大竹] 7回無失点
[チーム] 1-0勝ち。初めて先制点を挙げた。

・5月9日(木) vs.楽天【リリーフ失敗】
[大竹] 7回2失点
[チーム] 序盤で3点を援護も、8回に追いつかれ、9回にサヨナラ負け。

・5月15日(木) vs.楽天【リリーフ失敗】
[大竹] 6回3失点(※今季最多)
[チーム] 逆転に成功も、9回にストッパーの森が逆転弾許す。


 今季の登板を振り返ってみると、序盤の5試合は打線の援護に見放されており、直近2試合はリリーフ陣がリードを守れなかったことが勝てない要因として浮かび上がってくる。

 なかでも不運だったのが、2度の自責点0を記録していながら1勝も挙げられていないオリックス戦。これはローテーションの都合で2試合とも山本由伸とのマッチアップとなり、最初の対決ではあわやノーヒッターという快投を演じられ、2度目の対決でも8回まで1安打と打線が完ぺきに封じ込まれてしまった。

 大竹も対オリックスは2試合(15.1回)を投げて防御率0.00という圧巻の投球を見せている一方、山本の対ソフトバンクの成績は2試合(17回)を投げて防御率0.00。被安打2では、大竹に勝ち星がつかなくても仕方がないだろう。

 ほかの試合でも打線のエンジンのかかりは遅く、大竹がリードをもらった状態で投げたのは5月2日の試合が初めて。与四球も少ないだけに、ピッチングのリズムというよりも打線の方に問題がありそうだ。


 先発ローテの若返りが注目を集めた今季のソフトバンク。大竹と同じ大卒2年目の高橋礼は3・4月負けなしの4勝で月間MVP候補にも名前が挙がり、ここまで6戦5勝と凄まじい勝ち運を発揮しているだけに、大竹の“悲運”ぶりはなおさら際立っているところ。

 とはいえ、この内容を継続していれば1勝で終わることはまずない。この苦境を耐えしのいでいけば、打線が噛み合った時には連勝街道まっしぐらとなることだろう。勝利の女神はいつ大竹に微笑むのか。今後のピッチングから目が離せない。

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