笠原祥太郎、福谷浩司、平田良介が次々に離脱
今シーズンから与田剛監督体制となった中日は、4月半ばに2016年以来3年振りとなる貯金をつくり、一時は首位争いにも参戦。しかし、その後は負けが混み、ズルズルと後退してしまった。5月19日時点で19勝23敗と借金は「4」。順位も5位にまで下がっている。
要因のひとつとして考えられるのは、故障者の多さ。開幕投手を務めた3年目のホープ笠原祥太郎は発作性上室性頻拍と診断され手術を受けた。肘や肩の故障ではないこともあり長期離脱とはならなそうだが、復帰時期は未定だ。
今シーズンから先発へと転向した福谷浩司も、椎間板ヘルニアで長期離脱を余儀なくされている。初登板となった5月6日の広島戦で6回1失点と好投を見せていただけに、与田監督も頭が痛いところだろう。開幕前から、松坂大輔、小笠原慎之介といったローテーション投手が不在だったこともあり、先発投手陣の台所事情はかなり苦しい。
それだけではない。比較的順調に見えていた野手陣にも悲劇が襲う。主力の平田良介が5月17日の試合中に肉離れを発症して途中交代。翌日に登録を抹消され、少なくとも数週間は戦列から離れることになった。投手、野手ともに主力を欠いており、5月半ばにして早くも苦境に立たされている感は否めない。
勝野明慶、清水達也が先発ローテ入りへ
多くの主力が離脱となった中日だが、明るい話題もある。投手陣ではドラフト3位ルーキーの勝野昌慶が5月17日に一軍デビュー。敗戦投手になったものの、強力巨人打線を相手に6回3失点と試合をつくった。登録を抹消されていないことを見ると、次回も先発として起用される可能性が高いだろう。
高卒2年目の清水達也は、5月12日の今季初先発から2連勝。2試合とも5回2失点と試合をつくっており、しばらくは勝野同様にローテーションの一員となりそうだ。
野手陣では開幕から好調だった阿部寿樹が不振に陥ったことで、5月19日の巨人戦で初めてスタメンに抜擢された溝脇隼人がいきなり3安打猛打賞を記録。四球も含めて4出塁で3得点と大きく貢献した。二塁の守備でも、9回表、一打同点の場面で併殺を完成させる好プレー。攻守に渡り存在感を発揮した。
主力の離脱はどんなチームにとって大きな痛手。しかし、残された選手たちが一丸となり、その苦境を乗り越えることでチーム力は上がっていくものだ。それはほかのチームを見てもよくわかる。ソフトバンクやヤクルトも故障者が多かったが、そこで抜擢された若手の活躍により、ここまで上位争いを演じてきた。
中日も、複数の主力選手が戻ってくるまで若手選手を中心に踏みとどまることができるだろうか。それこそが、7年振りとなるAクラス入りへの必須条件となる。「昇竜復活」へ向け、この試練をどう戦っていくのか――ここからの戦いぶりに注目したい。
※数字は2019年5月19日終了時点