2019.05.24 18:00 | ||||
読売ジャイアンツ | 3 | 終了 | 8 | 広島東洋カープ |
東京ドーム |
打撃陣の破壊力はやや低下
開幕から5カード連続負け越しと苦しんだ広島の調子が上がってきた。5月に入ってから連敗はなく、5月24日終了時点で15勝3敗1分(勝率.789)と圧倒的な強さを見せ首位に立った。
昨シーズンまでは丸佳浩(現・巨人)、鈴木誠也を中心とした打撃陣の強さがチームの源。そのふたりの前を打つ田中広輔、菊池涼介、さらには長距離砲のサビエル・バティスタ、松山竜平に新井貴浩と球界屈指の攻撃陣で優勝に輝いた。
最近になって3番に抜擢されたバティスタが調子を上げてきたが、ここまでの戦いぶりを見ると、今シーズンは打撃陣がやや低調だ。丸が巨人へ移籍したということもある。しかしそれだけではない。田中は開幕から調子が上がらず打率.174(172-30)と低迷。定位置の1番を外れ、5月に入ってからは下位打線がメインとなった。松山も同様に打率.164(61-10)と物足りない。
4番の鈴木は打率.340(147-50)、14本塁打、36打点と三冠王も狙える好成績で、全体的には調子。ただし、チーム打率は「.245」と、昨シーズンの打率.262には見劣りする。全体的な数字を見ても。打撃成績が頭抜けているわけではない。それでも上位に浮上できたのは、リーグ唯一の防御率2点台を誇る投手陣の頑張りがあったからだろう。
レグナルト、菊池保則ら救援陣の奮闘
先発投手陣に目を向けると、大瀬良大地と床田寛樹が左右の二本柱となり、実績のあるクリス・ジョンソンや野村祐輔も安定感を増してきた。さらに、先発に配置転換されたアドゥワ誠が防御率1点台で2連勝中と、安心して試合を任せることのできる先発が5枚も揃っている。
救援陣では、守護神の中崎翔太こそ不安定な部分はあるものの、ヘロニモ・フランスア、一岡竜司の勝ちパターンは今年も健在。終盤に大きく崩れることが少ないのも、ひとつの強みだ。そしてうひとつ、勝ちパターンではなかった中継ぎ投手たちの頑張りが光る。
新外国人のカイル・レグナルトは19試合を投げ、防御率0.00を継続中。6回、7回に相手の攻撃を断ち切る役割を担い、21.1回を投げて21奪三振と奪三振率も高く、他のチームであれば、セットアッパーとして起用されてもおかしくない。24日の試合では、1点差の6回に登板し、巨人打線の中軸をわずか7球で料理してホールドを記録した。
4月半ばから一軍に加わった9年目の中村恭平もそのひとり。今シーズンはここまで9試合に登板して防御率1.59、11.1回を投げ14奪三振を記録している。その他にも、楽天からトレードで移籍してきた菊池保則が14試合で17回を投げ、防御率3.18。投球回数が登板試合数を上回っていることからもわかる通り、回跨ぎでの登板も多い。さまざまな場面で起用されながら、安定した成績を残している。
勝ちパターンに入っていない投手たちは、勝ち星やセーブ、ホールドといった記録がほぼつかないため目立ちにくい。しかし、そういった投手たちの活躍があるからこそ、終盤まで試合を壊すことなく、勝ちを拾ってこれた部分も少なくない。どうしても、鈴木や大瀬良、フランスアといった主力の活躍が目を引くが、それ以外の中継ぎ投手たちもチームを支えている貴重な戦力。広島逆襲の陰の立役者と言っても過言ではないだろう。
安定した投手陣に打撃も復調傾向。投打が噛み合いはじめた広島の勢いは、まだまだ続きそうだ。
▼ 主な救援陣の成績
・中崎翔太 19試合(18.2回)
<2勝2敗5セーブ2ホールド 防御率3.06>
・フランスア 22試合(22回)
<4勝1敗8ホールド 防御率2.82>
・一岡竜司 18試合(17回)
<0勝0敗7ホールド 防御率2.12>
・菊池保則 14試合(17回)
< 1勝0敗1ホールド 防御率3.18>
・中村恭平 9試(11.1回)
< 0勝0敗1ホールド 防御率1.59>
・レグナルト 19試(21.1回)
<2勝0敗1H 防御率0.00>
※数字は2019年5月21日終了時点