ダイヤモンドバックス・平野

◆ 直球と宝刀の割合が逆転

 メジャー2年目の平野佳寿が苦しんでいる。昨季はダイヤモンドバックスの貴重なセットアッパーとして勝利の方程式の一翼を担い、75試合に登板、防御率2.44、メジャー3位タイの32ホールドを記録する文句なしの活躍を見せた。

 今季もセットアッパーとして起用されてはいるが、開幕から打ち込まれるシーンが目立つ。ここまでチーム3位の22試合に登板するもうち7試合で失点を喫し、防御率は5.09と安定感を欠いている。

 平野といえば、ストレートとフォークのほぼ2種類の球種しか投げないことで知られている。昨季、今季ともに、第3の球種「スライダー」を投じた割合は全体の1%にも満たない。

 しかしストレートとフォークの投球割合は、昨季と今季で変化している。昨季はストレート「53.7%」に対し、フォークは「45.4%」とストレートがやや多かった。今季はその数字が逆転し、ストレート「42.9%」に対し、フォークは「56.1%」と、より“伝家の宝刀”の割合が増していることがわかる。

 平野が最も自信を持つ球種であり、フォークの多投が決して間違っているわけではない。実際にその被打率は昨季「.177(113打数20安打)」から今季は「.146(48打数7安打)」と、その威力は衰えていない。一方で投球割合を減らしたストレートの被打率は「.233(116打数27安打)」から「.583(24打数14安打)」に大きく悪化している。

◆ 与四球減少の理由は…

 「メジャーを代表するフォークの使い手」とも評される平野だが、当然ながらストレートに比べると、打者が見送った際に「ボール」になる確率は高い。実際に平野の全体のストライク投球率は、昨季の「45.4%」から今季は「41.7%」に悪化。5球のうち3球近くがボールになっている計算だ。

 ただし与四球率(9イニング当たりの四球数)は、昨季の「3.1」から「2.0」に改善されている。すなわち、ボールを投じる割合が増えているにもかかわらず、四球は減っているということだ。これは、打者有利なカウントになる場面が増え、かつ四球を出す前に打者に痛打されていることを意味する。

 実際に打者有利なボールが先行するカウントでは、被打率.368(19打数7安打)と打ち込まれている。逆に投手有利のストライクが先行するカウントなら打率.083(24打数2安打)と、しっかり抑え込んでいる。相手打者は早いカウントから多投するフォークをしっかり見極め、打者有利のカウントに持ち込んだうえで、ストレートを狙い打ちしているとも考えられる。

 メジャー2年目はよもやの苦しいスタートとなった平野。思い起こせば、1年目は5月から7月にかけて26試合連続無失点という素晴らしい時期を過ごした。今季も本格的に暑くなる時期を迎え、本領発揮となるだろうか。その活躍に大いに期待したい。

文=八木遊(やぎ・ゆう)

この記事を書いたのは

八木遊

1976年、和歌山県で生まれる。地元の高校を卒業後、野茂英雄と同じ1995年に渡米。ヤンキース全盛期をアメリカで過ごした。米国で大学を卒業後、某スポーツデータ会社に就職。プロ野球、MLB、NFLの業務などに携わる。

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