ニュース 2019.05.26. 17:30

悪夢の連敗中でも先頭に立つ!青木宣親という絶対的存在

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通算1500安打を達成し、記念ボードを手にするヤクルト・青木

史上最年長での首位打者も視野に


 5月14日の広島戦から悪夢の10連敗……。序盤につくった最大5の貯金を食いつぶしただけでなく、借金が5まで膨んでしまったヤクルト。交流戦を前に苦しいチーム状況を迎えているなか、先頭に立って奮闘しているのが37歳のベテラン・青木宣親だ。

 日本復帰2年目になる精神的支柱は、昨年と変わらず開幕からチームを牽引。4月を終えたところで打率.318(107-34)に加えて5本塁打を記録するなど、パワー・技術ともに衰えはまったく見せていない。

 4月6日の中日戦では、延長12回裏・二死から代打で登場すると、なんと値千金のサヨナラ本塁打。延長12回制限となった2001年以降、12回裏二死からの代打サヨナラ本塁打は史上初めてのことだった。また、この一打は3・4月度の「スカパー!サヨナラ賞」(月間を通じてもっとも劇的なサヨナラ打を放った選手に贈られる賞)にも選ばれている。記録だけでなく、記憶にも残る一撃だった。

 5月に入っても、5月26日の試合前時点で月間打率.348(66-23)と成績が下がる気配はなく、今季通算の打率は.329。リーグ4位という好位置につけており、過去3度獲得している首位打者のタイトルも見据えている。

 NPBの歴史のなかで、「最年長首位打者」といえば、1979年のミヤーン(大洋)と1989年のクロマティ(巨人)、さらに2008年のリック(楽天)が記録した36歳という記録が残っている。今年1月に37歳となった青木には、最年長記録の更新という期待もかかってくる。

 5月22日には、NPB通算1500本安打も達成。通算1156試合での到達は、松井稼頭央(当時楽天)の1233試合を抜いて史上最速だった。チームが低迷していても、変わらず安打を量産する姿は、まさにプロフェッショナルといえるだろう。


次世代へ繋げたいチームを引っ張る姿


 そんな青木だが、かつて感じられた「近寄りがたい孤高の人」という印象はない。神宮球場では球場からベンチに向かう際に内野スタンドの前を通るが、子どもたちから声援を送られれば、笑顔で手を振り返す姿をよく目にする。

 青木には試合開始およそ30分前から外野をダッシュするルーティンがあが、その際にはブルペンにいるコーチやブルペン捕手とコミュニケーションを取り、笑顔で談笑することもしばしば見られる。

 昨季はチームが劣勢になると、外国人選手とともに「ラリーキャップ」(逆転を信じるおまじない)をする姿も見られた。また、ベンチでは制球が定まらずに大量失点をした投手の横に座り、肩に手をかけて真剣な眼差しで語りかける場面も目にする。

 オフには若手の村上宗隆や宮本丈、中堅の西浦直亨、上田剛史を引き連れてロサンゼルスでの自主トレを敢行。村上は19歳にしてすでに2ケタ本塁打を記録するなど、急成長を遂げている。

 プロ野球の世界では、野手は野手と、投手は投手と、またはドラフト同期などで固まることが多い。だが、青木は野手や投手、若手に中堅、そして外国人選手まで、別け隔てなくコミュニケーションをとっている印象だ。それはもちろん、ヤクルトで手にしたことのない優勝という栄冠へ向けて、ベストを尽くしているということに他ならないだろう。

 どちらかというと、ベテラン選手はチームを自らが引っ張るよりも、次世代のリーダーを立てながら後方支援を行う役割になることが多い。巨人では阿部慎之助が坂本勇人を、阪神では福留孝介が糸原健斗を支えているように。しかし、青木は自らが先頭に立って結果を残し、チーム全体を引っ張っている。

 この姿は、山田哲人や村上宗隆といった次世代の選手たちにも確実に受け継がれていくだろう。イチローが引退したいま、現役最高の安打製造機といってもいい青木宣親。きっとまだまだ走り続けていくはずだ。


【青木宣親・成績】
▼ 2019年
47試 率.329(173-57) 本7 点17

▼ NPB通算
1159試 率.329(4568-1503) 本101 打点469

▼ MLB通算
758試 率.285(2716-774) 本 33 打点219


※数字は2019年5月26日試合前時点

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