レアード

◆ ハイアベレージを継続

 今季、多くの野球ファンを驚かせている選手のひとりがレアード(ロッテ)ではないだろうか。今季からロッテに加入したレアードは、開幕から4戦連発の本塁打を放つなど、いきなり新天地のファンを歓喜させた。

 しかし、良くも悪くも成績が安定していたのがこれまでのレアードだ。毎年のように30本以上の本塁打を記録しながら、打率は.230前後。一発は期待できるが、打率はそれ相応。それが、日本ハム時代のレアードだった。おそらく、ファンのほとんどがいずれ「いつもの数字」に落ち着いてくると思っていたのではないだろうか。ところが、今季のレアードは「うれしい誤算」という言葉通りの活躍を続けている。

 ここまでのレアードの成績は、打率が「.322」でリーグ4位、17本塁打と39打点はともにリーグ2位である。とくに目を引くのが打率の高さ。日本ハム時代の4シーズンは通算で打率.240だったが、今季は5月も終わろうとしているのに、この高打率をキープしている。

 こうなると、開幕直後にたまたま好調期が重なっただけとは言い切れない。レアード本人は好調の要因に「フィアンセが一緒にいることが大きい」と語っているが、「しっかり打てるボールを待つことができている」という発言も残している。

◆ 三振王争いの常連から脱却

 その意識の表れか、今季のレアードの特徴として「三振の減少」が挙げられる。日本ハムでの過去4シーズンは、三振王になったことこそないものの、つねに三振王争いに加わり、自己最多は2016年の138三振。自己最少でも、出場試合が120にとどまった昨季の124三振だった。本塁打も多いが、三振も多い――。レアードにいわゆる「ブンブン丸」のイメージを持っていたファンは多いはずだ。

 ところが、今季はここまでリーグワースト17位タイの33三振にとどまり、ワースト1位である浅村栄斗(楽天)の59三振とは大きな開きがある。この数字は、シーズン143試合換算では102三振。昨季の出場試合数も考慮すれば、それこそ「激減」といっていい数字だ。つまり、本人がいうように、不利なボールには手を出さず、追い込まれる前のストライクゾーンのボールを好球必打でヒットにしている印象が強い。

▼ レアードの年度別成績
15年:143試(率.231/本34)129三振
16年:143試(率.263/本39)138三振
17年:137試(率.229/本32)125三振
18年:120試(率.233/本26)124三振
19年: 46試(率.322/本17) 33三振

 レアードは5月26日のソフトバンク戦でもミランダの浮いた外角直球を逃さず左翼線を破る二塁打でチームに先制点をもたらした。これでレアードは6試合連続での打点を記録。まだまだその勢いは収まることがない。

 今季、「お得意さま」としている首位・ソフトバンクに、この日も快勝したことで、ロッテは4位ながら貯金1で首位まで1.5ゲーム差に迫る。近年、貧打に悩まされ続けてきたロッテというチームを、新たな進化を見せている球界屈指の人気助っ人が支えていることは間違いない。シーズン終了時にどのような結果を残しているのか、楽しみだ。
※数字は5月26日終了時点

文=清家茂樹(せいけ・しげき)

【プロフィール・清家茂樹】
1975年、愛媛県生まれ。出版社勤務を経て2012年独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。野球好きが高じてニコニコ生放送『愛甲猛の激ヤバトーク 野良犬の穴』にも出演中。

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