野球観戦の楽しみのひとつ
今季のプロ野球も約2カ月が経過。セ・リーグは、4月終了時点で5位だった王者・広島が5月に月間20勝を挙げる快進撃で首位に浮上。一方のパ・リーグは、1位から4位までが2ゲーム差にひしめく混戦模様となっている。
4日(火)からはペナントの行方を左右する交流戦もスタート。18試合の期間限定とはいえ、前後で情勢が大きく変わることも珍しくないだけに、順位表から目が離せない日々がつづく。
交流戦といえば、ふだんは目にする機会が少ないチームとの対戦になる。ファンとしては、あまり訪れることのない球場での観戦などを楽しみにしている方も多いことだろう。あまり耳にする機会の少ない他リーグの応援というのも新鮮だ。
その「応援」を野球観戦の楽しみのひとつに挙げる人は多く、応援による球場全体の一体感というのは、現地観戦ならではの醍醐味と言えるだろう。特に近年は「応援」だけでなく、選手の「出囃子」に合わせて“掛け声”や“手拍子”をすることも増えてきた。DeNAの守護神・山崎康晃の『Zombie Nation』や、西武・秋山翔吾の『人にやさしく』などがその代表例で、選手たちのモチベーションを上げつつ、ファンも盛り上がる。
各選手が思考を凝らし、往年の名曲やその年の流行曲など、さまざまな曲が採用される「登場曲」。一体どんなアーティストの曲が多く使われているのだろうか。ちょっと気になったので、今回は選手登場曲に使われることの多い“アーティスト”を調べてみた。
セ・リーグでは3組のアーティストがトップ
まずはセ・リーグ6球団から。各球団の選手登場曲を調べ、登場曲として登録されている曲が多いアーティストをランキングにまとめてみた(※使用楽曲は2019年5月17日時点/採用曲は球団公式HPを参照)。
▼ セ・リーグのトップ10
<1位:10曲>
・AK-69(『Flying B』『Divine Wind -KAMIKAZE-』など)
・ONE OK ROCK(『Wasted Nights』『Yes I am』など)
・GReeeeN(『キセキ』『pride』など)
<4位:9曲>
・ベリーグッドマン(『ライトスタンド』『ライオン』など)
<5位:7曲>
・Mr.Children(『終わりなき旅』『Tomorrow never knows』など)
・B'z(『LOVE PHANTOM』『ultra soul』など)
<7位:6曲>
・QUEEN(『I Was Born To Love You』『Don't Stop Me Now』など)
・安室奈美恵(『Hero』『Finally』など)
<9位:5曲>
・WANIMA(『やってみよう』『ともに』など)
・サザンオールスターズ(『彩~Aja~』『希望の轍』など)
・Bad Bunny(『La Romana (feat. El Alfa)』『Fuego』など)
・BIGBANG…(『BANG BANG BANG』『monster』など)
・E-girls(『EG-ENERGY』『ヒマワリ』など)
セ・リーグで最も多く使用されているアーティストは「AK-69」「ONE OK ROCK」「GReeeeN」だった。「AK-69」は巨人の坂本勇人(KINGPIN FOR SAKAMOTO)やDeNAの筒香嘉智(Flying B)、広島の鈴木誠也(ロッカールーム -Go Hard or Go Home-)などが登場曲に採用している。
「ONE OK ROCK」は広島の上本崇司(Change)や小窪哲也(努努-ゆめゆめ-)、ヤクルトの上田剛史(Wasted Nights)が使用。「GReeeeN」の楽曲も多くの選手が使用しており、例えばヤクルトの山田哲人(遠くの空 指さすんだ)や村上宗隆(夢)などが登場曲に用いられている。
また、外国人選手が多く使っているのが海外アーティストの「Bad Bunny」。広島のサビエル・バティスタやヤクルトのウラディミール・バレンティン、阪神のラファエル・ドリスなどが『La Romana (feat. El Alfa)』を登場曲に使用している。
人気アーティストはセ・パ共通
次はパ・リーグで多く使われているアーティストを調べてみた。セ・リーグと同様に、登録数の多いアーティストをランキングにまとめている。
▼ パ・リーグのトップ10
<1位:20曲>
・ONE OK ROCK(『Change』『アンサイズニア』など)
<2位:13曲>
・WANIMA(『シグナル』『アゲイン』など)
<3位:12曲>
・AK-69(『Divine Wind -KAMIKAZE-』『BECAUSE YOU'RE MY SHAWTY』など)
<4位:11曲>
・Mr.Children(『終わりなき旅』『足音 ~Be Strong』など)
<5位:10曲>
・ベリーグッドマン(『ライオン』『ドリームキャッチャー』など)
<6位:9曲>
・GReeeeN(『Green boys』『道』など)
・AAA(『笑顔のループ』『Next Stage』など)
<8位:8曲>
・安室奈美恵(『Hero』『Just You and I』など)
<9位:7曲>
・嵐(『Happiness』『GUTS!』など)
<10位:6曲>
・ケツメイシ(『カーニバル』『カンパイの唄』など)
パ・リーグで最も多く選手登場曲に使われているアーティストは、セ・リーグでも1位だった「ONE OK ROCK」だった。ロッテの中村奨吾(Wasted Nights)や楽天の則本昂大(Yes I am)がその代表例である。
次に多かったのが「WANIMA」。ソフトバンクの柳田悠岐(ともに)やロッテの平沢大河(シグナル)が使用しており、柳田は打席ごとに複数用いている。
そしてセ・リーグでトップタイに入った「AK-69」はパ・リーグでも人気が高く、日本ハムの中田翔(IRON HORSE -No Mark-)らが使用している。
また、ランキングには入っていないが、パ・リーグの外国人選手に人気なのが「Daddy Yankee」だ。例えば、西武のエルネスト・メヒア(Gasolina)やソフトバンクのアルフレド・デスパイネ(Dura)などが登場曲に用いている。
最後にセ・パ両リーグを合算したランキングが以下の通り。
【2019年プロ野球・選手登場曲の人気アーティストTOP10】
1位 30曲 ONE OK ROCK
2位 22曲 AK-69
3位 19曲 ベリーグッドマン
3位 19曲 GReeeeN
5位 18曲 WANIMA
5位 18曲 Mr.Children
7位 14曲 安室奈美恵
8位 13曲 AAA
9位 10曲 E-girls
9位 10曲 B'z
リーグ全体で最も使われているアーティストは「ONE OK ROCK」という結果に。20代半ばから後半を中心に多くの選手が使用している。2位の「AK-69」は、坂本勇人や筒香嘉智など、30代前後の選手が多い印象。2015年には「最も多く登場曲に使われたアーティスト」にもなっており、変わらぬ人気を博している。
3位の「ベリーグッドマン」は、楽曲が高校野球中継のテーマや野球アニメの主題歌に用いられており、そうした楽曲を登場曲に選ぶ選手も多い。過去には前田健太が広島時代に登場曲として使用して紹介したことなどが話題となり、最近では西武のストッパー・増田達至が同グループの楽曲「ライオン」を登場曲に使用。両者の親交もあったことから、昨夏の試合後にはスペシャルライブも行われた。なお、今年もメットライフドームで試合後にライブを行うことが決まっているという。
球場で観戦する際には、選手の登場に合わせてどんな曲が流れているのか注意して聞いてみるのも一興。もしどんな曲なのか知りたい場合は、球団の公式ページに楽曲の詳細が掲載されているので、そちらをチェックするといいだろう。
取材・文=中田ボンベ@dcp