山川穂高

◆ 今季も本塁打を量産

 昨季47本塁打で初の本塁打王に輝いた西武の山川穂高選手が、今季も本塁打を打ちまくっている。現在22本塁打、3・4月の月間11本につづき、5月も11本塁打。このままのペースでいけば、自身が目標に掲げる50本塁打を超え、60本のシーズン最多本塁打に迫る可能性も十分に考えらる。

 単純な計算ではシーズン64本塁打ペースとなるが、それ以上にすごいのが「打点」だ。現在54打点。49試合で54打点ということは、こちらも単純計算ではシーズン158打点。シーズン最多打点は、1950年に小鶴誠(松竹)がマークした161打点(シーズン137試合)というとんでもない記録だが、この2カ月間は、そのでたらめな記録に迫ろうかという勢いだ。

 今季も全試合で4番を任されている山川。昨季は、同僚だった浅村栄斗(現楽天)が3番に座り打点王となったが、その浅村がいなくなたことも打点が増えている理由のひとつかもしれない。また、今季は昨季よりもしっかりとボールを見る場面が増えている印象。しっかりと打てる球を打ち、打てない球には手を出さないということができているからこその数字かもしれない。

◆ 昨季は元同僚の浅村が打点王に

 プロ入り5年目の昨季は、はじめて1年を通してプレーしたシーズンだった。西武打線の4番に座り、背水の陣で臨んだ開幕から打棒が爆発。苦しんだ時期もあったが、最終的には47本塁打、124打点。打点はリーグ2位だったが、リーグ優勝にも貢献し、リーグのMVPも獲得した。ちなみに、昨季の打点王は前述の浅村で、127打点。これは西武のシーズン最多打点でもあるのだが、日々試行錯誤を重ね貪欲に成長し続けている山川が、この記録の更新する可能性は高い。

 打点を稼ぐ打者は、やはりホームランバッターだが、意外にもバレンティンら本塁打王を何度も獲得している打者は、シーズン最多打点のベスト10にも入っていない。打点を稼ぐには、打線(前後の打者)との兼ね合いや、本塁打だけではなく、得点圏での勝負強さや確実性も必要だということなのだろう。

▼ シーズン打点トップ5
161打点:小鶴 誠(松竹)1950年/130試合
153打点:ローズ (横浜)1999年/134試合
147打点:今岡 誠(阪神)2005年/146試合
146打点:藤村富美男(阪神)1950年/140試合
146打点:落合博満(ロッテ)1985年/130試合

 本塁打王はもちろん、昨年の浅村を超える打点の球団シーズン記録は十分狙えるだろう。とはいえ、打てば打つほどに攻めは厳しくなる。それでも、リードオフマンとして復調した秋山翔吾、徐々に状態を上げてきた“新3番”の外崎修汰と、下位打線から上位までは足も使える。そして後ろには目下のところ首位打者(.341)でリーグトップの得点圏打率(.417)を誇る森友哉が控えている。ポイントゲッターとして打線を量産できる形は現状整っているだけに、どこまで数字を伸ばしていくのか、楽しみだ。

▼ 過去3年の打撃成績
17年: 78試合 打率.298/23本/ 61打点
18年:143試合 打率.281/47本/124打点
19年: 49試合 打率.283/22本/ 54打点

※数字は、5月29日現在

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