リーグ4位の打率.319
ロッテの不動のリードオフマン・荻野貴司は、打率はリーグ4位の.319をマークする。
荻野は、昨年秋にトップバッターとして「上手くいっているときもあれば、僕がなかなか塁に出られないときもあったりした。その調子の善し悪しを少なくできれば、もうちょっと良い方向にいったのではないかなと思います。そこが課題だと思います」と反省した。
荻野が話したように昨季は7試合連続マルチ安打をマークしたときもあれば、突然パタリと当たりが止まることもあり、好不調の波がやや大きかった。
今季は自主トレから短いバットを使用していたが本来の力を発揮できず、開幕してから昨年まで使用していた約85センチのバットで、バットを短く持つスタイルに変更し復調。「自分ではわからないですけど、運良くヒットになっているものもある。今年はそういうヒットが多いかなと思います」。4月23日の西武戦で1試合5安打を放つなど、猛打賞の回数はリーグ5位タイの5度を記録し、一時は打率リーグトップに躍り出た。
荻野の打撃を見ると、クルッと回ってライナーや速いゴロの打球が多いとヒットを量産している印象だ。本人も「よく反応できているときは、そういう感じになりますね。確かにいい時なのかもしれないです」と分析する。一方で、フライが多くなると「体の開きがちょっと早くて、バットが出てこないというのはある」と打ち取られることが多い。
「バットが遅れすぎないように。ただ早く出しすぎてもダメなんですけど、そこは難しいですよね」と話し、「しっかり自分のスイングを毎日できるように心がけています」と試行錯誤しながら日々を過ごす。
第1打席に出塁すると…
今季の荻野は第1打席が打率.385(39-15)と4割近いアベレージを残す。打席別の成績を見ても、第7打席(10割)を除くと最も高い打率だ。
特に荻野が初回の第1打席に出塁すると、かなりの高い確率でホームに生還している。5月10日のソフトバンク戦から荻野が初回の第1打席に出塁した9試合は、全て得点に結びついている。ちなみに5月10日以降、荻野が第1打席に出塁していない試合の初回得点は、わずかに2試合しかない。そのうち1試合は、荻野が欠場した5月26日のソフトバンク戦だ。
「初回なので、塁に出ることでチームはノッていける。全部の打席で一緒なんですけど、初回に点を取るとピッチャーも楽になると思う。そこはしっかり心がけてやっていきたいと思います」。
投手を助けるため、チームに勢いをもたらすため、とにかくトップバッターとして塁に出て、2番打者以降に繋いでいく考えだ。
不動のリードオフマンとして、チームを支える荻野の唯一の不安点といえば故障による離脱。昨季も荻野が右手骨折で離脱した後、チームは苦戦を強いられた。1年間、荻野が“トップバッター”としての役目を果たすことができれば、チームにとってはかなり心強い存在だ。
▼ 荻野の打席別成績
第1打席:率.385(39-15)本1 点1 四死球3
第2打席:率.378(37-14)本1 点4 四死球1
第3打席:率.371(35-13)本1 点8 四死球3
第4打席:率.172(29-5)本0 点1 四死球8
第5打席:率.190(21-4)本0 点1 四死球2
第6打席:率.250(4-1)本0 点0 四死球1
第7打席:率1.000(1-1)本0 点0 四死球0
※数字は2019年6月2日時点
取材・文=岩下雄太