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巨人・岡本を奮起させた原監督の“愛のムチ”

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【プロ野球交流戦楽天対巨人】6回、勝ち越し本塁打を放つ巨人・岡本和真=2019年6月6日 楽天生命パーク 写真提供:産経新聞社
話題のアスリートの隠された物語を探る「スポーツアナザーストーリー」。今回は、6月6日の楽天戦で決勝ホームランを放ち、復調をアピールした、巨人・岡本和真選手のエピソードを取り上げる。

「すごく久しぶりにいいスイングができたな、って感じです。打った瞬間、久々な感覚がありました」

6月6日、楽天生命パーク宮城で行われたセ・パ交流戦、楽天-巨人・第3戦。巨人は初戦をビヤヌエバの逆転弾で制しましたが、2戦目は終盤、リリーフ陣が崩れて敗戦。嫌なムードを払拭する意味でも、この3戦目は何としても勝ちたいゲームでした。

試合は、先日中継ぎで待望のプロ初勝利を挙げ、先発に抜擢された巨人・桜井が好投。一方、楽天先発・石橋も決め手を与えず、5回を終えて1-1。6回、勝ち越したい場面で、巨人はクリーンアップに打順が回ります。

ところが、3番・坂本勇、4番・阿部が凡退。この回も無得点……のムードが漂いかけたところで打席に立ったのは、この日「5番・一塁」で出場した岡本でした。

「何とか塁に出ることだけを考えて、打席に入りました」

と言う岡本。石橋の初球、外寄りの甘く入った真っ直ぐを見逃しませんでした。ジャストミートした打球は、右翼席に飛び込む8試合ぶりの10号ソロホームラン!「塁に出る」どころか、たったひと振りで勝ち越したのです。しかも、逆方向への本塁打は約2ヵ月ぶり。どうやら、好調時の感覚を取り戻したようです。

「いい方向に打てたんじゃないかな、と思いますね」

貴重な援護点をもらった桜井は、7回二死まで楽天打線を3安打1失点に抑え、あとは4投手のリレーで逃げ切り。結果的に、岡本が仙台の夜空にかけたアーチが、チームを勝利に導く決勝点となり、桜井の、先発では初勝利となる2勝目もアシストしました。

また、岡本はこれで2年連続2ケタ本塁打を記録。今季の目標は、昨年(2018年)の30本を上回る「40発」だけに、弾みをつける1発になりました。

「何とかきっかけとしてね、ホームランも(もっと)出てくれるといいですね」

試合後、満面の笑みを浮かべ、若き主砲の復調を喜んだ原監督。昨季は6月から巨人軍第89代の4番に座り、史上最年少で「3割、30本、100打点」をマークした岡本ですが、今季はなかなか打率が上がらず、打撃不振に陥っていました。原監督は、悩める主砲を救おうと、ちょっとした“荒療治”に出ます。

「“ビッグベイビー”がちょっと困っているかな。少し助けてあげようと」

交流戦開幕と同時に、岡本を開幕から51試合務めて来た4番の座から降ろし「少し精神的に楽なところを打たせたい」と6番に下げたのです。

これに岡本も発奮。楽天戦の初戦では2安打を放ち、2戦目も2安打。調子が上がって来たのを見て、3戦目、原監督は1つ打順を上げて5番を打たせました。こういったきめ細かい配慮もあって、岡本は第3戦も決勝アーチを含む2安打。3戦連続マルチヒットで、完全復調をアピールしました。

「もう“ビッグベイビー”と言えなくなったね」

そう言ってニンマリした原監督。2014年のドラフトで、当時チームの補強ポイントは即戦力投手だったにもかかわらず、「いまのジャイアンツには、将来4番を打てる和製大砲が必要だ」と、あえて高校生の岡本を1位指名したのは、原監督でした。

高橋監督が辛抱強く4番で使い続け、主砲に育ててくれた岡本を、さらに大きく花開かせるのは自分の使命……4番剥奪は、そんな思いもあっての“愛のムチ”でしたが、みごと結果を出してみせた岡本。

原監督は就任時から「岡本は他の選手と競わせず、4番で行く」と明言しているだけに、ほどなく元に戻すと思いますが、ここぞというときにチームを救うのが4番の仕事。岡本が真の主砲になれるかどうかは、これからが勝負です。

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