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待ちに待った巨人・阿部の400号と偉大な先達たち

◆ 波乱の5月を経て
交流戦に入り、いろんな話題が出てきました。
5月というのは非常に大変な月でしたね。東京ヤクルトスワローズの連敗と同時に、広島東洋カープが5月だけで「20勝4敗1引き分け」。この5月だけで、両チームの差が広がり、果たして10月までに追いつけるかどうか。ほんと、5月は波乱の月でしたね。
パリーグも、ソフトバンクの大型エンジンがかかりきらず困っている感じですが、これからどうなるか。色々な問題を抱えながら、交流戦に入りました。
大谷選手の登場などにより、メジャーリーグの中継カードが増えている印象ですが、それを見るたびにホームランが乱れ飛んでいる感じですね。その印象通り、メジャーリーグでは、5月だけで(両リーグで)「1135本」という新記録が出ました。
ちなみに日本では、試合数・チーム数が違うので、一概には比較ができませんが、5月はセ・リーグのホームランが315本、パリーグは317本、合計632本のホームランが出ています。アメリカでは「1135本」ですから、色々な面でスケールの違いを感じますね。
◆ 待望の400号
さて、ホームランといえば、阿部慎之助が、ついに400号を打ちました。あと1本という所で、去年のシーズンを終えた阿部ですけれど、それでも今シーズンに入ってすぐ出るだろう。というのが大方の予想だったのですが、ホームランが出るよりなにより、試合にフルに出場する機会がない。したがって、たまに原監督が、良い場面で代打起用するのですが、逆に本人に力が入り過ぎたり、何が何でも打ちたいという事で、ボール球に手を出してしまったり本来のバッティングができず、ホームラン性の当たりさえ出なかった。
今シーズン、400号ホームランを放つ前までは、21打数5安打で長打もなく、「いつ400号が出るんだろう」という状態でした。これが、さらにチームへのプレッシャーにもなり、チャンスで阿部が起用されると、雰囲気が固くなって、「とてもこれ、打てそうにないな」といった雰囲気になる。
阿部も苦しかったと思うんですが、6月1日に東京ドームで行われた中日戦の7回、久々に見事なホームランが右中間スタンドに飛び込みまして、これが400号。しかも、このホームランが試合の行方を左右する重要な一発だった。色々な意味で、意味のあるホームランになりました。
これで、阿部がすっかり生き返ったのではないでしょうか。もしかすると、シーズンが終わって振り返ると、この6月1日の中日戦が、ひとつのポイントになった試合になるのではないかと思います。それくらい、巨人にとっては文句のつけようのない試合で、阿部は喜色満面、原監督も興奮を抑えようがないという喜び方をしていました。
◆ 偉大な先達たち
かくして阿部慎之助の400号ホームランが誕生したわけですが、300号までは42人いるんです。300号までは多いんですが、400号となると、阿部を入れて「19人」だけなんです。400号を打つことがどれだけ大変なことか、数字を見ても分かると思います。
ちなみに、400本打った方というのは、野村克也さん、王貞治さん、門田博光さん、長嶋茂雄さん、張本勲さん、土井正博さん、大杉勝男さん、田淵幸一さん、山本浩二さん、衣笠祥雄さん、落合博満さん、秋山幸二さん、清原和博さん、ライオネル・ローズさん、金本知憲さん、小久保裕紀さん、山崎武司さん、中村紀洋さん、そして阿部慎之助と、この19人しかいないんです。
しかし、この顔ぶれをみると、やはりホームランを打つ人たちだなと思いますが、ここに阿部が仲間入りをした。さらに、野村さんという先輩はいますが、キャッチャーでは久々。見事ですね。
ちなみに、400号までは19人。450号となると「13人」になり、500号はわずか「8人」です。550号を打った人になると、野村克也さん、王貞治さん、門田博光さんの3人、600号だと野村さんと王さんだけ。700号から800号になると、王さんだけになります。もうこの辺になると、特別な記録。これはこの後、出てこないんじゃないかなと思う記録ですね。
◆ プレッシャーからの解放
阿部は、本当に晴れ晴れとしていると思います。とにかく6月1日、東京ドームの対中日10回戦、7回裏にビヤヌエバが満塁ホームランを打って、4対4の同点になった。あのホームランによって、東京ドームのムードがガラッと変わりました。
それまでは、また中日に負けるんじゃないかと。意外に巨人は中日を苦手としていて、さらにロドリゲスの球も速かったので、これはダメじゃないかと思っていたところに、7回裏ビヤヌエバの満塁ホームラン。あのホームランも凄かったですね、センターのバックスクリーンへ。ビヤヌエバとしても、やっと借りを返せたという感じでした。
あそこで巨人の雰囲気も変わって、あのムードが阿部に400号を打たせたといってもいいと思います。阿部もこの後、ホームランの数を伸ばしていくと思いますが、阿部が代打の場面で期待を裏切っていたことも、今年の巨人が苦戦している理由ひとつだったのかもしれません。
阿部といえば、誰もが期待しますから。400号ホームランが出たことでプレッシャーのタガが外れ、のびのびと打っていくのではないかと思います。
(ニッポン放送ショウアップナイター)
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