チーム本塁打が昨季を超える
ロッテが19日の広島戦で1試合4本塁打を放ち、チーム本塁打が81本塁打に到達。今季66試合目で、早くも昨年の年間本数である78本塁打を超えた。
2011年以降、チーム本塁打が100本を超えたシーズンは一度もなく、昨季も二桁本塁打を放った選手は24本塁打の井上晴哉のみ。長年に渡って長打力不足が課題となっていた。
今季は長打力不足を解消すべく、レアード、バルガスといった“長距離砲”を獲得。特に日本ハム時代の16年に本塁打王に輝くなど、実績十分のレアードは、新天地でも本塁打を量産している。
ここまでチームトップの20本塁打を放ち、何度も“スシポーズ”を披露。このペースでいくとシーズン終了時には43本塁打となる計算となり、球団では05年のイ・スンヨプ以来となるシーズン30本塁打超えは、ほぼ間違いないだろう。
▼ 近年のチーム本塁打と最多本塁打者
11年:46本(6位)/井口資仁(9本)
12年:64本(6位)/井口資仁(11本)
13年:91本(5位)/井口資仁(23本)
14年:96本(4位)/クルーズ(16本)
15年:85本(5位)/デスパイネ(18本)
16年:80本(6位)/デスパイネ(24本)
17年:95本(6位)/ペーニャ(15本)
18年:78本(6位)/井上晴哉(24本)
19年:81本(2位)/レアード(20本)
※カッコ内は「チーム本塁打のリーグ順位」と「最多本塁打者の本数」
今季からホームランラグーンを設置
本拠地のZOZOマリンスタジアムでは今季から、外野席の手前に『ホームランラグーン』と呼ばれるエリアを設置。昨季までのフェンスの位置から最大で4メートル手前にフェンスがせり出した。
ここまでZOZOマリンスタジアムでは45本のホームランが生まれており、すでに昨季の年間36本を9本も上回っている。ちなみにホームランラグーンに飛び込んだ本塁打は12本で、本塁打増がホームランラグーンの効果によるものだけではないことがわかる。
また、大村巌打撃コーチが「ビジターでも打っているから、(ラグーンが設置されたことは)あんまり関係ないね」と語ったように、今年はZOZOマリン以外の球場でも本塁打は増えている。今季最多タイの1試合4本塁打を放った球場は、ヤフオクドーム、前橋、マツダスタジアムと、いずれもZOZOマリン以外の球場だった。
そんな中で大きな変化を感じるのが“意識”の部分。二軍の打撃コーチを担っていた大村コーチが一軍打撃コーチに就任した昨年11月以降、「大があって小がある。小をやったら大はない」という考えのもと、「小さくならないように大きく、強く振るようにしている。今年は強く振る」といったことをチーム方針として徹底してきた。
選手に話を聞いても、鈴木大地や藤岡裕大からは「大きくタイミングをとって振っている」、「強く振ることをテーマに取り組んでいる」といった言葉が聞かれ、現在二軍にいるルーキーの松田進、山口航輝なども、堀幸一二軍打撃コーチから強く振るように指導を受けるなど、その意識はチーム全体に浸透している。
▼ ロッテの球場別本塁打
45本 ZOZOマリン
8本 ヤフオクドーム
5本 メットライフドーム
4本 札幌ドーム、京セラD大阪、楽天生命パーク、マツダスタジアム、前橋
2本 東京ドーム
1本 県営大宮
鈴木の長打率が1割以上アップ
長打率に注目すると、選手会長の鈴木大地は、昨季の長打率.398を大きく上回る.515をマークする。
▼ 鈴木大地の長打率
13年:.383
14年:.385
15年:.366
16年:.389
17年:.398
18年:.398
19年:.515
レギュラーに定着した13年以降の長打率を見ても、今季の長打力が上がっていることがわかる。
長打率が昨季より高いことについて鈴木に尋ねると、「やれることは、そういう打撃だけじゃないのでね」と前置きをしつつ、「長打率が上がっているのは悪いことじゃないかなというのが本音。あとはシーズンが終わったときに、その数値が高かったからこうだったなと考えること」というコメントが返ってきた。
総括するにはまだまだ時期尚早ということだが、長距離砲の加入に加え、“強く振る”意識の徹底という部分も、長打力アップに繋がっていることは間違いないだろう。
※成績は2019年6月19日時点
取材・文=岩下雄太