最後まで目が離せない戦い
6月4日(火)に開幕した「日本生命セ・パ交流戦 2019」も、いよいよ残りわずか。雨天中止の振り替えがないチームにとっては、21日(金)からの3連戦が最後のカードとなる。
例年パ・リーグのチームが猛威を振るう交流戦。その流れは今季も変わらず、20日(木)終了時点で48勝36敗4分とパ・リーグが優勢。しかし、今年はルールの変更でこれまでの“リーグ対抗”の色がやや薄まり、昨年は勝ち越したリーグ内の順位によって賞金が分配されていたのが、今年は勝率No.1チームに賞金3000万円がまるっと贈られることになった。
3000万円か、0円か……。“交流戦優勝”がかかる上位チームにとって、最後の3試合は絶対に負けられない戦いとなる。加えて、今季は“日程の妙”もあり、最後の3連戦で上位勢が直接対決をするというから、最後の最後まで目の離せない展開となっているのだ。
自力優勝の可能性を持つ2チームが直接対決!
なんといっても注目は、交流戦首位のソフトバンクと2位・巨人の直接対決。自力優勝の可能性を持っているのがこの2チームで、どちらかが3連勝となればそのチームが賞金3000万円を手にする。
▼ 巨人-ソフトバンク(東京ドーム)
・首位:ソフトバンクが3連勝
=12勝4敗2分(.750)。他チームの結果に関係なく最高勝率が確定。
・2位:巨人が3連勝
=13勝5敗(.722)。楽天が残り4戦全勝した場合は勝率で並ぶも、直接対決で勝ち越した巨人が上位に。
1試合消化が少ない楽天の勝機は
一方、上位勢の3連戦が潰し合いになると、3位の楽天と4位の西武にも逆転優勝の芽が出てくる。
楽天は雨天中止で消化試合が1試合少なく、勝率は最高で.722になる可能性を残している。上でも少し触れたが、もし楽天が残り4試合をすべて勝った場合の勝率は.722。ソフトバンクと巨人がこの勝率を超えるためには3連勝しかなく、どちらかが直接対決の3連戦で1つでも星を落とした場合、楽天に優勝の可能性が出てくるのだ。
▼ 巨人-ソフトバンク(東京ドーム)
・首位:ソフトバンクが2勝1敗で勝ち越し
=ソフトバンク(11-4-2|.688)/巨人(11-7|.611)
・1勝1敗1分の痛み分け
=ソフトバンク(10-5-3|.667)/巨人(11-6-1|.647)
・2位:巨人が2勝1敗で勝ち越し
=巨人(12-6|.667)/ソフトバンク(10-6-2|.625)
☆楽天の残り4試合・星取別勝率
4勝0敗0分 13勝5敗0分(.722) ☆優勝
3勝0敗1分 12勝5敗1分(.706) ☆優勝
3勝1敗0分 12勝6敗0分(.667) ※巨人と並んだ場合は2位、ソフトバンクと並んだ場合は勝数で上回るため優勝
西武は“負ければ終わり”
最後に、4位・西武にも大逆転の可能性があるのでそのパターンを見ていこう。
西武はここまで15試合を消化して9勝6敗。残りは3試合なので、勝率は最高でも12勝6敗の.667となる。
上で触れた「巨人-ソフトバンクの3連戦の結果別勝率」を見てみると、巨人が2勝1敗の場合は.667で並ぶことになるが、西武も楽天と同じく巨人に直接対決で負け越しているため、巨人と並んだ場合の優勝はない。
となると、西武に逆転の芽があるのは、『西武が3連勝』したうえで『巨人とソフトバンクの3連戦が1勝1敗1分の痛み分け』に終わり、かつ『楽天が3勝1敗以下』だった時ということになる。
ソフトバンクが勝率.667で並んだ場合は、勝数で上回る西武が優勝。楽天が3勝1敗で並んできた場合、勝数も同じ12となって直接対決はないため、「TQB」という指標を用いて順位を決することになる。
「TQB」とは、国際大会などで用いられる順位決定の方法で、「トータル・クオリティー・バランス」の略称。1イニングの平均得点から1イニングの平均失点を引いた数値ということで、言い換えるならば“得失点差率”といったところになるか。優勝に近づくためには1点でも多く取り、そして1点でも無駄な失点を省くことが重要になってくる。
最後に、交流戦における詳細な順位の決定方法を以下にまとめておく。果たして、“令和最初”の交流戦王者の栄冠を掴むのはどのチームか…。最後の最後まで目が離せない。
「日本生命セ・パ交流戦 2019」・順位決定方式
☆勝率第1位球団を「交流戦優勝球団」とする。
☆勝率が並んだ場合は、以下の成績にしたがって順位を決定する。
<2球団が並んだ場合>
(1)勝数
(2)直接対戦の成績
(3)交流戦18試合のTQB=(得点/攻撃イニング)-(失点/守備イニング)が大きいチーム
(4)交流戦18試合のER-TQB=(相手自責点による得点/攻撃イニング)-(自責点/守備イニング)が大きいチーム
(5)交流戦18試合のチーム打率
(6)前年度日本生命セ・パ交流戦の上位チーム