ニュース 2019.06.23. 11:30

飛躍のキッカケに!交流戦でブレイクした選手の“その後”

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巨人・若林晃弘 (C)Kyodo News

いよいよ大詰め交流戦


 6月4日(火)に開幕した「日本生命セ・パ交流戦 2019」もいよいよ佳境。今年もパ・リーグが勝ち越しを決めたというのは近年の傾向通りだが、賞金3000万円を総取りできる交流戦の王座はソフトバンクと巨人、東京ドームで行われるカード最終戦に勝利した方という痺れる展開になった。

 勝敗以外のたのしみとしては、「新戦力の台頭」というのも交流戦の魅力のひとつであると言えるだろう。例えば、5年ぶりの交流戦Vを目指す巨人では、プロ2年目のスイッチヒッター・若林晃弘が新たな二塁手候補として台頭。線は細めに見せながらも力強いスイングでヒットを量産し、一時は交流戦の打率トップに立った時期もあった。終盤に入ってやや数字は落としたものの、ここまで16試合の出場で打率.340という好成績を残している。

 また、投手では2015年のドラ1右腕・桜井俊貴がこの交流戦から先発に回って3戦2勝、防御率1.83と安定した投球を披露している。6月20日のオリックス戦では6回2失点ながら白星がつかず、交流戦MVP争いという観点で見ればやや遠のいてしまった感はあるものの、間違いなく巨人の躍進を支える原動力となった。

 ほかにも、オリックスのルーキー・中川圭太が交流戦首位打者争いを演じていたり、厳密にいえば交流戦期間での台頭とは言えないかもしれないが、ヤクルトの村上宗隆がリーグ戦からの勢いそのままに5本塁打を放ってパ・リーグのチーム、ファンを驚かせていたりと、やはり楽しみな若手の奮闘が目立っている。


初年度から超大物が出た!


 では、過去に交流戦をキッカケに飛躍を果たした選手たちは“その後”どんなシーズンを送り、どんな選手へと成長していったのか。振り返ってみよう。


 交流戦がはじまった2005年。この年に目を見張る活躍を見せていたのが、ヤクルトの青木宣親だ。

 当時はプロ2年目、開幕から出場機会は得たもののなかなか結果が残せない日々が続いていたが、交流戦に入って一変。期間中に最多の55安打を放ち、通算の打率は驚異の.382。パ・リーグの投手を相手に打撃開眼した若きヒットメーカーはリーグ戦に戻っても変わらずに打ち続け、終わってみればセ・リーグ新記録(当時)となる202安打をマーク。打率.344で首位打者のタイトルも獲得し、新人王にも選出された。

 その後の活躍は皆さんもご存知の通り。毎年のように首位打者争いを演じる球界屈指の安打製造機へと成長を遂げ、メジャーリーグにも挑戦。昨季からヤクルトに復帰すると、37歳になった今季もここまで打率3割台をキープしており、6月22日終了時点でのNPB通算打率は.328。これは日本プロ野球史上最高の数字となっている。


すっかり定着した“おかわり”


 青木が“安打”で印象に残る活躍を見せた一方、“本塁打”で名前を打ったのが西武の中村剛也だった。

 中村はこの年が高卒3年目。交流戦の開幕戦から幸先よく一発を放つと、その後も勢い止まらず本塁打を量産。終わってみれば小久保裕紀(当時巨人)や李承燁(当時ロッテ)といったスラッガーたちと並ぶ12本塁打をマークし、交流戦の優秀選手賞に選ばれた。

 こちらも今や日本を代表するホームラン・アーティストであり、本塁打王に輝くこと計6回という球界を代表する強打者として今なお活躍を見せているものの、本格化したのは2008年のこと。2005年は80試合の出場で22本塁打と好成績を残したものの、中軸に定着することが期待された2006年は100試合に出場しながら9本塁打に終わり、2007年も7本塁打と足踏み。ブレイク後すぐに大活躍を見せたわけではなかった。


勢いが続かなかった選手も…


 しかし、交流戦で飛躍のキッカケを掴みながらも、その勢いが長続きしなかったという例も当然ある。

 例えば、2016年の交流戦でMVPに輝いたソフトバンクの城所龍磨がそのひとりだろう。かねてから“守備の人”として活躍してきた男が、この年はバットで大暴れ。期間中の打率は驚異の.415で交流戦首位打者にも輝いたものの、シーズンに戻ると再び“守備の人”へとシフト。最終的には.264という打率でシーズンを終えた。その後も“渋い”活躍は見せたものの、巨大戦力を誇るチームのなかで徐々に出番を減らしていき、2018年に現役を引退している。

 ほかにも、2017年の交流戦で全体2位の打率を記録した日本ハムの松本剛も、後に侍ジャパンに選出されるほどの期待を受けながら今季はわずか4試合の一軍出場と伸び悩み感が否めず。古くは中日にいた佐藤充という投手が2006年の交流戦で両リーグ最多の5勝を挙げる大活躍を見せながら、以降は輝きを放つことができずにユニフォームを脱いだ。


 15年目の交流戦も残りわずか。元号が変わったことで何かと“新時代”がキーワードになった2019年だけに、今回の“令和初の交流戦”でブレイクした選手たちにかかる期待は大きい。

 リーグ戦再開後も、勢いそのままにチームの主力へと定着できるのか。躍動する若手たちに引き続き注目だ。


文=中田ボンベ@dcp
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