5回1失点で2勝目
近年のロッテの高卒新人は、1年目は基本的に体づくりを中心に行い、夏場以降に二軍戦デビューを飾り、10月のフェニックスリーグで実戦経験を積む機会が多い。そんな中で、ドラフト6位ルーキーの古谷拓郎は早くも二軍戦に4試合に登板し、2試合で先発登板をしている。
小野晋吾二軍投手コーチは古谷について「キャンプから土台作りをしていく中で、予想以上に投げられています。体づくりができてきているので、この段階で先発という形」と先発で実戦経験を積ませる理由を説明した。
今季2度目(練習試合は含まない)の先発となった20日の西武との二軍戦で古谷は、プロ最長の5回を投げ、4安打1失点に抑え、2勝目を手にした。
小野コーチは「ストレート中心にしっかり自分の球を投げ込めていました。想像以上のピッチングをしてくれたと思います」と評価し、古谷も「しっかりストレートで押していこうと打ち合わせでは話していたので、それがしっかりできたというのは良かったと思います」と20日の西武との二軍戦の投球を振り返った。
この日の投球では、3回に高木渉を2球で簡単に追い込み、最後はインコースのストレートで3球三振に仕留めた場面と、走者がいないときも時折クイック気味に投げている姿が印象に残った。
3回の高木渉の3球三振について古谷は「左バッターが多い中で、最後は左バッターのインコースに投げ切れたのは良かったと思います。そこが大きかったかなと思います」と自己分析した。
また、走者がいないときに時折クイックで投げていたのは、古谷によると「自己判断ですね。なるべく間の使い方を変えて、タイミングを合わせられないようにひとつの工夫ではあります」と打者の反応を見て冷静に対峙していたようだ。
小野コーチも「自分の中で色々考えながら投げていると思う。コントロールを乱すことなく投げ込めているし、僕が言うことはない。自分で考えて投げられていることはすごくいいこと」とクイックを入れながら、自分の考えで打者を抑えていく古谷の投球を褒めていた。
走者がいないときもセットポジション
二軍戦でプロ初勝利を挙げた5月11日のヤクルト戦では、走者がいないときはワインドアップで投げていたが、ここ最近は走者がいないときもセットポジションでの投球が目立つ。
「しばらくワインドアップだったんですけど、なかなかうまく投げられていなかった。1回セットにしてみようと自分で判断して見て、それがうまくハマったなという感じがあります」と練習の中でいろいろと模索し、その中で今の自分にあった形がセットポジションからの投球だった。
走者がいないときにクイックを入れたり、セットポジションで投げることもそうだが、自分の考えをしっかりと持っている。それに加え、課題点を見つけ、その課題を克服している印象だ。
古谷は「毎試合課題を持って前回できなかったこととか、しっかり反省して潰していけるように、毎試合振り返って試合に臨むようにしています。(登板後も)寮に帰ってから自分の映像を見たり、ここが良かったとかしっかり振り返るようにしています」とただ漠然と捕手に投げるのではなく、プロとして結果を残すための準備を怠らない。
「もっと体を作っていければ、ストレートも自然に速くなって、バッターをもっと押せていけると思います。そこはしっかりと継続して体づくりをやっていきたいと思います」。貪欲さと修正力を併せ持つ古谷がこの先、どのように成長していくのか本当に楽しみだ。
取材・文=岩下雄太