【プロ野球交流戦巨人対ソフトバンク】7回 ソフトバンク・福田秀平が本塁打を放つ=2019年6月23日 東京ドーム 写真提供:産経新聞社

話題のアスリートの隠された物語を探る「スポーツアナザーストーリー」。今回は、6月23日の巨人戦で、交流戦優勝に貢献する2本のホームランを放ったソフトバンク・福田秀平選手のエピソードを取り上げる。

「塁に出ることを意識していた。チームとしても大きな一打になったと思う」

6月23日、東京ドームで行われたセ・パ交流戦、巨人-ソフトバンク戦。交流戦優勝を懸けた3連戦は、初戦をソフトバンク、第2戦を巨人が制し、この第3戦は「勝った方が交流戦V」という大一番になりました。

巨人はエース・菅野が先発。一方、ソフトバンクは故障から復帰したばかりで、今季まだ白星のない和田がマウンドへ。首脳陣としては和田が楽に投げられるよう、早めの援護が欲しいところでしたが、その期待にいきなり応えたのが、この日「1番・セカンド」でスタメン出場した福田でした。

プレイボール直後の、初回・第1打席で、カウント2-2から菅野が投じた147キロ、高めのストレートをとらえると、打球はライトスタンドへ。今季6号の先頭打者アーチで、菅野の出鼻をくじいたのです。この1発で勢いに乗ったソフトバンク打線は、初回に一挙4点を奪い、菅野は2回途中で自身最短KO。

さらに、3点リードの7回、今度は左腕・髙木京介から再び右翼席へ運ぶ豪快な7号ソロでダメ押し。1試合2本の本塁打を放ったのは、プロ13年目にして初めてでした。

「1試合に2本なんて、自分でもビックリです」

この福田の2発が大きくものを言い、和田は651日ぶりの復活勝利。そしてソフトバンクも、交流戦最多となる2年ぶり8度目の優勝を飾ったのです。工藤監督は試合後、福田の働きを絶賛しました。

「彼の一撃がチームの緊張感も和らげてくれて、その後も続けた。この東京ドーム(3連戦)で合計3本、すばらしい活躍をしてくれた」

福田は21日の巨人戦初戦でも、6回、同点の場面で、元同僚の森福から試合を決める代打満塁本塁打を放っており、巨人3連戦は6打数4安打7打点の大活躍。交流戦Vの立役者となりました。
巨人戦に限らず、交流戦中に6本の本塁打を放ち、優勝チームから選ばれるMVPの有力候補に浮上した福田。これだけの実力を持ちながら、選手層の厚いソフトバンクではなかなかレギュラーの座をつかめず、内外野を守れる「スーパーサブ」の役割を担って来ました。

23日に守ったセカンドは過去、途中出場で守った4試合だけ。22日に故障で離脱した名手・今宮に、内野手用のグラブを借りての出場でした。それでも軽快にゴロをさばくなど、器用なところを見せた福田。故障者が相次いでも、レギュラー同等の活躍ができる控え選手を揃えているのがソフトバンクの強みであり、福田はその象徴でもあります。

「チームの将来を担う大型内野手」として2006年、高校生ドラフト1巡目で東京・多摩大聖ケ丘高からソフトバンクに入団。しかし、なかなかレギュラーの座をつかめず、11年から出場機会を増やすため、外野手登録に切り替えましたが、2016年までは、出場試合数は毎年2ケタ止まり。代打・代走・守備要員に徹して来ました。

しかし「控えの立ち位置を脱却したい」と奮起し、開幕1軍を勝ち取った2017年は104試合に出場。昨季(2018年)も自己最多の110試合に出場し、7本塁打をマーク。2年連続で出場が100試合を超えました。

もともと体格にも恵まれており、潜在能力は高く買われていた福田。23日の2発で、本塁打数は早くも昨季の7本に並びましたが、昨オフ、同学年で仲のいいチームメイト・柳田悠岐と初めて一緒に自主トレを行い、アドバイスをもらったことも打撃開眼にひと役買ったようです。

「うちの外野はすごいから、打つだけでも守るだけでも走るだけでもダメ。三拍子すべての部分で、太刀打ちできるようにならないと」

また、その明るいキャラクターでも、ファンの人気を集めている福田。昨年(2018年)7月31日、ソフトバンクが毎年、東京ドームで行っている「鷹の祭典in東京」で、こんな“事件”がありました。

ソフトバンクファンで知られる、人気声優の内田真礼が、テレビ番組のレポーターとして試合前のグラウンドを訪問。甲斐にインタビューしていたところ、福田が通りかかりました。「拓也、きれいな人と話してるな」とその様子を横目で眺めながら歩いていたら、打撃練習用の防球ネットに激突!

その映像が爆笑シーンとしてネット上で“拡散”され、再生回数は100万回を突破。福田は一躍、野球ファン以外にも名前が知られることになりました。

その縁で、内田との対談も実現した福田。初対面でしたが、きちんと相手の出演作を調べ、対談に臨んだ福田に「さすが、常に準備を怠らない彼らしい」という賞賛の声も。2年ぶりのペナント奪回に向けて、リーグ戦再開後も、カギを握る存在になりそうです。

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ベースボールキング編集部

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