話題のアスリートの隠された物語を探る「スポーツアナザーストーリー」。今回は、6月26日にトレードで日本ハムから巨人への移籍が発表された、藤岡貴裕投手・鍵谷陽平投手のエピソードを取り上げる。
「両軍にとって、いい形になるといい。我が軍としてはしっかりと手助けをしながら、いいものが出せるようにしたい」(原監督)
26日に発表された、巨人・日本ハム間の交換トレード。吉川光夫(31)・宇佐見真吾(26)が日本ハムへ。代わって藤岡(29)・鍵谷(28)が巨人に移籍することになりました。
常に新陳代謝を図る日本ハムは、毎年シーズン中のトレードにも積極的で「またか」という印象ですが、応じた相手が巨人、しかも2対2というところに驚きの声も上がっています。
巨人が放出した吉川は、もともと日本ハムに10年在籍。古巣に3年ぶりの復帰となりました。今季は背番号が、昨季限りで引退した山口鉄也がつけていた「47」に変更。開幕前はリリーフの柱として期待されていましたが、4月末に早々とファーム落ち。再昇格後、5日の楽天戦に登板しましたが、ストライクが1球も入らず、打者1人を歩かせると、原監督はスパッと交代させ、即2軍→今回のトレードになりました。
復帰にあたって、チーム編成の全権も握っている原監督ですが、このシビアな見切りの早さは、5年ぶりのV奪回に懸ける決意の表れ。吉川は慣れ親しんだ古巣で、捲土重来を目指します。
宇佐見も、勝負強いバッティングが売り物でしたが、今季の巨人は、炭谷の加入で捕手が飽和状態。同じ「打てる捕手」の大城も一塁に回っているチーム状態では出番がなく、「もったいない」という声もあるなかでの移籍となりました。
捕手強化を図る日本ハムでは、間違いなく出場機会に恵まれるでしょうし、大田泰示のように新天地・北海道で、才能を大きく開花させてほしいものです。
【プロ野球巨人】日本ハムへの移籍が決まり、巨人の選手らと挨拶を交わした宇佐見真吾=2019年6月27日 ジャイアンツ球場 写真提供:産経新聞社
一方、左右の中継ぎ強化のために巨人にやって来る2人ですが、こちらも即戦力として、すぐに1軍で起用されると思われます。
左腕の藤岡は、東洋大時代、菅野智之(東海大→巨人)・野村祐輔(明治大→広島)と並ぶ「大学BIG3」と呼ばれ、2011年のドラフトでは3球団が1位で競合。1年目から10勝が期待できる逸材として、鳴り物入りでロッテに入団しました。
ところが、1年目は6勝7敗といまひとつの成績に終わり、2年目・3年目も6勝止まり。その後も伸び悩み、中継ぎに回ったりもしましたが、2018年7月、トレードで日本ハムに移籍しますが0勝。今季も未勝利のまま、2年連続でシーズン中に移籍となりました。「もう終わった投手では?」という厳しい見方もありますが、原監督はその声を一蹴。
「僕は、アマチュア時代の姿も知っている。このところ少し消化不良気味なので、気分一新。水を得た魚のごとく、ジャイアンツで暴れてもらいたい」
と、その潜在能力を高く買っています。また、大学時代のライバルであり友人の菅野も、「藤岡はもっとやれるはずだ」と信じている1人。トレードの報せを聞いて、菅野はこうコメントしました。
「困ったことがあれば、何でも頼ってほしいです。彼もいろんな思いがあると思う。きっと力になってくれると思うので、一緒に頑張りたい」
今季は腰の違和感で一時離脱するなど、苦しみながらエースとして投げ続けている菅野。大学時代に投げ合ったライバルであり、大学日本代表として一緒に米国遠征もしたことがある藤岡がチームメイトになったことは何より心強く、また励みになるはず。2人のリレーが近々観られるかもしれません。
もう1人、右腕の鍵谷は、日本ハムナイン誰もが認める“いいヤツ”として知られています。後輩の面倒見もよく、マスコミへの取材対応も丁寧。道産子なので、北海道愛が誰よりも強く、昨年(2018年)9月に北海道胆振東部地震が発生した際は、選手間で有志を集めてボランティア隊を結成し、被災地を訪問したことも。
これは、日本ハムファンで知られるコラムニストのえのきどいちろう氏がツイッターで明かした話ですが、釧路を本拠地とするアイスホッケー・日本製紙クレインズの廃部が決定した際も、チームを存続させるための署名活動に協力。球団やチームメイトにも掛け合って、10万人の署名を集めることに貢献しました。結果、クレインズは「ひがし北海道クレインズ」というクラブチームとして新たなスタートを切ることになり、釧路にチームが存続することになったのです。
誰からも好かれる存在だった鍵谷の移籍を惜しむ声は大きいですが、巨人移籍が伝わると中央大の先輩・澤村からさっそく連絡があったそうです。
「『本当に何でも言ってこい』と言ってくださったので心強いですし、大学時代一番尊敬する先輩だったので、一緒にプレーできることはうれしいです」
背番号は、藤岡が「47」、鍵谷が「32」に決定。リーグ戦再開を前に、リリーフ陣に不安が残る巨人ですが、果たして2人が救世主になれるのか、注目です。
「両軍にとって、いい形になるといい。我が軍としてはしっかりと手助けをしながら、いいものが出せるようにしたい」(原監督)
26日に発表された、巨人・日本ハム間の交換トレード。吉川光夫(31)・宇佐見真吾(26)が日本ハムへ。代わって藤岡(29)・鍵谷(28)が巨人に移籍することになりました。
常に新陳代謝を図る日本ハムは、毎年シーズン中のトレードにも積極的で「またか」という印象ですが、応じた相手が巨人、しかも2対2というところに驚きの声も上がっています。
巨人が放出した吉川は、もともと日本ハムに10年在籍。古巣に3年ぶりの復帰となりました。今季は背番号が、昨季限りで引退した山口鉄也がつけていた「47」に変更。開幕前はリリーフの柱として期待されていましたが、4月末に早々とファーム落ち。再昇格後、5日の楽天戦に登板しましたが、ストライクが1球も入らず、打者1人を歩かせると、原監督はスパッと交代させ、即2軍→今回のトレードになりました。
復帰にあたって、チーム編成の全権も握っている原監督ですが、このシビアな見切りの早さは、5年ぶりのV奪回に懸ける決意の表れ。吉川は慣れ親しんだ古巣で、捲土重来を目指します。
宇佐見も、勝負強いバッティングが売り物でしたが、今季の巨人は、炭谷の加入で捕手が飽和状態。同じ「打てる捕手」の大城も一塁に回っているチーム状態では出番がなく、「もったいない」という声もあるなかでの移籍となりました。
捕手強化を図る日本ハムでは、間違いなく出場機会に恵まれるでしょうし、大田泰示のように新天地・北海道で、才能を大きく開花させてほしいものです。
【プロ野球巨人】日本ハムへの移籍が決まり、巨人の選手らと挨拶を交わした宇佐見真吾=2019年6月27日 ジャイアンツ球場 写真提供:産経新聞社
一方、左右の中継ぎ強化のために巨人にやって来る2人ですが、こちらも即戦力として、すぐに1軍で起用されると思われます。
左腕の藤岡は、東洋大時代、菅野智之(東海大→巨人)・野村祐輔(明治大→広島)と並ぶ「大学BIG3」と呼ばれ、2011年のドラフトでは3球団が1位で競合。1年目から10勝が期待できる逸材として、鳴り物入りでロッテに入団しました。
ところが、1年目は6勝7敗といまひとつの成績に終わり、2年目・3年目も6勝止まり。その後も伸び悩み、中継ぎに回ったりもしましたが、2018年7月、トレードで日本ハムに移籍しますが0勝。今季も未勝利のまま、2年連続でシーズン中に移籍となりました。「もう終わった投手では?」という厳しい見方もありますが、原監督はその声を一蹴。
「僕は、アマチュア時代の姿も知っている。このところ少し消化不良気味なので、気分一新。水を得た魚のごとく、ジャイアンツで暴れてもらいたい」
と、その潜在能力を高く買っています。また、大学時代のライバルであり友人の菅野も、「藤岡はもっとやれるはずだ」と信じている1人。トレードの報せを聞いて、菅野はこうコメントしました。
「困ったことがあれば、何でも頼ってほしいです。彼もいろんな思いがあると思う。きっと力になってくれると思うので、一緒に頑張りたい」
今季は腰の違和感で一時離脱するなど、苦しみながらエースとして投げ続けている菅野。大学時代に投げ合ったライバルであり、大学日本代表として一緒に米国遠征もしたことがある藤岡がチームメイトになったことは何より心強く、また励みになるはず。2人のリレーが近々観られるかもしれません。
もう1人、右腕の鍵谷は、日本ハムナイン誰もが認める“いいヤツ”として知られています。後輩の面倒見もよく、マスコミへの取材対応も丁寧。道産子なので、北海道愛が誰よりも強く、昨年(2018年)9月に北海道胆振東部地震が発生した際は、選手間で有志を集めてボランティア隊を結成し、被災地を訪問したことも。
これは、日本ハムファンで知られるコラムニストのえのきどいちろう氏がツイッターで明かした話ですが、釧路を本拠地とするアイスホッケー・日本製紙クレインズの廃部が決定した際も、チームを存続させるための署名活動に協力。球団やチームメイトにも掛け合って、10万人の署名を集めることに貢献しました。結果、クレインズは「ひがし北海道クレインズ」というクラブチームとして新たなスタートを切ることになり、釧路にチームが存続することになったのです。
誰からも好かれる存在だった鍵谷の移籍を惜しむ声は大きいですが、巨人移籍が伝わると中央大の先輩・澤村からさっそく連絡があったそうです。
「『本当に何でも言ってこい』と言ってくださったので心強いですし、大学時代一番尊敬する先輩だったので、一緒にプレーできることはうれしいです」
背番号は、藤岡が「47」、鍵谷が「32」に決定。リーグ戦再開を前に、リリーフ陣に不安が残る巨人ですが、果たして2人が救世主になれるのか、注目です。