佐々木千隼が656日ぶりの白星でローテ入り
プロ野球のペナントレースの後半戦がいよいよ幕を開ける。両リーグともに序盤戦は混戦模様だったが、現時点では両リーグ首位の巨人とソフトバンクが頭一つ二つ抜け出している。しかし、2位以下は混戦となっており、後半戦も激しい戦いが繰り広げられそうだ。
とくにパ・リーグは、2位の日本ハムから6位のオリックスまで、わずか4ゲーム差と大混戦。どのチームにもクライマックスシリーズ出場のチャンスがある状況だ。
そんななか、5位のロッテに救世主となり得る存在が出てきた。3年目の右腕・佐々木千隼である。佐々木は2016年、ドラフトでハズレ1位としては、史上最多となる5球団が競合した逸材で、当然、即戦力候補として1年目からローテーション入りを期待されていた。
しかし、ここまでの2年間では思うような結果を残すことができず、右肘の手術も経験するなど苦しんでいた。3年目の今季も開幕は二軍スタートとなり、ようやく7月9日に一軍初昇格を果たした。今季初登板となった昇格同日の対日本ハム戦では、7回1失点の内容で自身2年ぶりの勝利もマーク。実に656日ぶりの勝利で、「佐々木ここにあり」をアピールしたと言えるだろう。
オールスターゲーム期間に入ることもあり、登板翌日に登録抹消されたが、井口資仁監督は佐々木を後半戦でローテーションへ組み込むことを決断。チームが上位に浮上するためのキーマンとなりそうだ。
前半戦では若手の二木、岩下、種市らが奮闘
今シーズンのロッテは涌井秀章と石川歩、そしてマイク・ボルシンガーと実績と経験のある3人を軸としながら、先発ローテーションを回す構想だった。しかし、石川とボルシンガーは故障で離脱した期間もあり、軸としての役割を果たしたとは言い難い。また涌井も5月8日を最後に2カ月以上も勝ち星から遠ざかるなど苦しんだ。前半戦を終えた時点で、この3人で8勝11敗と3つの負け越しでは、上位争いもままならない。
そんななか、借金1で踏みとどまれているのは、二木康太(6勝5敗)、岩下大輝(3勝2敗)、種市篤暉(4勝1敗)と若手3人の奮闘があってこそ。この3人で13勝8敗と貯金を5個つくっており、チームを支えている。ここに佐々木も入っていくことで、ロッテの先発陣の魅力がグッと増す感がある。
この4人の年齢を見ると、佐々木25歳、二木23歳、岩下22歳、種市20歳と、全員が25歳以下と若さにあふれている。これはロッテの先発ローテーションの世代交代が起きていることを意味する。
後半戦で5位からの巻き返しをしていくためには、彼らのような若い先発投手たちの活躍が必要不可欠。また、涌井や石川、ボルシンガーと実績のある投手たちが、彼らを支えるような存在となれば、チームの底上げにもなる。
そんな若手投手たちのなかで懸念されるのは、シーズンを通して戦った経験があるのが二木しかないことだろう。その二木も規定投球回に到達したのは、2017年の1度だけ。その他の3人は、年間100イニングに到達したこともなく、まさにここから先は未知の領域となる。
後半戦は、夏場の連戦における疲労、そして順位争いのプレッシャーなど、前半戦以上に過酷な戦いになることは明白。そんななかで、彼ら若手投手たちがどんなピッチングを見せてくれるか。混パの行方を左右しそうなロッテ若手先発陣の今後にも注目していいきたい。まずは15日、メットライフでの西武戦で岩下が先陣をきる。