通算1000試合出場
「全試合出場を何年か出させていただいたり、その間に死球でちょっとキツイなと思う時とか、風邪をひいたとか色々ありましたけど、出続けてよかったなと思います」。
ロッテの選手会長・鈴木大地が15日の西武戦で、通算1000試合出場を達成した。
鈴木は通算1000試合出場が目前に迫った10日の取材で、「『1000試合も出られると思っていなかったです』というコメントを今まで見てきて、普通だなと思いましたけど、まさしくその通りだなと。いざ自分が(通算1000試合出場が)間近になってそういう風に思います」と心境を述べた。
二軍で過ごした時間
鈴木は2014年から4年間チームキャプテンを務めるなど、中心選手として長く活躍しているが、ルーキーイヤーの12年はドラフト同期入団の藤岡貴裕(現巨人)、中後悠平(現DeNA)、益田直也が一軍でプレーする中、最初の2カ月はファームで過ごした。
「仲のいい同期なので応援していたというのはあったんですけど、悔しかったという気持ちの方があった」と当時を振り返る。
同期と同じ舞台で戦うため、長くプロ野球選手として活躍するため、必死で技術向上を図った。
「1年目にファームでやっているときの当時の監督、コーチ、スタッフ、寮長とかといろんな話をしましたけど、今しっかり蓄えて長くやれる選手になっていこうという話をしていました」
「当時はすぐに上がりたかった。その意味を理解するのは正直難しかったですけど、今こうやって段階を踏ませてもらって、あの2ヶ月が宝物。だから若い子がファームにいくときに、そういう言葉をかけることもあります」
プロ1年目の最初の2ヶ月が、プロ野球選手“鈴木大地”の礎を築いた。
痛みに耐えながらの出場も
鈴木はプロ2年目の2013年にレギュラーを掴むと、同年に全144試合に出場。キャプテンに就任した翌2014年も、全144試合に出場した。2015年は全試合出場を逃したが、この年も143試合中142試合に出場。
「(打撃の)調子が悪くて試合に出られなかった。それがあったからもう一度、頑張ろうという気持ちでやっていますし、良い糧になっています」。
翌16年から3年連続で全試合出場を達成した。鈴木は13年からの6年間で5度全試合に出場と、体が非常に強い。ちなみに、プロ入り前の東洋大時代も1年秋にレギュラーを掴むと、1年秋のリーグ戦から81試合1試合も休むことなく全試合に出場した。
大学時代から故障による離脱がほとんどない鈴木は、「ケアであったり、ここ3、4年でしっかりトレーニングをやり始めている。井口さん、福浦さんなど長くプレーしていた選手たちの良い見本があるので、その背中を見てきている。それが繋がっていると思います」と話す。
怪我に強い鈴木だが、プロ入り後は痛みに耐えながら出場したこともあったという。「多分病院にいって折れていたなというのがあって、病院に行ったら絶対に骨折と診断されるので、それを隠しながらやっていたりしたこともあります」と明かす。「ただそれは僕だけじゃなく、誰もが故障を抱えながらやっている。そこは全然大丈夫です」とプレーする上で多少の痛みも関係ないとのことだ。
今季は開幕スタメン落ち
チームの中心選手となった鈴木だが、今季は日本ハムから16年本塁打王のレアードが日本ハムから加入したため、3月29日に行われた楽天との開幕戦、スターティングメンバーにいつもあるはずの名前がそこにはなかった。
「出番があると思って準備していました」。しかしこの日、鈴木は試合に出場することなく試合終了。2015年5月21日の西武戦から続いていた連続試合出場も、532試合でストップした。
「(開幕直後は)試合に出られなかったですけど、一軍で試合に出られる幸せを感じられた。試合に出られなくなったら、自分が二軍にいくという危機感も正直ありました。そういう意味でいえば、ただ悔しかったというので終わらせてくなかった」。
ここで鈴木が、腐るはずがなかった。この逆境に真正面から立ち向かい、準備を怠らなかった。一塁の井上晴哉が打撃不振で開幕直後に一軍登録を抹消され、一塁のポジションでスタメン出場をすると、そこでチャンスをモノにし再びレギュラーの座をつかんだ。6月には月間MVPを獲得するなど、前半戦は打率.298、12本塁打、46打点、本塁打はすでにシーズン自己最多を更新。この活躍が認められ、2年ぶりにオールスター出場を果たした。
そして、後半戦最初のゲームとなった15日の西武戦で、通算1000試合出場を達成した。どんな状況になっても変わらぬ姿で、グラウンドに立ち続ける鈴木大地。今日もいつものように元気よくプレーし、全ての人々に感謝し、通算1001試合目に向けて準備をしていくはずだ。
取材・文=岩下雄太