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巨人、2年ぶりの勝利で打ち破った「延長戦」のジンクス

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【プロ野球ヤクルト対巨人】11回 2点本塁打を放ち、ベンチで迎えられる巨人・亀井善行=2019年7月15日 長野オリンピックスタジアム 写真提供:産経新聞社
話題のアスリートの隠された物語を探る「スポーツアナザーストーリー」。今回は、7月15日に長野オリンピックスタジアムで行われたヤクルト戦で、2年ぶりの延長戦勝利を挙げた巨人の「延長戦」にまつわるエピソードを取り上げる。

「粘ったなかで、いいスタートを切れたというのがね。しかも、ベンチ入りほとんどの力を要しながら取ったというのは大きい」(原監督)

プロ野球は15日から、後半戦がスタート。前半戦終了時点で2位に9.5ゲーム差をつけ、5年ぶりのリーグ優勝に向けて独走態勢を築きつつある巨人ですが、油断は禁物。原監督自身、2008年に阪神との13ゲーム差をひっくり返して逆転優勝した経験を持つだけに、その逆が起こる可能性だってあると、決して手綱を緩める気配はありません。

ただでさえ戦力豊富な巨人ですが、リリーフ陣が不安と見るや、2015年にアリゾナ・ダイヤモンドバックスで14勝を挙げた豪腕投手、ルビー・デラロサ(30歳)を緊急補強。さっそく、後半戦開幕のヤクルト戦に中継ぎで起用しました。

1点ビハインドの7回、4番手で登板したデラロサは、3安打を浴び、2死満塁のピンチを招きましたが、152キロの真っ直ぐで山田を三振に仕留め、無失点で切り抜けます。

直後の8回、ビヤヌエバが同点二塁打を放ちましたが、こういった勝負所で、外国人選手が助っ人としての本分を果たしてくれることも、ペナントレースを勝ち抜くための重要なカギなのです。

試合は4対4のまま、延長戦に突入。ひとつ、巨人にとっては嫌なジンクスがありました。17年9月12日の阪神戦以降、延長戦は14試合で6敗8分け。昨年(2018年)に至っては、1度も勝っていないのです。

そのジンクスを破るためにも、何としても勝ちたかったこの試合。その執念が実ります。延長11回、無死一塁から大城の犠打が相手のエラーを誘って、巨人はついに1点を勝ち越し。なおも無死三塁のチャンスで、試合を決めたのは、ベテラン・亀井の一撃でした。五十嵐の投じた、低めの真っ直ぐをすくい上げると、打球は右翼席へ飛び込むダメ押しの8号2ランに。

「しっかり走者を返すことを考えて、それがいちばんいい結果になりました」(亀井)

長野の夜空に描いた華麗なアーチで、巨人は後半戦を白星でスタート。同率2位の阪神・DeNAがそろって敗れたため、ゲーム差は「10.5」に開きました。

デラロサの加入で、中継ぎの不安を解消。さらに延長戦の弱さも克服し、2位以下を突き放した巨人。最短20日にも、優勝マジックが点灯します(7月17日時点)。

ところで、いま「2年ぶりの延長戦勝利」と書きましたが、くしくも2年前の勝利は、今回と同じ長野県での試合でした。17年9月5日、松本市野球場で行われた中日戦。巨人の主催ゲームでしたが、9回ウラを迎えた時点で中日が3点リード。

敗色濃厚なムードが漂うなか、巨人は2死二塁のチャンスを作ると、中日の守護神・田島から、長野がセンター前にタイムリー。続く宇佐見が右翼スタンドに起死回生の同点2ランを放って、土壇場で試合を振り出しに戻します。

延長11回、ドラマのきっかけを作ったのは、ここでも亀井でした。ライト前ヒットで出塁すると、続く長野がバントヒットを決め、無死一・二塁。その後、1死二・三塁となったところで打席に立ったのは、セカンドの守備固めで途中出場した、当時34歳の寺内崇幸(現・栃木ゴールデンブレーブス監督)。

何と寺内は、中日・福谷の真っ直ぐを捉えると、打球は右翼スタンドにライナーで飛び込むサヨナラ3ランに! それまでプロ11年間で、通算4本しかホームランを打っていなかった寺内の劇的な1発で、巨人は鮮やかな逆転勝ちを収めたのです。

「最後の最後、絶対打ってやるという強い気持ちで行きました。ファンの皆さんが打たせてくれた」(寺内)

この「松本の奇跡」以来途切れていた延長戦勝利を、長野で久々に成し遂げた巨人。いろいろな意味で、価値ある1勝でした。
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