話題のアスリートの隠された物語を探る「スポーツアナザーストーリー」。今回は、7月18日のDeNA戦で10年ぶりの8連勝を飾った、中日ドラゴンズの好調の秘密にまつわるエピソードを取り上げる。
「後半戦が始まり、自分としていい投球ができた。チームの勝利に貢献したい気持ちでずっと投げていた」(ロメロ)
「自分だけじゃない。チーム全体が明るくまとまっている。全員が初回から集中しているし、一丸となって戦っている」(アルモンテ)
勢いが止まりません。18日、横浜スタジアムで行われたDeNA-中日戦で、中日が7-3で勝利。8連勝で、今季最大11あった借金を「2」まで減らし、DeNAと並び同率2位に浮上しました。
投げては先発・ロメロが真っ直ぐ主体のピッチングで、7回途中に降板するまで3失点とゲームを作り、打っては絶好調のアルモンテが、4打数4安打の大活躍。この日も5回に勝ち越しのツーベースを放ちました。
中日の8連勝は、落合監督時代の2009年7月に9連勝を記録して以来、実に10年ぶりのこと。その立役者となった両外国人が語ったように、チーム全員が「勝利に貢献しよう」と1つになっていることが、快進撃の大きな理由です。
与田監督は、試合後に8連勝の要因を聞かれ、まずこう答えました。「選手の頑張り以外にない」。とくに投打ががっちりと噛み合っていることが大きいと、指揮官は言います。
「この連勝は、初回の得点というのがよく続いている。(投手が)『1点を取られたらいけない』という切羽つまった状態ではなく、『1点を取られても大丈夫』だという気持ちで投げることができるくらい、打線の状態がいい」
与田監督が指摘したように、8連勝中、中日が初回に得点したゲームは6試合。うち4試合が先取点になりました。つまり、立ち上がりの先制パンチがよく効いており、それが投手陣の好投につながるという好循環になっているのです。
今季の中日は開幕以来、投打ともに故障者が相次ぎ、なかなかベストの布陣が組めませんでした。しかし5月中旬から左ふくらはぎ痛で約1ヵ月離脱していた平田が、6月下旬、交流戦終盤に復帰。
さらに春先の不振と、外国人枠の関係でしばらくファームにいたアルモンテも、リリーフで活躍中のライデル・マルティネスが、母国キューバのナショナルチームに招集されたため枠が空き、久々に1軍昇格を果たしたのです。
2人の1軍復帰で、後半戦は「1番・平田、2番・大島、3番・アルモンテ、4番・ビシエド、5番・高橋」という理想的なオーダーを組めることになりました。アルモンテ以外は、全員打率が3割以上(7月19日現在)という強力打線。
ところが……このオーダーで戦えたのは実質1試合だけでした。後半戦2戦目、16日の阪神戦で、高橋周平が右手小指を負傷。診断の結果、剥離骨折と側副じん帯断裂が判明し、長期離脱を余儀なくされたからです。
キャプテンも務める高橋は、負傷するまで打率.319。セ・リーグ首位打者であり、チームの勝利にたびたび貢献して来ただけに、あまりにも痛すぎる離脱となりました。
「さすがに連勝も、ここで止まるか……」と思われましたが、翌17日から高橋の代役で5番に座り、決勝スリーベースを含む3安打2打点と大暴れしたのが、4年目の阿部寿樹です。
阿部は、社会人野球のホンダ時代、落合GM(当時)にバッティングセンスを買われ、2015年、ドラフト5位で入団。26歳でデビューしたオールドルーキーでしたが、和田一浩がつけていた背番号「5」をもらったにもかかわらず、3年目までは鳴かず飛ばず。
「このまま終わっては、獲ってくれた落合さんに申し訳ない」と奮起した今季は、開幕スタメンを勝ち取り、勝負強いバッティングでチームに貢献しています。
口ヒゲがトレードマークで、あだ名は「マスター」。ファンにもすっかり顔が浸透しましたが、大活躍した17日の阪神戦では、ヒーローインタビューでこう語りました。
「周平の代わりはできないけれど、自分なりにチームに貢献できればいい」
18日のDeNA戦でも5番に座り、初回、1死満塁のチャンスに犠飛を打ち上げ、先制点を挙げた阿部。与田監督の言う「初回の得点」できっちり仕事を果たしました。
守護神・R.マルティネスの代役は岡田が務め、全員野球で8連勝を果たした中日。誰かが欠けても、誰かが補う。与田監督のやりたかった野球が、ようやく形になって来たのです。
19日の予告先発は、この連勝の起点となった、3年目の柳裕也です。即戦力として期待されながら、過去2年間でわずか3勝。しかし今季は、先発陣の相次ぐ離脱に奮起し、前半戦だけですでに9勝とチームの勝ち頭に。自身初の10勝目と9連勝を懸けて、マウンドに上がります。
巨人が独走するセ・リーグですが、今後もこの全員野球が続けば、中日は後半戦を面白くする台風の目になるかもしれません。
「後半戦が始まり、自分としていい投球ができた。チームの勝利に貢献したい気持ちでずっと投げていた」(ロメロ)
「自分だけじゃない。チーム全体が明るくまとまっている。全員が初回から集中しているし、一丸となって戦っている」(アルモンテ)
勢いが止まりません。18日、横浜スタジアムで行われたDeNA-中日戦で、中日が7-3で勝利。8連勝で、今季最大11あった借金を「2」まで減らし、DeNAと並び同率2位に浮上しました。
投げては先発・ロメロが真っ直ぐ主体のピッチングで、7回途中に降板するまで3失点とゲームを作り、打っては絶好調のアルモンテが、4打数4安打の大活躍。この日も5回に勝ち越しのツーベースを放ちました。
中日の8連勝は、落合監督時代の2009年7月に9連勝を記録して以来、実に10年ぶりのこと。その立役者となった両外国人が語ったように、チーム全員が「勝利に貢献しよう」と1つになっていることが、快進撃の大きな理由です。
与田監督は、試合後に8連勝の要因を聞かれ、まずこう答えました。「選手の頑張り以外にない」。とくに投打ががっちりと噛み合っていることが大きいと、指揮官は言います。
「この連勝は、初回の得点というのがよく続いている。(投手が)『1点を取られたらいけない』という切羽つまった状態ではなく、『1点を取られても大丈夫』だという気持ちで投げることができるくらい、打線の状態がいい」
与田監督が指摘したように、8連勝中、中日が初回に得点したゲームは6試合。うち4試合が先取点になりました。つまり、立ち上がりの先制パンチがよく効いており、それが投手陣の好投につながるという好循環になっているのです。
今季の中日は開幕以来、投打ともに故障者が相次ぎ、なかなかベストの布陣が組めませんでした。しかし5月中旬から左ふくらはぎ痛で約1ヵ月離脱していた平田が、6月下旬、交流戦終盤に復帰。
さらに春先の不振と、外国人枠の関係でしばらくファームにいたアルモンテも、リリーフで活躍中のライデル・マルティネスが、母国キューバのナショナルチームに招集されたため枠が空き、久々に1軍昇格を果たしたのです。
2人の1軍復帰で、後半戦は「1番・平田、2番・大島、3番・アルモンテ、4番・ビシエド、5番・高橋」という理想的なオーダーを組めることになりました。アルモンテ以外は、全員打率が3割以上(7月19日現在)という強力打線。
ところが……このオーダーで戦えたのは実質1試合だけでした。後半戦2戦目、16日の阪神戦で、高橋周平が右手小指を負傷。診断の結果、剥離骨折と側副じん帯断裂が判明し、長期離脱を余儀なくされたからです。
キャプテンも務める高橋は、負傷するまで打率.319。セ・リーグ首位打者であり、チームの勝利にたびたび貢献して来ただけに、あまりにも痛すぎる離脱となりました。
「さすがに連勝も、ここで止まるか……」と思われましたが、翌17日から高橋の代役で5番に座り、決勝スリーベースを含む3安打2打点と大暴れしたのが、4年目の阿部寿樹です。
阿部は、社会人野球のホンダ時代、落合GM(当時)にバッティングセンスを買われ、2015年、ドラフト5位で入団。26歳でデビューしたオールドルーキーでしたが、和田一浩がつけていた背番号「5」をもらったにもかかわらず、3年目までは鳴かず飛ばず。
「このまま終わっては、獲ってくれた落合さんに申し訳ない」と奮起した今季は、開幕スタメンを勝ち取り、勝負強いバッティングでチームに貢献しています。
口ヒゲがトレードマークで、あだ名は「マスター」。ファンにもすっかり顔が浸透しましたが、大活躍した17日の阪神戦では、ヒーローインタビューでこう語りました。
「周平の代わりはできないけれど、自分なりにチームに貢献できればいい」
18日のDeNA戦でも5番に座り、初回、1死満塁のチャンスに犠飛を打ち上げ、先制点を挙げた阿部。与田監督の言う「初回の得点」できっちり仕事を果たしました。
守護神・R.マルティネスの代役は岡田が務め、全員野球で8連勝を果たした中日。誰かが欠けても、誰かが補う。与田監督のやりたかった野球が、ようやく形になって来たのです。
19日の予告先発は、この連勝の起点となった、3年目の柳裕也です。即戦力として期待されながら、過去2年間でわずか3勝。しかし今季は、先発陣の相次ぐ離脱に奮起し、前半戦だけですでに9勝とチームの勝ち頭に。自身初の10勝目と9連勝を懸けて、マウンドに上がります。
巨人が独走するセ・リーグですが、今後もこの全員野球が続けば、中日は後半戦を面白くする台風の目になるかもしれません。