高橋周平が負傷で離脱…
各チームの大きな連勝・連敗によってめまぐるしく戦況が変わっている今季のセ・リーグ。オールスターブレイクを挟んで8連勝と勢いに乗り、実に7年ぶりとなるAクラス入りも見えてきていた中日も、19日に連勝がストップするとそこから4連敗。2位以下は混戦になっているとはいえ、これ以上悪い流れを引きずりたくないところ。
しかし、そんなチームに大きな痛手があった。5月の月間MVP、そしてセ・リーグの首位打者争いでトップを快走していた高橋周平が試合中のアクシデントにより負傷。「右小指靭帯断裂」と診断され、長期の戦線離脱を余儀なくされたのである。
球団と話し合った結果、高橋は保存療法を選択。手術を避けたことで、シーズン中に復帰することも十分に可能だという。それでも、少なくとも1カ月程度の離脱は避けられない見込みで、まさにAクラス入りへの正念場を迎えた感がある。
求められる代役の台頭
攻守に大きな存在感を見せていた主将の穴をひとりの選手で埋めることは難しく、現実的には調子の良い複数の選手たちをうまく使って傷口をふさいでいくしかない。
まず打撃面で奮闘を見せたのが、今季その才能を開花しつつあった阿部寿樹だった。高橋が登録抹消された7月17日の試合で5番に座ると、いきなり3安打をマーク。その後も7月21日まで5番を務め、5試合で打率.421(19-8)と絶好調だ。本人は「周平の代わりはできない」とコメントしているものの、ここまでの働きぶりを見る限りそんなことはなさそうだ。
また、三塁の守備には今季ベンチスタートも多かった堂上直倫が入っている。打撃面では物足りない結果になっているものの、堅実な守備はチームを助けている。
さらに、阿部や堂上以外の選手のチャンスも増えてきた。7月23日の広島戦では、三ツ俣大樹が「2番・三塁」でスタメン出場。第3打席で二塁打を放って得点に絡んだのは、首脳陣へのアピールになったはずだ。この三ツ俣のように、これから先も多くの選手に出番が与えられることになるだろう。
ただし、穴を埋めようと奮闘する選手は出てきているとはいえ、高橋不在となった7月17日以降の6試合を見ると、2勝4敗でふたつの負け越し。上でも少し触れたように連勝が止まった19日以降は4連敗中と、一時は2位まで浮上した順位も今では5位まで後退してしまっている。
ここから息を吹き返して再び上位追撃といくためには、やはり阿部や堂上のようなこれまでチャンスの少なかった選手たちの奮起が不可欠。高橋の離脱をチャンスに変えて結果を残すことができるかどうかにかかっている。
長いシーズンに主力の離脱はつきもの。誰ひとり欠けることなくシーズンを戦い抜くことは困難なもので、重要なのは誰かがいなくなった時に代わりとなる選手が出てくるかどうか。正念場を迎えた中日を救う選手は現れるのか、注目だ。