ニュース 2019.07.26. 17:52

広島6連勝のきっかけとなった緒方監督の“謝罪”

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【プロ野球広島対中日】広島お立ち台 左から、野村祐輔、三好匠、スラィリー=2019年7月25日 マツダスタジアム 写真提供:産経新聞社
話題のアスリートの隠された物語を探る「スポーツアナザーストーリー」。今回は、7月25日に行われた中日戦に勝って6連勝、勝率を5割に戻した広島カープにまつわるエピソードを取り上げる。

「いい感触で打てました。(ベンチに)一体感があるなと思いました」(三好匠)

25日にマツダスタジアムで行われた広島-中日戦は、カープ打線が爆発し11-4と圧勝。広島は11連敗の影響もあって、一時借金が「6」にまで膨れ上がりましたが、そこから本拠地マツダスタジアムに戻って、巨人・中日を連続で3タテ。6連勝で勝率を5割に戻し、あっと言う間に借金を完済しました。

まず口火を切ったのは、2回に中日先発・ロメロから先制2ランを放った三好でした。7月2日に下水流とのトレードが発表され、楽天から移籍して来たばかりの選手です。移籍初アーチを打った三好を、大喜びで出迎えたカープナイン。この一体感が、リーグ3連覇を成し遂げた原動力でもあるのです。

さらにこの回、ルーキー・小園のライト前ヒットと、西川の二塁打で3点目。5回には菊池涼の6号ソロ、鈴木の21号2ランで3点を追加。7回には菊池涼・バティスタ・鈴木の3連打に、三好の押し出し四球、代打・坂倉の2点タイムリー二塁打などでダメ押しの5点を奪って合計11点。カープ打線が2ケタ得点を挙げたのは、5月30日のヤクルト戦以来のことでした。

投げては、6月11日の日本ハム戦で、初回5失点KOを食らい2軍落ちしていた野村が、久々に1軍のマウンドに復帰。6回を5安打3失点に抑え、65日ぶりの4勝目を挙げました。

この4勝はすべて中日戦。その相性の良さも買われての復帰登板でしたが、みごと結果を出してくれた野村。この日、出場選手登録期間が7年に達し、国内FA権の資格を得ました。

さっそく、鈴木球団本部長が「是非チームにいてほしい」と慰留する方針を明らかにしましたが、これを聞いた野村は「本当ですか?」と笑みを浮かべ、こうコメントしました。

「今シーズンの試合が残っているので、しっかりチーム一丸で戦っていきたいと思います」

ところで、連勝中の24日、球団から突然、こんな発表がありました。6月30日、DeNA戦の試合後、緒方監督が怠慢プレーを理由に、野間を複数回平手打ちしたことが判明。

球団によると「手を上げたのは監督になって初めて。野間にケガはなく、関係も崩れていない」という説明で、緒方監督も7月15日、試合前ミーティングで野間とチーム全員に謝罪しています。

6月途中まで、快調に首位を走っていた広島ですが、交流戦で5勝12敗1分と失速。首位を巨人に明け渡しました。交流戦明けも、DeNAに連敗。3戦目も勝ち越すチャンスがありながら引き分けに終わり、おそらく緒方監督も相当に気が立っていたと思われます。

だからといって、スポーツにおいてこういった暴力的行為はあってはならないことですし、「鉄拳制裁」などという言葉があった昭和の時代ならともかく、いまの選手たちは、手を上げる指揮官にはついて行きません。

問題の行為があったDeNA戦の後、広島はヤクルト・阪神・中日に連続3タテを食らい、引き分けを挟んで11連敗という泥沼にはまりました。「3連覇した王者が、いくら何でも負けすぎでは……」と不思議がる声もありましたが、首脳陣と選手の間がギクシャクし、カープ本来の「和」が崩れたことも、連敗の一因になったことは否めないでしょう。

緒方監督が、選手の前で謝罪した15日に連敗が止まり、19日から連勝がスタートしたことも決して偶然ではない気がします。

「雨降って、地固まる」という言葉もありますが、この連勝がどこまで伸びるのか注目です。また、独走状態だった首位・巨人がここ6試合で1勝5敗。3位・広島との差は7ゲームに縮みました。

4連覇は決して諦めていないカープナインと緒方監督。原監督にとっていちばんの脅威は、チーム一丸となった鯉軍団かもしれません。
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