先発マスクで心がけることとは…
ロッテの柿沼友哉は4日の楽天戦、打っては1安打2犠打、守っては先発・種市篤暉を7回無失点に抑える好リードでチームの勝利に貢献。自身2度目となるフル出場を果たした。
柿沼は5月25日に一軍登録されると、捕手の故障者が相次ぎ、スタメンで出場する機会が増えた。現在は岩下大輝、種市といったファームでもバッテリーを組んでいた若手投手が登板する試合を中心に先発マスクを被っている。
柿沼にスタメンで出場した際に心がけていることについて問うと「勝つために何をするかだけですね」と話し、「ピッチャーのプランも考えないといけないですけど、僕が組んでいるピッチャーは若い投手が中心。若い投手は一人一人アウトを取っていかないといけないと思う。勝つことだけを意識してやっています」と続けた。
また、1試合フルでマスクを被り続けることについては「やっぱり最後まで出続けると終盤の難しさとかも、1点取られてはいけないというところとかも、経験できたというのはすごい財産になる。その大変さがわかったから、普段から意識してやらないといけないなと感じましたね」と語った。
試合後の反省を忘れず
スタメンで出場した際はもちろん、試合後の反省は欠かさない。
「試合に出てマスクを被っていたら、その時の自分の気持ちがわかるじゃないですか。試合後に映像を実際に見た時にバッターは、どういう考えをしているのかなという答え合わせをしています」。次の対戦に備えてしっかりと、傾向と対策を練っている。
一方、ベンチスタートのときは、「バッターの傾向であったり、出ているキャッチャーがどう攻めているのか。僕はベンチの中で『次こういこうこかな』、『これいこうかな』と思っているときに、先発で出場するキャッチャーは、どんなボールでいくのか。そのボールをいったらどうだったのか。こういう発想はなかったのかとか答えあわせしながらやっています」と常に自分が試合に出たつもりで、配球をベンチで考えているそうだ。
過去の悔しさを糧に
少ないチャンスをモノにし、一軍の試合でもマスクを被るまでに成長した柿沼。昨年のオープン戦での悔しい経験が活きているという。
昨年3月18日に行われた巨人とのオープン戦で、守護神・内竜也とバッテリーを組んだ際、「映像を見たまんまのリードになってしまった。内さんのいいところを全然引き出せませんでした。僕としては抑えたいので、その中でいいモノを出せなかったのは、終わってから後悔しました」と1回3失点と内の良さを引き出せずチームは逆転負け。柿沼のコメントを見てもわかる通り、当時かなり悔しがっていた。
その試合後には「良いボールを上手く引き出せなかったときに、内さんから『俺はこういうボールを投げたいんだよ』と教えてもらえた。今後に繋がるようなことを言ってもらえた」とアドバイスをもらったという。
あれから1年半が経ち、柿沼は「あの時の経験が活きていると思います。ああいうことを経験したからシーズンが始まったときに、例えば(ランナー)が出たときに絶対に打たれちゃダメというところで、自分の考えが出せた。そこは活きていると思います」と過去の失敗を糧に自身の成長にしっかりと繋げた。
「僕が出た試合は全部勝ちたい。勝つために何ができるのか。勝つことで今後も生き残っていけると思う。自分の結果もそうですけど、極端な話自分が打てなくても、生き残れると思っています。とにかく勝ち続けることですね」。柿沼が先発マスクを被った試合はオールスター明け、途中交代の試合もあるが5勝0敗と負けなしだ。“勝てる捕手”を目指す柿沼は、チームを勝利に導くため、投手陣を引っ張っていく。
取材・文=岩下雄太